第2話
廃屋で目覚め一週間ほど経っただろうか。
ここの生活にも慣れてきた。
「グレイ、ただいまー!!」
リシェ達が帰ってきた。
今日はかなり収穫があったようで、皆食料が詰まった麻袋を持っている。
「グレイが言った通りにしたらこんなにもらえたよ!!」
とても嬉しそうにリシェは麻袋を掲げてこちらに見せてきた。中身は大体は萎れた生の野菜と長期保存できるよう加工された肉。どれも新鮮さは既にないが十分食べられる。
満足のいく結果だと思う。
この廃屋で目覚めて最初の日、
皆の前でリシェに名前を聞かれたあとのこと。
前世での名前をそのまま名乗る違和感が出ると、
この場で名乗る名前が思い付かず迷っていると‥‥
それを察したのかリシェから
「名前‥‥‥ないの?」
と聞かれそれに便乗し首を縦に振り肯定する。
すると皆キョトンした顔になる。適当な名前でも名乗ればよかったかなと、後悔しはじめていると、
帰ってきた子どもたちの中から手が挙がる。
「なら、マデルの時みたいに、オレらでコイツの名前考えようゼ!」
獣耳の少年が促すと皆口々に肯定の言葉を並べ、
その場で僕の名前を提案し始める。
様々な案がでてくるが、皆共通して覚えづらくなかなか決まらない。一通り提案出尽くされ皆頭を捻って考えてると、先程の獣耳の少年が声を上げる。
「ならシンプルにグレイでいいんじゃないか?」
と言うと皆うんうんと賛同する。
何故かと思っていると、
「ほら髪色が灰色だろ、だから名前忘れても髪色で思い出すだろ!」
と獣耳の少年が頭を指差し答えてくれ、
その時初めて自分の髪が灰色だと気付いた。
その後、僕がグレイという名前に決まり、続いて皆の名前を一人ずつ紹介してくれた。
黒髪で活発な少女のリシェ。
獣耳の少年、リード。
一番身長の高い少年で何かと細かいヴィリー。
伏し目がちな少女、真面目なカリス。
表情があまり変わらない少女、ガリーナ。
一通り紹介を終え、その日手に入れた食料を広げる。多少の湿気ったパンとしなびた野菜。ただこれだけ。だけど悲壮感はどこ吹く風。とても嬉しそうに楽しそうに美味しそうに皆で分け合った。
久々の感覚‥‥‥気付けば涙が流れていた。
そして、気付けばリシェに頭を優しく撫でられていた。
「ありがとう。」
そう言うだけで精一杯だった。
それから一週間、街の案内や彼らが乞食している場所や人、その環境などを教えてもらった。
その中でも特に驚いたのは、中世のようなこの世界は自分の知っている世界とは似たような所はあれど全く違い魔物や怪物、人よりも大きな原生物達が存在しているということだ。
最初はおとぎ話かと思い何度か聞き返したほどだ。
だがリシェやリード達に連れられていった木造の大きな建物。そこは傭兵や狩人達の寄り合いでノートン市場呼ばれている場所。何日かに一度せりが行われる。連れられたその日はちょうどせりが行われており大きな獣が吊るされておりその内とびきり大きな物が競売に掛けられていた。
「続いてはー!、シニッサ傭兵団が狩ってきたアックスビークだー!傷も少ない!今日来たばっかの新鮮だから肉も柔らかいよー!」
と周りより少し高い場所から札が挙げられ値段が上がっていく。アックスビーク呼ばれる大きな鳥の隣で部位指さしながらの美味しい食べ方などを説明しさらり煽る。何度かそれが繰り返されついに札が上がらなくなると値段が決まり競り落とされた。
一連の流れの中、競りが行われている室内の端で剣や弓を携えた者達が度々見られた。後の説明で彼らが傭兵や狩人と呼ばれる者達だということだ。
主に狩りやレーン組合と呼ばれる所から受けられる依頼で生計をたてており、リシェ達は彼らから、魔物狩りの帰りに売れない獣の肉片や携帯食料の余りなどを恵んでもらっている。
もちろん、いつでももらえるわけじゃない。
そして誰からでももらえるわけでもない。
彼らが傭兵達から恵んでもらう場所などや話しかけている所を観察しているともらえている子ともらえてない子がいることに気づいた。もらえてない子はカリス、ガリーナとヴィリー。もらえているのがリシェや獣耳の少年リードだった。
いつも5人で行っているが毎回同じような結果だった、その為場所とタイミングを見極め上で、懐が温まってそうな傭兵に声を掛ける。その担当をリシェやリードにしてもらった。リシェは人懐っこく、リードは人当たりがよく、ここあたりじゃ珍しい獣人という種族らしくその物珍しさと人当たりの良さから懐に入るのがうま買った為この二人に頼んだ。他3人は狩りに出た傭兵達がいつ帰ってくるかどこから戻ってくるを調べたりする担当してもらった。そしてその結果‥‥‥
「今日も沢山もらえたよ!!」
と嬉しそうにリシェが見せてくる。
リードも誇らしげに
「あぁ見てみろこれ」
と満面の笑みで見せてくる。
「うまくいって良かったよ。」
と返すと皆満足げにうんうんうなずいている。一人を除いて‥‥‥
「あのぉ~」
とリシェが気まずそうな感じで続けた言葉からたんを発し、
予想できたが問題が一つ浮上した。




