第1話:はじまり
突然だが昔話をする。
あるところに若い夫婦がいた。
ある時その夫婦の間に息子が生まれた。
それは大層夫婦は喜びました。
彼は、すくすくと育ちその内彼には、妹ができました。家族に新たな一員が加わり一層幸せでした。
ですが妹は病弱で前ほど裕福ではなくなってしまいましたが、それでも笑顔の絶えない家庭でしたが、そんな日々にも終わりを迎えてしまいました。
それは両親の突然の他界。事故でした。
残された兄と妹には両親の遺産残されましたが、
それを争って親族が争い始め、それを収めるために兄妹は別々に暮らさなければならなくなりました。
兄は病弱な妹を治すため医師を目指し勉強に励みました。独り立ちした彼は妹を探しましたが時すでに遅く帰らぬ人となっていました。彼は天涯孤独となりとても悲しみました。ですがその後彼は知ることになります。彼女の死は悪意によって引き起こされたのだと。そしてそれを知った彼は、妹を助ける為に身に付けた知識を使い復讐を半生を掛け果たし、
その罪を残りの生涯にかけて償いました。
どういうわけか、おぼろげな意識の中、見知らぬ土地を走っていた。森の中を、土道を、街路を。
いつの間にかたどり着いた裏路地のような場所で息を切らしながら空を見上げている。疲労困憊で立ち上がることも出来ない。いつしか瞼も重くなり抵抗することなく意識が落ちていった。
おーい‥‥‥おーい‥‥
誰かが呼ぶ声がする。
ゆっくりと目を開けると視界いっぱいに痩せた黒髪の少女顔があった。
「やっと目が覚めた!!」
少女の大きな瞳でこちらを覗き込みながら意識があるのを確認すると、そう言ってとても嬉しそうに微笑んだ。
上体を起こし、そんな少女を横目に、辺りを確かめると最後に覚えている場所と違うことに気が付く。
「ここは?」
と少女に問い掛けると、
「私達のおうちっ!!」
「家?」
「うん!」
そう言って手を広げて誇らしげにしている彼女の服装に意識がいく。端が切れ切れになっている麻布の服を着ており所々汚れが目立つ。そんな彼女の自慢する家は石壁の間からは草や蔦が伸びてきており、窓の木枠は外れて床に落ちており、天井も穴が開いている。
そんな風に辺りを見渡していると彼女はこちらをジッと視ている。それはきっと‥‥‥期待しているのだろう。
「いい家だね。」
「そうでしょ!!」
彼女はそう言ってこちらに近付き、両手を握ってきて嬉しそうにしている。
「皆で掃除して住みやすくしたんだ!!」
と言って握った手をブンブンと振っている。
グルゥ‥グルゥ‥と自分の腹が鳴る。
「あっごめんね!!お腹空いているよね!!」
と手を離し部屋の奥へと姿を消した。
少しして戻ってくるとパンを一欠片持ってきた。
「はいこれ!!」
そう言ってこちらに渡してきた。
「ありがとう。」
勢いに押され受け取ってしまう。
「ごめんね!!、今はこれしかないんだけどもう少ししたら皆食べ物持って帰って来るから、そしたらもっと食べられるから我慢して!!」
「分かった。」
勢いに押され頷いてしまった。
手のひらに乗った一欠片のパンをつまみ食べようとすると、とても、とても物欲しそうな顔で少女が見ていた。半分にわけ彼女に渡す。
「ありがとう!!」
そう言って彼女は受け取ると美味しそうに口に放り込んだ。
「んー美味しい!!ありがとう!!3日ぶりの食事だったんだ!!」
彼女は歓喜して言った。そんなに喜んでいるのならと手に残ったパンを差し出し、
「これも食べる?」
というと
「そんな悪いよ!!君もお腹空いてるんだから食べて!!」
と差し出した手を押し返して来た。
折角だし食べてみた。とても硬いがお腹空いていたせいかとても美味しく感じた。
「ただいまー」
と戸のない出入り口から目の前の少女と同じくらいの少女と少年が入ってきた。手には小さな麻袋やパンなどを持っている。
「あーリシェ、また知らない子連れてきてるー」
と一人の子がこちらを指差し叫んだ。
「皆おかえりー、裏路地で倒れてて、見捨てられなかったんだよー、ごめんね!!」
と黒髪の少女リシェは皆帰りを労い事情を説明する。
(なるほど、今回が初めてじゃないらしい。)
と思いながら視ていると、
「リシェちゃん、わたしたちのことそろそろ紹介して!」
とまた一人の子が促すと、
リシェは一人ずつ紹介していった。そして
「それで彼の名前が‥‥‥」
と口ごもる。そして、
「君の名前なんだっけ?」
リシェは名前を聞いてないことに気付いた。




