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他に寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。  作者: にのまえ


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八十四

「ナサ!」


 ナサが門をくぐったあと北門の外で、大きなぶつあう音が聞こえた。これはナサがーー親父と呼んだトラと体当たりした音なのだろうか。


 すざましい衝撃音だ。



"ガオオオォォォォォォォーーーン!!!"



「グッ、やっぱり親父はつぇなぁ! だが負けねぇ!」


 獣の鳴き声とナサの声が聞こえた。


 ナサに何かあったら逃げろと言われていたけど……心配で、重い盾を持ちながら門に近付いた。門について時につき荒れる風、目の絵で繰り広げられる獣の同士のぶつかり合い。


 その横で、アサト達は固唾を飲んで見守っていた。


(アレが、ナサの……本気? 前の大熊モンスターの時とは比べ物にならない。両者とも、真っ赤な炎に包まれている、アレが覇気?)


 ナサ……の体当たりがまったく効かず焦っている、それに引き換え、トラは余裕があるように見えた。


「クソッ、つえぇ」

 

(……ナサ)


 そして、何度目かのぶつかり合いで、ニヤッと相手とトラが笑った。ナサは何かを感じて、そのトラから離れて距離をとる。


 額に魔法陣をつけて、ナサを目を細めて見るそのトラは両手を広げ、胸を大きく張り叫んだ。


『ウオォォォ! ワシは嬉しい、力をつけたな息子よ!!!!』



 そのトラは強制召喚されたのにも関わらず、言葉を話したのだ。




「「え?」」



 と言う言葉しか出ない。


 この場にいる誰もが呆気に囚われる。トラはケタケタ笑い、ドカッとその場にあぐらをかいた。



『ハッハハ、このワシがこんな"ちっぽけな召喚"に操られるわけがないだろうが!』


 もう、目が点。


『でもな、少し気合を入れて叫んで門が壊れたのには少々驚いたがな……壊して、すまんな!』


 ガハハッと豪快に笑うトラ。と、突然の代わりように警戒していたナサは困惑した顔で。


「おい、親父は正気なのか?」


『そうだ! と言ったら信じるか?』


「訳がわかんねぇ」


 ナサはジッと、そのトラを息をつめてジックリ見つめた。そして……フウッと息を吐き『シッシシ、マジがよ』と眉をひそめてポタポタ涙をこぼした。


『泣くなよ、立派になったな……ナサ。この目で、大きく育った息子が見られるなんて、この呼び掛けに応えて、この地に来られたことに感謝する』


 ……強制召喚なのだけど、ナサもそう思ったらしくて。


「だが親父、それは強制召喚だ……額の魔法陣を壊せば、親父は呪い骨に変わるんだぞ! なんで呼び掛けに応じたんだ!」


 ナサの言う通りだと、北門のそばでウンウン頷いた。


 召喚の呼び掛けに、あのトラの方から答えたような言い方をしている。召喚術を己の力で跳ね返せるのなら、跳ね返して、応えなくてもよかたんじゃない。


(呪い骨になってしまったら…そのあと、どうなるかわからないのだし)


『そうだが、ワシは家族に会いたかった。一目でいい、愛する母さんに会いたかった』


 と恥じらった。

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