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 亜人隊。彼らが着けている鎧や服にはこのガレーン国の象徴ドラゴンの刺繍が入っている。いかつい獣人族は戦闘中以外、常に半獣でいなくてはならない決まりらしく。いつも北区と中央区の境界線にある、宿舎からミリア亭まで半獣の姿でやって来てくる。


 彼らがいる宿舎の反対側は騎士団の宿舎で、常に騎士団が目を光らせているらしい。亜人隊が結成された5年前、当時はお昼の時間帯にミリヤ亭に来ていたのだけど。体格が大きいアサトとナサ。北区以外の地区から来たお客が店に入れないと文句を言った。


 しかし、彼は何を言われても知らん振りをする、契約によって魔物以外の戦闘は御法度。彼らは問題を起こすと騎士団に捕らえられてしまう。


『言わせておけば!』

『ナサ、やめろ! 捕まっちまうぞ!』


 人が嫌いで暴れるナサをロカが押さえながら、隊長になったばかりのアサトはみんなに頭を下げた。


『すまない、迷惑をかけた』


 それを厨房で聞いていた、ミリアは出てきて


『頭を下げなくていい。いつも体を張って私達を守ってくれてるんだ、ありがとうとこっちが言いたい!』


 店に来ていた亜人のみんなにもありがとう! 助かる! お礼を言われたそうだ。


『そうだ! 店が閉まった後の2時ごろにおいでよ。いくらでも店で寛いでいいし、なんなら肉でもなんでも好きなものをたらふく食べさせる。ここなら騎士団の目も届かないからいつでもおいで!』


 だから、みんなはお店の中で元の姿に戻り、ゆったりと寛いでいる。ご飯を食べた後は訓練が始まる時間までお昼寝をする。みんなの寝姿がこれまた可愛いんだ。


「お腹空いたね、カヤ」

「空いたねリヤ」


 いつも仲の良い竜人の双子の男の子。彼らに両親はおらず、ニ年前までは北区で盗人を働いていて、みんなに悪ガキ竜と呼ばれ追いかけ回されていた。


 そんな彼らもアサトさん達に捕まり「牢屋に行くか俺たちの部隊入るか決めろ」と言われて、同じ部隊になったと本人達から聞いた。彼らはいつ見てもカッコいい。学生の頃に出会えていたら本気で剣を交えたかった。

 

 隊長のアサトが持つ大きな斧。

 みんなを守る、ナサの大きな盾。

 ロカさんは魔法を使いみんなのサポート。

 カヤ君に、リヤ君の武器はクローだ。


「ミリアまだかな? 腹減った」


 ナサはテーブルの上に伏せているけど、誰か来るのか入り口に耳を向けていた。他のみんなも顔を上げて入り口を見たと同時に、カランコロンとドアベルが鳴った。


 入って来た人は大きな体、大きな手、大きな斧を持ち大あくびした。


「ふぁ~っ騎士団に昼寝を起こされた。ついでだから、昨日の報告もして来たぞ」

「おぉ! 流石は隊長!」

「ナサ、お前はいつも調子がいいなぁ。それとお前ら! みんなで一緒に宿舎の庭先で昼寝をしていたくせに、騎士団の奴が現れると蜘蛛の子を散らしたようにいなくなりやがって!」


 アサトさんがナサやみんなに詰め寄る。

 ナサはパンと手と手を合わせた。


「すまんアサト隊長。オレ、騎士団の連中が苦手なんだよ」


 カヤとリヤも手を挙げて?


「僕も苦手」

「うん、僕も苦手」


 ロカさんは頭を下げて


「すみません。私もあの方達は苦手です」


 みんなが謝るなかアサトは声を上げた。



「「うるせぇ! 騎士団が苦手なのは俺も同じだ! 後の訓練で覚えてろよ!」」



「シッシシ、それは勘弁だ!」

「私も遠慮いたします」


「僕も嫌だよ!」

「僕も、僕も!」



「「聞いてやらん! みんなまとめて扱いてやるからなぁ!」」


 アサトが来るとお店の中が騒がしくなる。

 みんなに頼りにされている隊長さんだ。


「いらっしゃい、アサトさん」

「よっ、あれっ? ミリアはいないのか」


「いま東区の叔母さんの家に行っています。もし、よかったらオムライスなら作れますが食べますか? 味は……普通ですけど」



「「オムライス! 食べる!」」



 みんなの声が一斉にハモった。

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