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ユウの理  作者: ペンペン中将
第一章【人間族領内編】
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知りたい青年と知らない少女④

「え? 私情?」


 予想の斜め上をいく返答に、アロンは間の抜けた声を出した。


「だめか?」

「いやいやいやいや」


 特になんとも思っていないようなユウに対し、アロンは首を横にブンブンとふった。


「これは一大勝負ですよ! 長年の戦いに終止符を打てるような戦いですよ! その勝率をあなたなら格段に上げられるんですよ! それなのに私情で無理とかどういうことですか!」


 距離を詰めながらの怒濤の質問攻めに、ユウは少し押されてしまった。


「お、落ち着けって」


 まぁまぁ、とユウはなんとかアロンを落ち着かせた。







「はぁ。前までのあなたなら絶対に承けてくれると思ったんですけどね。この四年間で何があったんですか」


 なんとか落ち着いたアロンは、今度は真剣な顔でユウに聞いた。


「うーんそうだな。確かにだいぶと変わったかな」


『自分のこれまでを話したらいけないって訳がないしな』


 ユウは少し考えてから口を開こうとした。


「う、うーん」


 それは計算尽くされたような、神がかったタイミングだった。


「ミ、ミヤビ様! 意識が戻りましたか!」


 アロンはミヤビに駆け寄った。


「あ、あれ? 私さっき死んだ……でもアロンがいるし……なんで?」


 ミヤビはキョロキョロと周りを見渡した。


「よう。気がついたか」

「え?」


 そして自分が、知らない男の人に抱かれているのだと気付いた。


「わ、わあああああああ!」

「ちょ、ぐへぁ!」


 急にミヤビが暴れだしたので、ユウはもろにパンチやキックを食らった。


「や、やめて! お願いだから私をあの場所に帰らせて!」

「ミヤビ様落ち着いて!」


 ユウとアロンが二人がかりでミヤビを落ち着かせた時には、両者の顔はアザだらけになっていた。






 数分後、ミヤビはすすり泣きながら壁に向かって体育座りをしていた。


「で、ミヤビだったか? この子はいったいなんなんだ?」


 ユウはアロンに回復命術をかけながら聞いた。


『ていうかこれをまず聞くべきだったな。再会が意外すぎて忘れてた』


 ちなみに回復命術は自分にかけることはできない。あくまで自分の生命力を使っている訳なので当然と言えば当然の話だ。


『……そういえばなんかまだ重要なことを忘れてる気がするんだよな』


 そう考えたが思い出せないのでユウは一旦諦めた。


「ミヤビ=グランティア、と言えば分かりますか?」

「グランティア……まさかとは思うが王族か?」

「その通りですよ」


 ユウは大きくため息をついた。


「ほれ、治ったぞ」

「ありがとうございます。では話を続けましょうか」


 アロンはミヤビに近づくと、優しく背中をさすり始めた。


「ミヤビ様は先代の王である、トルエ=グランティア様の実の娘です」




 人間族は障壁内に閉じ込められてから四百年間。ずっと同じ一家が王として君臨していた。それがグランティア家。特筆すべきはその圧倒的な政治力だったが、近年はそれが落ちてきているという傾向があった。ちょうど二ヶ月ほど前に、()()()()()()()()()、十五歳の息子に王位継承が行われたばかりである。




「ミヤビ様は三歳の時から地下牢獄で過ごしていました」

「は?」


 突然ぶっ飛んだことを言われて、ユウは固まってしまった。


「なんでそんな事されたんだよ」

「そうですね。簡単に理解するなら見た方が早いでしょう。ミヤビ様の命力を見てみてください」


『なんだ? 命力に異常でもあったのか?』


 混乱しながらもユウは言われた通り、目に命力を集中し、ミヤビの体を見た。補足しておくと、この行為も一応は回復命術にあたる。


「は? なっ? えぇ?」


 ユウは様々な予想を立てていた。普通は血液のように流れている命力がぐちゃぐちゃに流れている。体外に命力が溢れ出ている。命力が極端に少ない、または多い。このような事例はユウも遭遇したことがあった。しかし今回ユウが見たのは、そのどれでもなく、それ以前にあり得ないものだった。


ちょっと話が進んだかな?一気に分かってしまってもあれなのでチマチマと謎は解いていきます。

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