ラブホ
ある祝日にて、2人のカップルはラブホテルの前で止まっていた。
「ねぇ、ここであのお願いを1つ消化してもいいかい?」
「な、ななな、なんや……」
「……」
「……」
「……今日はやめよっか」
「……へ?」
「うん、今日じゃないね。あー、今日は何ていうか……ラブホよりマクドって感じがするなぁうん」
「……」
「僕には分かるんだよね。こう、なんていうか、今日は今日という日があって? ラブホにはラブホ日和っていうがあって? まぁ、織田豊臣徳川風に言うなら 鳴かぬなら 今日はやめるか ホトトギスって感じかなってね。是非平成の次の年号には僕の名前を――」
「なぁ」
「……はい」
「……」
「……」
「ほな言うならやめるか」
「……え?」
「まぁ、そこまで言うならしゃあないし? 今日はあんたの言うこと1つ聞くって決めてもうてるしなぁ……」
「えっ、ちょ――」
「それにうちもちょうど思っててんよなぁ。今日はラブホよりマクドっていうか? むしろモスでも行こうかなって? まぁ、信長秀吉家康風に言うなら 鳴かぬなら 飯でも食べるか ホトトギスってな? うんうん、次の年号はうちの名前で決ま――」
「ねぇ」
「……はい」
「……」
「……」
「お昼、食べに行こっか……」
「……せ、せやな」
「……」
「……」
「(僕のヘタレえええええええええええ!!)」
「(うちのバカあああああああああああ!!)」
このあと、気まずいデートになった。