ごめんなさいよりありがとう2
本日2回目の投稿なので1つ前からご覧ください
僕は、ありのまま、あの告白の日の出来事をすべて水越さんに話した。一度浮世さんに打ち明けたおかげか、取り乱すこともなく、自然に話すことができた。すべてを聞き終えた水越さんは眼鏡の位置を直すと口を開いた。
「気にする程のことでも、無いんじゃないですか?」
「え?」
疎むでもなければ憐れむでもない、あっけらかんとした言葉に僕は何を言われたのかわからず、思わず聞き返してしまった。
「もう芳員くんの中で折り合いがつきつつあるようですし、私がこんな事をいう必要もないかもしれませんけど、芳員は別に悪くないと思いますよ。芳員が勇気を振り絞って告白したのに、気絶なんてしたその女の方が悪いくらいです!ーーーもし言われたのが私だったら………」
最後の方が小声で良く聞き取れなかった。
「え、なんて………?」
「な、何でもないです!」
何故かうろたえる水越さん。
「実は私の耳にも芳員君についてのいろんな噂は入っていたんです。荒唐無稽な誹謗中傷の類だと思ってたんですけど、真実を含んでいたんですね。でもですよ、芳員くん、垢が出やすい体質、別に気にするほどでも無いんじゃないでしょうか?代謝が良い人は痩せやすいし、いくら食べても太らない、って聞いたことがあります。むしろ羨ましいくらいです」
そういって拳をぐっと握るポーズをする水越さん。
「クスッ、ありがとう、水越さん」
水越さんの姿がなんだかおかしくて、少し笑いながら僕は御礼を言った。
「え…?」
御礼を言われた水越さんは何故か頬を少し赤らめながら聞き返した。
「最初は、水越さんに謝らなきゃって思ってたんだけど、今の話を聞いて思ったんだ。謝るより感謝するほうが正しいのかなって、だからありがとう、水越さん」
そういって笑いかけると水越さんは俯いてしまった。しまった、やっぱりちゃんと謝った方が良かっただろうか………?
「神奈、じゃだめですか………」
「え?」
ぼそっと言った言葉が上手く聞き取れず聞き返してしまう。
「ななな、何でも無いです!」
顔を真っ赤にした水越さんが、とても入院患者とは思えない勢いでぶんぶんと手を振り回す。
「おーい、もうそろそろワシも話に混ざっても良いかの?」
と、横合いから突然浮世さんの声がかかった。
「うわあ!」「きゃあっ!」
水越さんと僕が同時に悲鳴をあげる。そ、そういえば浮世さんもいたのか………
「坊主等の空気があまりにもアレなんで、声がかけられんかったんよ。甘酸っぱい雰囲気も十二分に堪能したところで、そろそろ本題に入っても良いかいね?正直あまり余裕が残っとらんようじゃしの」
こいつらどっちも難聴かよ!




