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4 精霊召喚


やっと《精霊》だあ。


事前に調べていて、これが一番楽しみだったんだよね。

ひとくちに精霊と言っても、プレイヤーによってスキルも見た目も全然違うらしい。人型だったり、動物型だったり、珍しいのでは武器や道具型という人もいるらしい。


「こちらが精霊の指輪です。」


目の前に4種類の指輪をのせたトレーを差し出された。指輪にはそれぞれ攻撃系、防御系、回復・支援系、生産補助系とそれぞれ説明がついている。


「指輪は取得しやすいスキルの系統ごとに分かれています。あくまでも取得しやすいだけで、成長させれば他の系統のスキルを取得させることも可能ですのでご安心ください」


どうしよう……。調べているときには生産補助系にしようと思っていたけど、さっきの話を考えると戦闘に関係した系統のほうがいいかも。戦闘は全力でさけるつもりだったけど、避けられないということだもんね? 戦闘が不安すぎるから、助けてくれる存在が欲しい。すると、防御? いや、いっそのこと倒してくれるほうがいい?

うん、強そうな狼とかライオンとかの精霊だとモフモフも出来て嬉しいかも。


「お決まりになりましたら、1つお取りください。」


「これにします」


私は攻撃系の指輪をひとつ手に取る。指輪には不思議な模様が彫られており、透明の石が1つはまっている。


「そちらでよろしいですね。精霊を召喚した後の交換は出来ません。どのようなスキルの精霊が召喚されるかは、ランダムとなっております。ただ強く願うと反映されることが多いですよ」


「強く願うですか?」


「はい、その指輪をはめていただくときにこんな形の精霊がいいとか、こんなスキルの精霊にきて欲しいと願うと精霊が想いに応えてくれることがあるようです。」


「わかりました」


私は心を落ち着けて、左手の中指を伸ばした。


「強そうな精霊さん来て下さい。攻撃力の高い精霊さん、前衛で戦ってくれるような精霊さん……その上モフモフ出来る可愛い精霊さんがいいです……強くて可愛いの!」


左手の中指に指輪をはめてみると、指輪はきゅっと縮まり不思議とサイズがぴったりとなった。その瞬間、指輪についていた石が光輝くと目の前に一人の男の子が立っていた。


「精霊召喚がうまくいったようですね。彼があなただけの精霊です。」


「え? この子が?」


目の前の精霊と呼ばれたのは背が低くて5頭身くらいの男の子。幼稚園児にしか見えない小さな子である。青い髪に青い目、背中に体に合わないくらい大きな剣を背負っている。


「そうです。名前をつけてあげてください」


「名前……」


残念ながらモフモフな動物じゃなかったけど、この子も小さくてかわいいかも。 どんな名前がいいかな?

彼をじっと見つめると、彼も私をじっと見上げた。大きな目がくりっとしていて、ワンパクそうな顔をしている。目の色は青というよりも少し紫がかっており、ラピスラズリに似ている。


「ラピス……は、どうかな?」


彼に問いかけると、彼はニカッと笑ってうなづいた。


「ラピスでよろしいですね?」


「はい」


するとラピスは光って指輪に吸い込まれていった。指輪についていた石はいつの間にかラピスの瞳の色に変わっている。

本物のラピスラズリみたい。


「精霊は呼び出したいと思えばいつでも指輪から呼び出すことができます。指輪に帰したいときも同様です。これで登録はすべて終了しました。メニューと唱えてもらってもいいですか?」


「え? メニュー?」


そう言った途端、目の前の右側にさまざまなアイコンがついたウインドウが現れた。


「この画面でさまざまな情報をみたり、設定を行うことができます。声に出さなくても、心のなかで唱えるだけでも開くことができます。一番上のステータスを開いてください」


一番上のアイコンに開こうと意識を向けるだけでもステータス画面が開いた。意識だけで動かせるなんて、慣れるまでびっくりしそう……


──────────────────────


リーフ Lv1

HP 50/50

MP 50/50

筋力値(STR) 10

防御値(VIT) 10

敏捷値(AGI) 10

器用値(DEX) 10

知力値(INT) 10

幸運値(LUC) 10

【調薬 Lv1】【採取 Lv1】【鑑定 Lv1】【ダッシュ Lv1】【火魔法 Lv1】



《精霊》

ラピス Lv1 親密度 5

HP 60/60

MP 40/40

【大剣 Lv1】【筋力強化 Lv1】【人間化 Lv1】


───────────────────────


「名前やスキルに間違いはございませんか?」


「はい」


私はウインドウを見てうなづいた。ラピスの武器はやっぱり大剣なんだね。身長に対して大きすぎる剣だと思ったけど、【筋力強化】があるから扱えるってことなのかな? じゃあ、スキルの【人間化】ってなんだろう?


「あの、【人間化】ってなんですか?」


「精霊の姿から人間の形態に変化するとスキルですね。詳しくは、街に行った後お試しください。」


よく分からないけど、やってみたら分かるってことかな?


「精霊もレベルあげたり、条件を満たすことによってスキルを増やせますので、精霊のアイコンを見てみてください。」


上から4つめのやつかな? 忘れず確認しなきゃ。


「リーフ様のスキルを新たに取得したり、スキルの入れ替えはスキルのアイコンで行うことができます。新たに取得できるスキルが増えると、アイコンが点滅しますのでご確認ください。それではこの後、始まりの街へ転移することになりますが、戦闘や生産の仕方のチュートリアルは必要でしょうか?」


アリスさんの言葉と同時にウインドウが1つ新たに現れる。


────────────────────

チュートリアルクエストを受けますか?

YES / NO


(詳細)

────────────────────



もちろん詳細を確認する。


────────────────────


以下の6つの条件を満たすことでクリアとなります。

・道具屋でアイテムを購入する

・アイテムを使用する

・モンスターを3体討伐する

・冒険者ギルドに登録する→戦闘訓練をうける

・生産ギルドに登録する→生産講座をうける

・いづれかのギルドで依頼を受け、達成する


報酬:スキルポイント10


─────────────────────


うん、これも攻略サイトに書かれていたのと同じみたい。チュートリアルというととばしたくなる人もいるみたいだけど、これは受けないと損すると書かれていた。確かにスキルポイント10は大きいよね。初期スキルは5ポイントで取れるらしいので、スキル2つ分ももらえる。

もちろん私はYESを選択する。


「チュートリアルを受けるを選択されましたので、地図に該当施設の印がつきます。それを目安に行動してください。該当施設に行きましたら、説明係がついたり、説明ウインドウがあらわれる場合がありますので指示に従ってください」


「はい、わかりました」


「それでは、これから始まりの街へリーフ様を転移させていただきます。よろしいでしょうか?」


「あ、すみません。設定で痛みを軽減できると聞いたのですが?」


「はい、痛覚軽減システムですね。こちらから設定できます。」


アリスさんが手を動かすとウインドウが現れた。0~100の数字が書かれた棒が書かれている。その棒の50のあたりに三角印がついている。


「こちらが痛覚軽減の度合いを表すものになります。100にするとほとんど痛みは感じなくなります。0にするとほとんど軽減されません。ただ、大きな攻撃を受けた場合などは精神的ダメージを軽減するために、0にしていても軽減システムが発動する場合があります。」


うん、0にする人なんているのかな? 私には絶対無理だわ。

私は迷わず三角印を100にあわせる。


「100にしても、まったく痛みがなくなるわけではありません。攻撃を受けたことが分かるように、押されたような感覚と鈍い痛みは少し感じますことはご了解ください」


「やっぱり痛いんですね」


「はい、まったくないと死ぬ確率が高くなりますのでこのようになっています。ただそこまで痛くはないはずです。ツボを一瞬押されたような感覚と言われています」


ツボって……。私結構足つぼは痛く感じる方だから、怖いなあ。


「あと痛覚軽減を100にされるなら、HPとMPのバーは常時表示設定にしたほうがいいですよ。」


そういって今度は表示設定のウインドウが目の前に開かれた。

HPMPバーは常時表示か、戦闘時のみか、表示しないが選択出来るらしい。


「状態異常などの影響も感じにくい場合があるので、戦闘中以外に食べ物の毒などを受けたときに知らないうちにHPが減っていたり、死角からの不意打ち攻撃に気付かないことがあるのです」


アリスさんのアドバイスにあわせて常時表示に印をつけると、視界の左上に名前とレベル、HPとMPのバーが現れた。ついでに現実とゲーム時計にも印をつける。これは右上に小さく表示された。これで時間を忘れてゲームをしすぎることもないかな?


「他に何か聞きたいことはありますか?」


「うーん……」


分からないことはたくさんあるけど、チュートリアルを終えれば分かるようになるかな? なにかあれば茜に聞けばいいよね。


「操作方法などで分からないことがありましたら、ヘルプをご覧ください。それでもわからなければコールして頂けましたら、案内させていただきます。ゲーム内容で分からないことがありましたら、街の住人たちに聞いてみてください。ヒントをもらえることがありますよ」


住人に聞いてみるのはRPGでは定番だよね。うん、何はともあれ始めてみるほうがいいのかな?


「分かりました」


「それでは転移いたします。よき冒険をお楽しみ下さい」


そうして私は光に包まれていった。


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