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26 ラビ肉ステーキ

ポーション瓶がなくなってしまったので、次は料理をすることにする。

まずはいつものラビ肉のステーキの下拵えからする。

あとから戦いに行くから、今食べる分と戦い終わった後お腹が空いたように2つは絶対にいる、それにお肉はラピスのお気に入りみたいだから少しは多めに作っておかないとね。


ラビ肉にハーブを揉みこんでおいている間に、スライムジュース作りに取りかかる。

果物もたくさん買ってきたので、昨日よりも果物をたくさん入れたのを作ったり、何種類か混ぜたのなどいろいろ試してみる。

スライムをいくつか捌くと慣れてきたためか、Cが出来上がるようになってきた。どうやら短時間で完成させると品質があがるようだった。


─────────────

・スライムジュース(ラーラーの実味) C

スライムの体液で作られたジュース。ラーラーの実がたっぷりとはいっている。

満腹度:微小

─────────────


Dのときにはあった甘味が少し足りない。という文言がなくなっている。

味見をしてみると、確かに普通のジュースのようにしっかり甘い 。そして炭酸が強くなっていた。


甘味が足りないのは中に入れるフルーツのせいなのか、スライムのほうのせいなのか?

私は試しに果物を入れないスライムジュースを作ってみた。


─────────────

・スライムジュース(無果実) C

スライムの体液から作られたジュース。果物は入ってないため、無臭。

─────────────


ただの甘い炭酸水だった。サイダーのような香りも何もないのでソーダ水のような少し物足りない感じはするが、これはこれでありなのかな?

ラピスにも味見してもらったけど、ラピスはこれはあまり好きではないらしい。

うん、レシピどおりフルーツを入れたほうがおいしいもんね。


でもこれ、蒸発させると砂糖だけ残ったりしないかな?


スライムジュースの炭酸も時間と共になくなるのか分からないけど、いまはシュワシュワする甘い水だから水分をなくせば出来ないかな?

砂糖は地味に高かったし、スライムから作れるなら金銭的に助かるかも。砂糖にはならなくても蜜のようになってくれれば料理に使えるかもしれない。

私は試しに加熱してみることにした。



加熱しているうちに、もうひとつ何も入れないスライムジュースを作ってみる。

炭酸で思いついたことがあるのだ。

前にテレビで見た情報を思い出したのだ。


それは炭酸水にお肉をつけておくと柔らかくなるというもの。


前に見た気がするんだけど、違ったかな? 確かアレは甘くない炭酸水を使っていたはずだけど、これだとやっぱり問題あるかな? お肉が甘くなったり、焦げやすかったりするかな?

考えても仕方がない。やってみなければ分からないよね。失敗してもドロップ品はたくさんあるのだから、問題ない。

私はラビ肉の下拵えをしてスライムジュースにつけておいた。


その間に最初に下準備したラビ肉を焼く。やっぱり今回もCだった。ラビ肉の下拵えも数をこなしたら、品質あがるのかな?


「うーん……」


料理でAはなかなか難しいなあ。ポーションみたいにどこかに光るタイミングがあるのかな? 私は首を傾げながらも、お肉を焼いた。

お肉に集中していると、ラピスにツンツンとされた。どうやらお肉を2枚ほど焼いたところで、加熱していたスライムジュースの水分がなくなってきたようだった。

加熱していたビーカーを覗くが、何も見えない。いや、残りわずかなスライムジュースらしき水分が底に少しあるけど、それだけしかない。それもサラサラしていて蜜のようになっているようには見えない。私は最後まで加熱してみたけど、残ったものは何もなかった。


「なんで?」


砂糖どころか何かのカスすらも残らなかった。すべてキレイに蒸発してしまったようだ。


「うーん……?」


スライムジュースはシュワシュワする砂糖水という認識じゃダメってことなのかな?

私はますます首を傾げた。


「じゃあ、この肉も意味なかったかな?」


私は炭酸水に浸けておいたラビ肉を持ち上げた。


「えっ!?」


持ち上げた瞬間びっくりして、取り落としそうになる。持った感じが全然違う! なにこれ!?


「柔らかいっ!」


全然期待していなかっただけにびっくりした。

これはいけるかもしれない。

私は慌ててハーブと酒を揉み込み、塩こしょうをする。そしていつも通り焼いてみた。


─────────────

・ラビ肉のステーキ A

ラビ肉を焼いたステーキ。下処理がきちんとされているので、臭みもなく柔らかい。

満腹度:大

─────────────


「A……?」


見間違えでもなんでもなく、見た目からして美味しそうなステーキである。

ラピスの顔を見ると食べる気満々のキラキラした目をしている。


「食べてみようか?」


ラピスが首を上下にブンブンと振る。そんなに勢い良く振らなくてもというくらいの激しさである。

私は恐る恐る一口サイズに切り分ける。包丁を入れた感じが今までとは全然違う。スッと刃がはいってキレイに切れた。

ラピスと同時に口に入れる。


「おいしいっ!!」


触感が違う! 肉汁の出方が違う!

今までのステーキとの違いにびっくりする。あの屋台の串焼きと同じお肉を使っていると分かるくらいにやっとなった。

ラピスはいつも以上のハイペースで口をモゴモゴとさせている。全部食べてもいいよね、いいよね、という期待した顔を向けてくるので、さっき食べたばかりでしょと取り上げることも出来ない。

間違いなく品質Aが出来上がったようだ。


でもなんでだろう?


考えられるのはスライムジュースに浸けたことだけど、まさかBをとばしてAが出来るとは思わなかった。

検証してみようにも、もうレンタル時間は終わる頃だったので、時間がない。私は諦めてラピスとステーキを堪能することにした。

ポーションのAも嬉しかったけど、ステーキのAはもっと嬉しいかも。ステーキは自分で味見をしながら試行錯誤していたので、成果が実感しやすい。ポーションは自分使う用ではないので、効果も説明文の違いしかなかったしね。

私がステーキをもう1切れとろうとすると、ラピスがスッとお皿をずらした。

ラピス、さすがに一人で全部食べるのはダメだからね。


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