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18 MPポーション作り

MPポーション作製のクエスト受けちゃった。

この後は、料理の材料を買ったり、教えてもらった本屋でレシピを買いに行ったりしようと思ってたけど……。

時間制限あるし、こっちが先だよね?

私は先程手に入れたMPポーションのレシピを確認する。

必要な材料は魔薬草と水のみ。

魔薬草は昨日の採取のとき、一緒に採取した覚えがある。

少し紫がかった緑色の葉っぱの草だ。

特長的な色の草なので、目につくと出来るだけ採るようにした覚えがある。

収納リングの中を確認してみると、

魔薬草 B × 8

魔薬草 C × 41

魔薬草 D × 32

魔薬草 E × 12

うーん、足りるかなあ?

Cの魔薬草からCのMPポーションを作ることを考えると間違いなく足りない。

採取しに行かないといけないのかあ……。


「うーん……」


ラピスが私の様子を首を傾げて見上げている。

ラピスがいてくれるし、ちょっとくらいなら採取いけるかな?

はじまりの街の周辺だし、私でも倒せるモンスターのはずだけど……

今はまだ2時過ぎだからしばらくは昼時間だし……


「よし!」


一度MPポーション作ってみよう。

作ってみて、どのくらい必要か目安をつけてから行く方がいいよね?

それに今はMPポーションは最初に買った2本しか持っていないので、作ったものを念のため持って行ったほうがいいはず。

さすがに急に戦う決心はつかない、ちょうど心の準備をする時間もちょっとはできていいよね。


「ラピス。MPポーション作りに生産ギルドに戻ろうか?」


ラピスはコクンと頷いてくれる。


「そのあと採取しに街の外に出る予定だからね」


ラピスは目を輝かせてばんざーいをする。

公園に行くよと言われた小さい子みたい……。

ラピスにとっては街の外は公園感覚の遊び場なの?

モンスターがたくさん出るんだけどなあ、分かってるのかなあ? それともモンスター退治がそういう遊びってこと?

ラピス、無邪気すぎでしょ……。

街の外に出るのに尻込みしている私が情けなく感じるよ。


ラピスは繋いでいだ手をブンブンと振りながら生産ギルドへご機嫌で歩いていった。






今回は生産スペースを2時間借りてみる。

初心者用調薬セットとCの魔薬草、ポーション瓶などを出して準備は万全。

隣を見るとラピスも腕捲りをしてヤル気充分みたい。

最初はレシピを見ながら、ゆっくりと作ってみる。

魔薬草を適当な大きさにちぎって水のなかに入れて加熱する。加熱すると水がだんだん紫色になるので、葉っぱを取り除き完成となる。


───────────

・MPポーション E

MPを5回復させる

───────────


「Eかあ」


今回はEからのスタートかあ。

だけど、MPポーションも前に攻略サイトを見たときにCにする方法が書かれていたんだよね。

確か茎から葉っぱを丁寧にとって、1枚の葉っぱを6つくらいにちぎってしばらく水につけておいてから加熱。最後の葉っぱの取り除きは丁寧にするといいんだっけ? あと加熱をやめるタイミングが難しいらしい。


「ラピスもこんな風にちぎって、この器の中にいれて」


調薬用のビーカーの数が少ないから、水に浸しておくのはさっき買ったスープ皿や小鉢を利用しよう。

最低でも10分は浸しておくらしい。1回分ずつ水を計りながら浸しておく。

意外と作るのに時間がかかりそう。

これ、ラピスもいるし、調薬用に小鍋でも買い足そうかな?

そうしたら一度に加熱できるよね。

小鍋ならさっき道具屋に行ったとき買えばよかったなあ。

でも一度にたくさん作るのはまだ無理か。

うーん、調薬セットならカウンターでも買えるから道具の数を増やしてやるしかないかな?


「ラピス、ちょっとごめん。カウンター行ってくるから待ってて」


ラピスは作業をしながら頷いてくれる。


急いでカウンターに行き、調薬セットを購入したいことを告げる。


「リーフ様はまだギルドランクが低いため初級調薬セットの購入は出来ません」


「え? 初級?」


「はい、初級購入にはギルドランクが☆2つ以上必要でして。リーフ様はまだ☆1つですので、もう少し依頼を頑張って受けてください」


そうか、初心者用の次は初級っていうんだ。

1つ上のランクの道具を買うにはギルドランクを上げないとダメなのね。


「いえ、今持っている初心者用調薬セットをもう1つ欲しいと思ったんですけど、もしかして1人1セットしかダメなんですか?」


「初心者用でしたか。購入することは出来ますが、リーフ様には初回講習の特典でお1つお渡ししたばかりでしたよね? 何か不具合がございましたか?」


「いえ、壊れたとかではないです。私の精霊も調薬できるので、道具の数を増やしたかっただけなんです」


「そうですか。頑張っておられるのですね。初心者用調薬セットは3000Gです」


「3000Gですか? 初心者用調理道具セットより安いんですね?」


確か5000Gで高かった記憶がある。


「いえ、同じですよ。初心者用の道具セットは全部3000Gとなっています。ただスキルをお持ちじゃない方には少し高めでの販売となっているのです」


知らなかった……、2000Gも損していたなんて。

買った時は後悔しないと思ったけど、やっぱり先に道具だけ買うなんてするものじゃないんだね。


私はちょっと凹みながら、3000Gを払って初心者用調薬セットを手に入れた。


「ラピス、ただいま」


レンタルしているスペースに戻るとラピスの前には、たくさんのお皿が並んでいた。


「かなり頑張ったね。じゃあ、加熱してみようか?」


最初に浸けておいたものの方からビーカーにいれ、加熱していく。この加熱時間がポイントで、沸騰してから火を弱めて約2分で色が充分に出たところで止めないといけない。これも火加減や葉っぱによってちょうどいいところが違うらしくて、最適な抽出具合は自分で見つけるしかないらしい。

とりあえず2分で加熱をやめてみる。

さっきよりと色が濃くなったかな?

ピンセットで丁寧に葉っぱを取り除いていく。

小さいカケラもいくつかあって、意外と手間がかかってしまう。

でも出来たのはDのMPポーションだった。


「よかった。ちょっとは品質が上がったね。よし、こんな感じで大丈夫みたいだし、次々やってみよう!」


加熱しては葉っぱを取り除くをどんどんやってみる。

出来たのはD、D、D……

加熱していくとどんどん紫色が濃くなっていく。もう少しもう少しと加熱し過ぎると、今度は濁りが出て来てEが出来上がった。

紫色が濃い方がいいけど、加熱しすぎはかえってダメらしい。

D、D、D……やっぱりすぐには作れるようにはなれないみたい。

私は道具屋で買ったCのポーションを取り出した。

自分で作ったDのポーションと比べてみると、確かに少し薄い気がする。


「うーん……」


加熱しているビーカーとCのポーションを見比べながら、ちょうどいいタイミングを探す。


「よし、いま!」


丁寧に葉っぱを取り除く。


────────────

・MPポーション C

MPを15回復させる

────────────


「やった!」


ラピスを見ると、ラピスもニコニコとしてくれていた。

この感じでやれば大丈夫かもと思ったが、次に出来たのはD。

Cのポーションをお手本に加熱をしているが、なかなか安定してCにはならない。

D、C、D、D、C、D、C、C……

うーん、もう少しで何となくコツが掴めそうなんだけどなあ。

取り除くのにはもうピンセットではなく、料理用のザルを使うようにした。調薬に使うには大きすぎて使いにくいけど、はやくて確実に小さい葉っぱも取り除くことができる。


「だけど、もう少し小さいやつの方がいいよね? 茶漉しとかないかな?」


あとで道具屋で聞いてみようと考えながらポーション瓶に入れていると、ラピスに腕を引っ張られた。


「どうしたの?」


ラピスはテーブルの上を指差した。

あんなにいっぱいあったお皿がない。

どうやら水につけておいたCの薬草はすべて使ってしまったみたい。


「これで最後かあ」


今からあらたにCの魔薬草を水に浸して作るほどの時間もない。今、熱している2つで今回の生産はおわりとなるみたい。

残り2本分、目を凝らしてタイミングを見極める。


「うーん……ん!?」


ビーカーが一瞬淡く光った気がしてあわてて火を止める。

急いで葉っぱを取り除いてみるが、出来上がったのはC。

ポーションのときにも光が見えることがあった。この光にあわせて作るのがポイントなんだと思うけど……。

最後の1つにも目を凝らす。

だけど、出来上がったのはC。


Cは出来るようになってきたからオッケーかな?

Bも出来ればいいけど、焦る必要はないはず。

結局、今回出来上がったのは

MPポーション C × 9

MPポーション D × 17

MPポーション E × 2

かなり失敗してるなあ。

ラピスが【調薬補助】をとったのと、道具を増やしたおかげで作業スピードは上がっているけど、MPポーションは水に浸しておいたり、加熱したりするのに時間がすごくかかる。

これは大変かもなあ。


水に浸してたままリングに入れておくとどうなるのか見るために、Cの魔薬草を5つとDの魔薬草を5つくらいちぎって浸す。

でも、食べ物が出来立てのまま入れられることを考えるとリングに入れている間は浸している時間とはカウントされなさそう。


「うーん……」


片付け終わると時間が少し余ったのでお婆さんからもらったグミを二人で食べて休憩する。

ラーラーの実はぶどうのような味の果物らしく少し酸味があったが美味しかった。

感触はかなりプニプニで、私が想像したよりもずっと柔らかいグミだった。


「美味しいね?」


ラピスも口をもごもごしながら頷いてくれた。


「次は採取に行かなきゃね?」


そう言った途端、ラピスはスクっと立ち上がり出口に引っ張って行こうとする。

ラピス……おやつよりも外がいいんだね。

私は覚悟を決めて、門のところへ歩いていった。




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