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第二巻 『七話』 難攻不落の学生寮

更新遅れました。

早くも人生の佳境突入か!?っていう夏休みでした。

「やぁ、告白だと思ったら、首輪をつけるよう強要された人」



大山の説教を終え、立派に生還した由貴に、詩織から投げつられた言葉だった。


「ど、どうしてそれを....」


よくぞ!聞いてくれましたアンタは偉い!!とばかりに、


「もう、有名な話よ。

佐倉さんに連れられて授業をサボった由貴ちゃんが首輪を強要され、さらに佐倉さんに懇願されちゃったんでしょう?

あの転校生、なかなかやるわ...」


「いやいや、その授業中にあったはずの出来事を誰が、どこで手に入れてきたんだろうね…」


詩織は携帯をいじりながら


「それなら、柚華ちゃんが携帯持って、ふれ回ってたよ。」



よし、今度彼女の携帯を取り上げよう。



****



ニヤついた詩織を振り切ると、肩が急に重くなった。


「なんだ、なんだ?辛気臭い顔しやがって。

あの首輪の件がそんなにショックか」


泰治は由貴の首に腕を絡ませ、締め上げてきた。

いわゆる、チョークスリーパーというらしい。


「別に、佐倉さんに言われたことは諦めているんだけど、柚華が広めているらしくて...

今時の携帯電話というものは無駄な機能ばっかつけやがって、こうして犯罪に使われているというのに」


確かに携帯の機能は日本経済の発展とともに増えているといっても良い。

カメラ付き携帯、写メールから始まった機能は、万歩計やGPSのように電話を逸脱した機能もある

ボク自身、最軽量の携帯を使ってるから多機能とは無縁だけど、少しも羨ましいとは思わない。


たぶん....



校門のほうが騒がしいのだって、聖ラテラノの制服が珍しいからだった。


自分自身、友人もとい同居人以外で見たことがない。

その同居人とはいうと、朝から定食を2つ平らげ、牛乳パックを全て飲み干し、さっさと家を出ていってしまった。


「ほう、あれがリアルお嬢様学校か。

鉄壁を誇るセキュリティーに門外問わず配置されたガードマン。

難攻不落の聖ラテラノ女学園、唯一俺が墜とせない女」


一瞬、泰治がかっこいいと思った由貴だが、所詮は女好きの敗北宣言だ。


「泰治ってさ、いつも女の子のことを考えているよね。

その一般人を軽く凌駕する情報は実体験かい?」


「ああ、そうだとも。

陸上で有り余った体力を生かし、授業中に寝ずに考えた攻略法を幾度となく実戦したものの、結果は惨敗だったけどな。

人としての倫理観をなくすまえに諦めたよ」


ふふふ…と真っ黒な笑いを浮かべる泰治を自分はどんなふうに見ているのだろう。

きっと、キャバクラに入る父親を見たときよりも、ひどい顔をしていただろう。


すると、急に人垣が割れ、銀髪をした少女がこちらに歩いてきた。

少女は不機嫌そうに由貴を見つめると「ハンッ」と鼻で笑い、ニヤニヤしながら迫ってきた。


「ようこそ、この平凡な公立高校へ。

私は泰治、あなたの可憐なる容姿に惚れ込み、ここに参上いたしました」


今時、ホストでさえ言えないような歯が浮くセリフをさらりと口にし、片膝をつき、どこからだしたかわからない薔薇をくわえた泰治がサッと前に出た。


「どけ、変態。

貴様の顔を知らない者は我が学園に居ない。

幾度となく、無断進入を試み、学園を一歩でも踏み出せば、しつこいナンパを仕掛けてくることで有名だからな。

お前のおかげで聖ラテラノの対人系の警報機が数倍に増えたことで変態として認識しているっ!」


少女は泰治をゴキブリを見るような目で軽蔑し、立ち上がろうとした泰治の頬に膝蹴りを食い込ませ、

何事もなかったように由貴に振り返った。


「やぁ、告白だと思ったら、首輪をつけるように強要された人。

わたしとしても、そこまでは考えつかなかったぞ?」


由貴の表情がビキリと凍りついた。

たとえ、ここにいる銀髪の少女が由貴の知る聖ラテラノ生、フィネであるとしても、

たとえ、その原因である佐倉が玄関から由貴めがけて、突進してきても、由貴の表情が動くことはなかった。


「柚華っっっーーー!!!!」


普段の由貴だったらありえないほどの叫び声だったが、そこは由貴である。

どう聞いても、女の子の甲高い声だった。


「ひゃいっ!?」


人垣の中から号泣半分、驚き半分の悲鳴が上がった。

自然と柚華中心にさーと人の波が避け、孤立無援の状況にある柚華はギュッと携帯を握りしめ、由貴から視線を逸らした。

その柚華に歩を進める由貴。


「さあ、出してもらおうか」


由貴にしてみれば、真剣に言ってるのだが、柚華は頬を赤らめ


「えっ?由貴くん、いきなり人前で何を出せと言うの!

由貴くんがそんなに鬼畜なんて知らなかったよ」


するとフィネが、


「携帯だぞ、莫迦者。

わたしこそ、柚華がそんなことを考えてたなんて知らなかったよ」


呆れかえった表情で由貴をたしなめるフィネだったが、柚華の携帯と一緒に自分の携帯を差し出す羽目になった。



****



「と言うことは、佐倉は『公館』からの監視および護衛なのだな。

『天使憑き』なのだからしょうがないのだろう」


了解の意を示したフィネだったが、あまり良くは思ってないらしい。

小気味よい小さい顔をしかめた。


「まぁ、そんなとこかな。

あなたたちのことは良く知ってるわ、フィネッツァ・フィアベスコさん。

若くて能力の高い魔術師だから」


佐倉のほうも、あまりフィネのことを良く思ってないようだ。

何というか、ピリピリしている。


「じゃあ、これから家にもついてくるってこと?」


柚華にいたっては、二人のまがまがしい雰囲気をぶち壊して会話に割り込んできた。


「今回は監視を含めて護衛が任務だし、家でやましいことしている訳じゃあないんでしょ?」


「・・え、えっとその・・・・ユキくんは....「いいえ、一切そんなやましいことはありません!」」


この子は顔を赤らめて何を想像しているんだか...

僕が誤解されるだろう。


「……、露骨な反応すぎて逆に怪しい」


そんなジト目で見ないでほしい佐倉さん。


「ここからだと30分くらいだし、そこの駅ビルに寄っていこ!

アクセサリーとか見ていきたいし」


また、柚華が突拍子もないことを言う。


「ん〜わたしは賛成。

基本的には由貴の護衛が出来れば」


「決まりだな」


佐倉が合意したじてんで、駅ビルに行くことが決定したらしい。


「すいません、僕の意見は...」


「「「おまえに人権はない」」」


ううっ....今度泣いてやる




「フィネッツァさん...ちょっと....」


商品を物色しているときに佐倉と柚華が意味ありげな視線を送った。


「なら、私も一緒しよう。」


その意味ありげな視線に答えたフィネに由貴は思い切った質問をした。


「いったい、どうしたんだ?フィネ」


フロアの奥へ向かう二人の後についていくフィネは、一瞬、顔をしかめ、


「トイレだ!莫迦者。

もう少し甲斐性を持たないと殴るぞ」


顔を真っ赤にしてあたふたしている由貴にフィネはさらに、


「まあ、ユキだったら女子トイレについてきてもバレないかもしれないな。

本当にやったら、串刺しにするがな....」


今度は青ざめた由貴に「冗談だ、後者はな」と意味ありげに耳打ちすると、先に行った二人を追いかけた。





改装されたばかりだという構内は綺麗だった。


清潔感と機能性を重視した洋装になっていて、女性客には受けが良さそうだった。


「あの甲斐性なしが、

今度、無礼なこと言ったら、女子トイレに連れ込むぞ。」


鏡を見ながらボヤくフィネ。


「さすがに、トイレに連れこむと他のお客さんに迷惑だよ」


手を洗いながらフィネに注意する柚華。

女子トイレに男子高校生が進入した時点で警察騒ぎだと思うが....


「そういえば、佐倉さんは?」


「知らん!

私が個室から出たときにはもう居なかった。

閉め忘れたのか蛇口から水が出しっぱなしだったな。」


しかし、フィネは顔をしかめた。

なぜ、一人でいなくなってしまったのだろう

トイレに一緒に入ったなら、出ずに待っている、女子高生とはそういう生き物だ

(フィネも女子高生だが....)


監視局特査の存在自体怪しい


『公館』

魔術師を先導し、罰する機関

現在、減少する魔術師に対して機関の魔術師さえ不足している


そんな『公館』が危険分子の由貴に監視をつける必要があるのか?

『大戦』の引き金になった『織天使』の『天使憑き』を討伐ではなく、わざわざ護衛をつけるのだ?


彼女、佐倉は監視対象に不謹慎というか、まるで....


「ん、フィネ〜何か扉が開かないんだけど…」


柚華が早く行きたいとばかりに呻く。


「柚華、扉から離れろ!!」


フィネが叫んだ


「……Andras(アンドラス)………」

アートゥロ・ピストレーゼを振りかざし、助走をつけ扉に突貫。

黒両刃剣を白い壁面に突き刺した。


『ガギッ…ン』



「痛ぅ....」


手首を痛め、うずくまるフィネ。

黒両刃剣は粉々に砕けていた。

引き続き更新頑張ります。

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