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第一巻 『三話』天使は悪魔を.....

第一巻の『三話』となりました。つまり、一区切りついたと云うことです。次回は[四話]をいれるつもりです。けど、[居候狐]の方を先に更新したいんで、そちらもよろしくお願いします(泣)


「ディアヴォレットの実力はこの程度か!

「土葬]!」


フィネッツァは外にいたディアヴォレットの構成員の脇腹を切り裂いた。

彼の他にも、十数人の構成員が倒されてしる。


軍隊のような統率のとれた動きと地上戦の装備をはじめとする近代兵器の数々。


魔力を持たない特殊部隊は、

ジェニーオともう一人の魔術師を中心を展開しているというより、構成員が二人を守っているに近い。


「なかなか、いい動きするじゃないか。

ソロモンの魔神の武器化とは、変わった魔術だが....


経験不足は否めない。」


ジェニーオは組織をまとめる首領となってから十年間。

他の魔術組織から幾度の侵略を受け、

幾度の死闘を潜り抜けた往年の魔術師。


襲撃の報告を受け駆けつけた後、侵入していたフィネたちを追い返し、

半日で部隊を立て直した能力は伊達ではない。



(ソロモン魔術は魔神を従え、召喚を基本とする魔術だが、

あの小娘が如何な方法を取ろうとも、この[土葬]の相手ではない。)


「(…アルジネ、15秒後に

部下を連れ、教会に踏み込め。


そこに、[悪魔憑き]と民間人の少年が隠れている。

構わず、殺せ


ソロモンの娘は私が倒す。)」



「「「(御意.)」」」



小柄な魔術師と戦闘隊形を組んでいた構成員二名が、フィネに気付かれないように答える。



3.2.1......


「セルパイオ[大海蛇]!!」


ジェニーオは地面に手をつき、魔術を展開し、

その隙にアルジネ達が教会の入口を目指す。


「…しまった!!......」


フィネが凄まじい土量で構成された、竜のように渦巻く土塊に気を取られているうちに、

アルジネが教会の扉に手をかける。


「……疾っ!」


[アンドラス]を振りかざし、アルジネを狙って放った一撃、


「ぐぁああ!」


一足遅く、後ろの構成員の心臓を貫いた。



「後ろががら空きだぞ。ソロモンの娘.....」



ジェニーオが[大海蛇]をフィネの背後に向けて放つ。


「くっ......[アンドラス]!!」


とっさに、黒刀両刃を発現して

受け止めたフィネだったが、直撃を受け流しきれない。


「うあっ....!」


教会の壁に叩きつけられる。


「経験不足だな、アンタ。

「大海蛇」など、時間稼ぎに過ぎないと云うのに.......。


“立ち上がりなさい”

カヴァリエーレ[帝鳴軍]」


[大海蛇]が崩れ落ち、

地中から引きずり出されたのは鎧を纏う漆黒の騎士。


手にはクスピデ[突撃槍]、パヴェーゼ[大盾]を

構えた姿は中世の騎士団そのものだ。


「戦いは始まったばかりだ.....」


ここで、ジェニーオは初めて笑った。





「ククク....撃って、撃って、撃ちまくるがいい。

アイツ等の体に鉛弾をぶちこめ!!」


アルジネとその部下は、教会に入ってからと云うもの、

辺り一面に弾幕を張った。



壁掛け時計は地に落ち、

硝子が粉々に砕け散った。


幸い、堅固な祭壇は二人を弾幕から防いでるが、

何時まで保つかもわからない。


「弾切れか?クズが……」


突然、銃声が止んだ。

辺り一面に白い煙が立ち、部屋全体を包み込む。


由貴は蝋燭立てを持つと、白い煙の中に飛びこんだ。


(相手は二人いるけど、魔術師の方は何かやる素振りも見せない。

だったら、弾が切れた時の一瞬の隙をつくしかない!)


煙のシルエットを便りに、小柄な影を探す。

瓦礫の中を一心不乱に駆け回り、一点に集中する。



アルジネは軽装だった。

短く刈り上げられた髪を赤く染め、まぶたのピアスが嫌な色で、輝いている。


「お前……」


「くらえ、魔術師!!」


こちらに気づいたアルジネの左目に蝋燭立てを突き立てた。


「ああああぁ.....!!」




アルジネが鋭く悲鳴をあげる。痛みに、床にうずくまった。


しかし、アルジネの部下は由貴に反撃するどころか、銃さえ構えない。


「あああァ....なんてな。

惜しかったな、ボウズ。


[悪魔憑き]は術式は扱えない代わりに、

肉体に魔術を宿すんだ。


俺は土をシンボルとする[悪魔憑き]。

泥の詰まったカラダじゃあ、

例え、心臓を突き刺そうが俺を殺すことは出来ない。」


アルジネは左目の蝋燭立てを引き抜くと、

そのまま振りかざし....


「なかなかだなボウズ。

素人にしちゃあ、上出来だ。」


由貴に、蝋燭立てを振り下ろした。



「あぐぅ.....」



人が倒れる音がした。



僕は床に手をついて、体を起こした

そして....



倒れる柚華を抱き止めた。



「うわぁあああああ!!」


血に染まった制服と、脇腹に刺さった銀の杭。

息が上がり、苦しそうに顔を歪める柚華


「ゆ、ユキくんは……

魔術師じゃないんだから....。」


「柚華?……柚華、柚華柚華....


柚華ぁぁぁ!!」


由貴は柚華を抱き締めた


無情にも、柚華から流れ出る赤い液体は量を増すばかり....




「哀れだな。

[悪魔憑き]なら、自分の体を変化させれば、物理攻撃くらい、止められたと云うのに.....


最後の情けだ。

二人一緒に逝くといい……」



アルジネは懐から、拳銃を取り出すと、

ゆっくり、トリガーを引き、由貴の頭に標準をあわせる。



「じゃあな、ボウズ....」


アルジネはゆっくり、引き金を引いた。



(熱い.....背中が蠢くぅ.....)


由貴が違和感を感じだのはその時からだったかもしれない。


背中が盛り上がり、制服を通りぬけて一気に開放された。



『ガァン』


アルジネはためらいなく由貴の額に放った銃弾は

ターゲットに当たることはなかった。


それどころか、銃弾を受け止め傷さえない。



由貴の顔に覆い被さったのは、軽くて、柔らかい羽毛のようなものだった。


「純白の翼……チェレスティアーレ[天使憑き]か....」


アルジネは自分が撃った銃弾を弾き返した、

純白の翼を見て、そう呟いた。


「…絶滅したと云われた、

[天使憑き]がまだ、存在していたとは.....


おい!」


アルジネの部下の構成員は、小さく頷くと、


経口の違う銃弾を取り出し、ショットガンにセットする。


([天使憑き]は戦力にしたいが……危険分子は始末だ。何より、敵にまわしたら厄介だしな。


RCD特殊弾頭は、対魔術弾頭で実践例はないが、いい機会だ……

出来立ての[天使憑き]ぐらい...)


『ガゥン.ガゥン』



銃声はひどく美しく、


そして...構成員の銃声ではなかった。



「ぐぉおおお!!」


構成員は倒れ、アルジネは片膝をつく.....


(俺の[悪魔憑き]には通用しねぇはずの銃弾が.....)





「まだ、やるというのか...」


ジェニーオは

「帝鳴軍]に斬りかかるフィネを見て、

そう呟いた。


「どうせ、中は片付いたというのに.....

私の[帝鳴軍]は地中の鉱物を鎧に変化させたもの。

並みの攻撃では傷すらつかない甲冑に、

人間を凌駕するこの機動性は、どんな魔術師でも粉砕する!!」


フィネが[帝鳴軍]に囲まれて動けなくなった。

刃の通らない鎧を前に、精神的にも削られ、体中は隙間なく泥や傷に血が滲んでる。


事実、数十人の敵に対して

致命傷を負わず、闘っていることが奇跡に近い。


(ここまでか.....)



「ジェニーオ!!」



アルジネが右足を引きずりながら、教会から出てきた。

彼の右脇腹からの出血は迷彩柄のズボンを赤黒く濁らせ、

辺りを臭気で満たした。



「おお!アルジネか。

そっちは片付いたか?」


「違う!逃げろジェニーオ。


あの男は[天『ガゥン』……」


アルジネが倒れた


教会の中から聴こえた銃声、

柚華を抱きかかえながら出てきた。


由貴の右手には、構成員が使う拳銃よりも一回り大きい白い装飾銃が握られている。


「アルジネ....くそ!

[帝鳴軍]!!」


ジェニーオはすぐさま、新しい敵を迎え撃つ。


「……[解放]……」


由貴が呟くと、背中から六枚の翼が開いた。

一枚、一枚が二メートル近い羽となって、柚華を包み込む。



「まさか……、由貴が[天使憑き]だなんて.....」


フィネは呆然としていた。

文献の中にしか遺らない[天使憑き]


強大な攻撃力を誇りし、その少年が躊躇いもなく、人を殺そうとしている。



[帝鳴軍]が向かって来る中、

由貴は敵の一人に狙いを定めると....


『ガゥン』


細かな細工を彩る装飾銃を向け、小さく引き金を引いた。

銃弾は甲冑を貫き、魔術そのものを砕く。



由貴はすぐさま、ターゲットを変え、連射する。


([アンドラス]ですら、砕けなかった鎧を....)


フィネ自身、魔術師になってから自分を強いとも、弱いとも思わない。

所詮、自己満足にしかならないからだ。


しかし、魔術師の自分が全く相手に出来なかった[土葬]のジェニーオを彼は、圧倒する。



持ち駒が少なくなったジェニーオは護衛であった二体を攻撃に回した。


([天使憑き]は[悪魔憑き]と違い、

自らを武器化することはない。


そのかわり、[天使]の力を借りた武器を出現させたとされる。


つまり、[悪魔憑き]とは違い、

物理的攻撃や、魔術を防げない。

圧倒的な攻撃力の反動というわけか....)



ジェニーオは交戦中の由貴を見て....



「(“爆ぜろ”[帝鳴軍]!!)」


甲冑が歪に膨れ上がり、

動きを止めた[帝鳴軍]を見てフィネは.....


「由貴!!敵から離れろ!!」



『ヴォンッ』



爆発というよりも、散弾に近い。

[帝鳴軍]の鎧が砕け、

その破片を超高速で撒き散らした。


破片は壁をえぐり、

樹木を裂き、地面に突き刺さった。


「ただ、[帝鳴軍]を操るだけがこの[土葬]ではない....


状況に応じて闘い方を変えるのが、本物の魔術師だ。」



由貴の姿は見えない...

至近距離の爆発に避けきれなかったのかもしれない。


フィネは近くに生い茂った樹木に身を隠したが、

彼の周りに防げる物はなかった。



『ガゥン』



ジェニーオは前のめりに倒れた。


由貴は避けたわけでも、当たったわけでもなかった。


彼は動かず、破片を翼で防ぎきると砂煙に身を隠し、


ジェニーオが姿を現すと、

すかさず、相手の肩を撃ち抜いたのだ。



「ぐおおおおお!!」


ジェニーオに手駒はもうない。

捨て身に近い攻撃を放ったからだ。


肩に撃ちこまれた銃弾は、貫通したものの、

胸に近い位置で受けたため、出血がおびただしい量だ。


しかし、由貴はゆっくり、ジェニーオに近づいていく。


柚華を抱えたまま、白い装飾銃を構えた。


「ま、待ってくれ....

わ、私は.....」


ジェニーオを肩を押さえて、

這いずるように距離を取ろうとするが、


構わず、銃口をジェニーオの頭に向ける。



『パシッ』



フィネは由貴の顔面を思いっきり叩いた。


「由貴!いい加減にしろ!!


私は由貴に人殺しをしてほしくない....


今、アイツを殺したところで

キミに残るは人殺しの事実だけだ」



フィネは満身創痍で今にも、倒れそうだった。


それでも、由貴を止めようと必死に立ち続けている。


「[悪魔憑き]は…そんな簡単に死ぬこ…とはない.....


ア、アルジネは片田舎の紛争地帯にいたころ、

戦乱の中で私が拾った[悪魔憑き]だ....


その…[悪魔憑き]の…娘もアルジネも、

治癒するだけの…力が無いだけ…」


息も絶え絶えに、ジェニーオは言い切ると、目蓋を閉じる。



「その言葉に、嘘は無いな。

[土葬]!!」


フィネはジェニーオの襟を掴みかかった。


「生かされた…命だ

いまさらどうでもいい....」


フィネは由貴のほうに振り返ると、


「と、云うことだ.....

柚華に生気を供給して

魔力さえ……

おい、聞いているか........由貴?」


由貴はぐったりした柚華を抱き起こした。


そして、顔を近づけ....









『天使は悪魔にキスをした』







.

次回の短編で収拾をつけます。ほんと、文章力のない作者でスミマセン。

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