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四つ巴全面戦争  作者: 水瀬咲良
第1章 幼少期
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第1話「忌子」


子供が生まれた。



男の子が。



けれど、






――――両親以外は、誰も祝福しなかった。






その男の子は“しゅう”と名付けられた。



しかし、周りの人は愁と呼ばない。



人は皆、その男の子のことを“忌子きこ”と呼ぶ。



なぜなら



“禁忌の子”だから。







**********



愁の父は元東魔軍総隊長もととうまぐんそうたいちょう黒鉄悠くろがねゆう

母は元西魔軍部隊長もとせいまぐんぶたいちょう、サラ=ウォーカー。


彼らの住む国はとても面倒な国だと言えるだろう。

島はドーナツ状になっていて、3つの国が領地を3等分している。

北側にある国は中央魔法黄国ちゅうおうまほうおうこくといい、西側に所属する国を西洋魔法蒼国せいようまほうそうこくという。

そして彼らの住む国は東洋魔法紅国とうようまほうこうこく

この3つの国は非常に相性が悪い。

というのも、国の雰囲気や人種までもが違っている。




そして何よりも、ここは国同士で戦争を起こす国。




国がドーナツ状であり、その中央に小さな島がある。

その島の名は鬼島きじま

そこは人ならざるものが住む島。

3国はその人ならざるもの――邪鬼じゃき――を倒すべく、日々訓練を重ねている。

しかし、3国は邪鬼を倒すのに協力などするはずもなかった。

どの国がより優れているのか、倒すことで力の差を示してきた。

倒すべき相手が邪鬼だけではないのだ。

自国のために、ほかの国の兵をも殺すのだ。



戦争嫌いの人々は言う、「戦争など虚しいだけだ。人の命を軽んじるな。」と。


戦争する人々は言う、「戦争こそ全てだ。力を示せ。」と。



この島の人間の8割が戦争を望んでいる。

残りの2割は戦争とは無縁の生活を望んで、関わらないようにひっそりと暮らしている。



愁たち家族は後者だった。

国には厳しい法律があった。

彼らはその法律に触れていた。


【他軍の人間と婚姻を結ぶな。】という法律を。


だが彼らは幸せだった。

周りからどんな目で見られようと、彼らは、強かった。

あの日までは。


愁が生まれてまもなく、サラは戦場に呼ばれた。

彼女は引退した身だったが、上には逆らえず彼女は戦場に赴いた。

帰ってきたのは、冷たくなった彼女の体だった。

悠は悲しんだ。

酷く、悲しんだ。

しかし彼をその絶望から救ったのは唯一の息子、愁の存在だった。






********************




愁の成長は目覚しかった。


身体能力アクティブ魔法マインに関しては両親の血を受け継いだのか、とても優秀だった。

父、悠は身体能力に優れ。母、サラは魔法に長けていた。

そして見た目も両親の血を継いでいた。

父譲りの赤い髪と瞳、母譲りの端正な顔立ちと左髪の一部が母譲りの白い髪。

3歳になった愁はそこらの兵よりも強いかもしれない。

彼はそう思っていた。


悠が教えたことを愁は一生懸命に真似する。

微笑ましい親子の風景だが、その風景がいつまでも続くはずがなかった。




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