おまけ Epilogue ~Side Story~
リプレイの「おまけ」その1。
本編ネタバレがあるので、ご注意ください。
Epilogue ~Side StoryⅠ~
+ From 指宿椎奈 +
榊学園の屋上。
夜明け後。
春日 正輝 う……うぅ……………う……うわわああああああああああああああああああああ!!!(絶叫) 俺は、俺は、俺は―――
指宿 椎奈 正輝……。
正輝 連太、俺は―――
椎奈 悪くないから…あなたは、悪くないから……。
正輝 (泣き崩れながら)すまない、すまない……。
ここで、正輝の身体がびくりと反応しました。
涙を止めどなく流しながら、口からはいくつもの呟きが聞こえます。
「この現実は辛い」「重過ぎる」「俺は、俺は」「だったら、いっそ殺しちゃえよ」「楽になれるぞ」「さっきだって、親友を殺したんだろ?」「俺はなにもできなかった……」
私の方を見て、悲しそうに笑いました。
手には、氷の剣。
椎奈 ………正輝………辛いよね? ……苦しいよね?
正輝 ……俺は……(と、一歩進む)。
椎奈 ……でもね、“人”の弱さや強さを信じてあげて……。例え、私たちが“ヒト”でなくとも、“人”であることをやめないで……。
正輝 俺は…………。
椎奈 一緒に……守っていこう………ずっと、そばにいてあげるから―――
私は手を広げると。
そのまま、正輝は私の方に倒れ込んできます。
「みんな、すまない、椎奈、すまない―――俺は……」
胸に、涙に濡れた顔を押し付けて、正輝はそのまま眠っていました。
あなたが、もう昔みたいに笑えなくても、
私はあなたのそばにいます……。
ずっと、一緒に歩んでいきたいです……。
死が、
私たちを別つまで、
ずっと……。
私は、
永遠に誓います―――
ほんの少しだけ、
わたしはあいの気持ちが分かったような気がしました―――
Epilogue ~Side StoryⅡ~
+ From 暁魅呼音 +
あの事件から、数日後―――
「ぁ……誰か……誰も、いないの……?」
あたしが目を覚ますと、辺りが真っ暗闇だった。
どうやら、UGNの病室らしい。
目に包帯を巻かれているせいで、なにも見えなかった。
手足の感覚がないせいで、動けなかった。
GM 正輝と椎奈が病室に呼ばれる。
春日 正輝 (魅呼音に呼びかける)俺だ、ここに俺たちはいるぞ……。
指宿 椎奈 ……私も…いるわ……(そっと、魅呼音の頬に触れる)。
暁 魅呼音 ああ、正輝……椎奈……?
正輝 そうだ、俺たちだよ…魅呼音……。
魅呼音 よかった……二人とも、無事なのね……。
椎奈 ええ、大丈夫…だから……。
魅呼音 そう……。
正輝 ……俺は、お前に謝らなければならないことが……。
魅呼音 ……もう、いいから…あんたのせいじゃないって、分かっているから……。
正輝 魅呼音……。
魅呼音 ねぇ、正輝…………その……連太は……?
正輝 …………。
三人 …………。
正輝 俺は……俺は………救って…やりたかった……。
魅呼音 正輝……。
椎奈 大丈夫……彼、最期には笑えていたから……。
魅呼音 そっか……。……ごめんね……あたし、なんの役にも立てなかった……(涙声)。
正輝 そんなことない……魅呼音。むしろ、役に立てなかったのは俺の方だ……俺……あいつのこと、今まで分かってやれなくて……なにも、知らなくて……。
魅呼音 でも…今は……。
正輝 分かっている……。
魅呼音 そっか、連太の気持ち、分かってくれたんだ……よかった。……あたしも、同じだから……思いが伝えられないのは、悲しくて、苦しくて、辛いんだよ……。
正輝 魅呼音………。(小声で)本当に…すまない………。
魅呼音 …………。
椎奈 …………。
三人 …………。
正輝 それじゃあ、魅呼音……俺たち、そろそろ……。
魅呼音 あ、ええ……。
椎奈 魅呼音……、また、来るから……何度でも…来るから……。
魅呼音 ありがとう……。
正輝 じゃあ、またな……(立ち去ろうとする)。
「待って……」
正輝 え…?
「正輝……自分を責めないでね……。戻らないものもあるけど、今あるものを大事にして……」
「それと、少しは、自分のことだけ考えて生きたって、いいのよ……?」
正輝 魅呼音……。俺は……。
椎奈 (ぽんっと正輝の肩を叩く)
正輝 お前も……お前にも、それは言えることだから……。
椎奈 (ぽつりと)………色々なものが、なくなったけど……みんな、いなくなったけど……私たちはまだ生きているんだから……。
魅呼音 ……そうね……。
「ごめん、ひとつだけ、お願い……」
正輝 なんだ、魅呼音……?
魅呼音 今度は……もう少し長く……そばにいて……(包帯に覆われていない口元に、寂しそうな笑顔を浮かべる)。
正輝 ……ああ、また来るよ……魅呼音……(涙声)。
病室のドアが閉まる。
溜息をつくように息を吐き、そのまま魅呼音は眠った。
その日の夜。
暁魅呼音は静かに息を引き取った―――
Epilogue ~Side StoryⅢ~
+ From あなたの家族 +
―――春日家。
事件後、春日夕美は未だUGNの施設にいる。
そして、海外から帰ってきた両親が毎日世話をしている。
両親は、春日夕美が回復するのを信じている。
昔みたいに、家族が笑えるように。
そして、春日正輝のUGNからの依頼料のほとんどはその治療費に当てられることになる。
―――指宿家。
事件後、指宿椎奈は何度か実家に帰るようにしている。
家族関係は未だにぎこちないところもあるが、概ね良好と言えるだろう。
―――暁家、日和川家、他。
今回の事件で死んだものは、みな、同じバスに乗りあわせ、事故に遭って死んだことにされた。
死んだものの家族、学友、友人……みんなが葬式の間泣いていた。
みんな、彼女たちのことを生前に慕っていたんだろう。
―――霞谷家。
記憶処置を受け、息子のことを忘れてしまっている夫婦が地下施設で見つかった。
殺さなかったのは、霞谷連太郎としての最後の一線だったのかもしれない。
この事件で死んでしまった者。
そして、残された者。
その傷は深い―――
Epilogue ~Side StoryⅣ~
+ From UGN +
“Pricker”アイの事件から数週間後。
UGN日本支部関東本部―――
事件の報告書を読む、白いスーツの女性。
そして、傍らにたたずむ紺のスーツを着た男性。
二人とも、珍しくサングラスを外していた。
「結局、UGNもファルスハーツも紙一重ということね……」
女性の方が、ポツリと呟く。
「あなたがそんなことをおっしゃってもよろしいんですか?」
男性の方が苦笑いを浮かべながら、読み終えた報告書を受け取る。
「UGNもまた、“人”が作った組織よ。例え、生物学的に“ヒト”を越えた存在だとしても、所詮は精神がそれに追いついていないわ……」
本名、年齢ともに不詳のこの二人は、春日正輝、指宿椎奈と共に、この事件に関わっていたUGNの人間である。
「しかし……まさか、彼がUGNのエージェントに志願してくるとはね。大丈夫ですかね、あの二人は?」
「それは、私には分からないわ……。ただ、オーヴァードになった者は多かれ少なかれ平和な日常をずっと歩むことはできなくなる。たぶん、そういった者の居場所がここなのよ」
窓から、外を眺めながら淡々と語る女性。
「あなたは変わりましたね……。あなたのお姉さんを守れなかった私を怨んでいますか?」
「……いいえ、別に。それに、もうそれは過去のことよ……過ぎたことは、変えることはできないわ。できるのは、その過去をどう捉えるかで、これからを変えていくことよ」
「そうですか……」
その二人は、遠い昔を懐かしむかのような顔を一瞬よぎらせた後、いつものような無表情に戻る。
「指宿さんと春日くんのことは、よろしくお願いしますよ」
「ええ、彼らは優秀なエージェントよ……捨て駒にはしないわよ」
口元に微かな笑みを浮かべて、坂本は一礼して立ち去った―――
Epilogue ~Side StoryⅤ~
+ From 藍子 +
お父さんに手を引かれて街を歩く。
わたしはどきどきしながら、辺りをきょろきょろと見渡していた。
見るものすべてが真新しくて、見たことのものないもの、本やテレビでしか見たことのないもの……。
人がいっぱい。
車がいっぱい。
わたしは、お父さんにお洋服を買ってもらったり、レストランでパフェを食べたり、あの頃には想像もできなかった時間を過ごしている。
こんなに幸せでいいのか、とも思う。
こうしていていいのか、とも思う。
こうして街を歩けるのは、周一のおかげだから。
わたしたち三人は兄弟みたいに、ずっと一緒にいられると思っていた。
これから、家族みんなで一緒に暮していこうと約束していたのに、結局、周一が犠牲になってわたしたちを逃がしてくれた。
優しい周一。
気弱な連太郎。
そして、お父さん。
みんなで、家族になろう。
そんなささやかな夢のために、
そんなささやかな約束のために。
わたしの身体は、薬なしでは生きていけない身体になってしまった。
様々な実験の中、生きていくことも死んでいくことも感じられない日々。
忘れたい記憶。
お父さんが、トイレにいっている間に急に身体の調子が悪くなった。
気分が悪い。
頭の中に囁きかけるこの声。
オゾマシイ誘い。
ぐるぐると混沌した世界の中に、一人の男の子が通り過ぎていく。
周一―――!?
しかしよく見ると、母親らしき人に「まさき」と呼ばれてた。
そうだ、周一が生きているわけがない。
周一は死んだんだ―――
お父さんも、その事に気付いて驚いていた。
わたしは、その「まさき」という男の子ともう一度会いたいとせがみ、お父さんは会ってもいいと許してくれた。
その「まさき」という男の子と仲良くしたい。
友達になりたい。
春日正輝。
そういう名前らしい。
お父さんが調べてくれた。
そして、わたしはいつも正輝が遊んでいるという公園に向かう。
周一にそっくりな正輝は、一人でブランコに乗って遊んでいた。
わたしはどきどきしながら、少しずつブランコに近づいていく。
そして、
わたしは正輝に勇気を振り絞って声をかける。
はじめまして―――と。
ダブルクロス・リプレイ - LoveSyndrome/恋愛症候群 -
Side Story――END
登場人物紹介 -終-
+ PC紹介 +
▼名前:春日 正輝
▼コードネーム:碧き輝き
▼シンドローム:ブラックドッグ/サラマンダー
▼性別:男
▼年齢:17歳
▼Epilogue:生存
▼名前:指宿 椎奈
▼コードネーム:嘆きの銃弾
▼シンドローム:ノイマン/ハヌマーン
▼性別:女
▼年齢:16歳
▼Epilogue:生存
▼名前:暁 魅呼音
▼コードネーム:獅子鬼
▼シンドローム:キュマイラ/ブラックドッグ
▼性別:女
▼年齢:17歳
▼Epilogue:死亡
▼名前:春日 夕美
▼性別:女
▼年齢:15歳
▼Epilogue:精神崩壊
▼名前:日和川 アンナ
▼性別:女
▼年齢:17歳
▼Epilogue:死亡
+ NPC紹介 +
▼名前:霞谷 連太郎
▼性別:男
▼年齢:17歳
▼Epilogue:死亡
▼名前:柳 澄
▼性別:女
▼年齢:20歳
▼Epilogue:死亡
▼名前:志木 瑞香
▼性別:女
▼年齢:17歳
▼Epilogue:死亡
▼名前:美空 節子
▼性別:女
▼年齢:16歳
▼Epilogue:死亡
▼名前:こゆみ
▼性別:メス
▼年齢:0歳
▼Epilogue:死亡
▼名前:アイ
▼コードネーム:“Pricker”
▼シンドローム:ソラリス/ブラムストーカー
▼性別:女
▼年齢:10歳?
▼Epilogue:存在消失




