Epilogue(2)
+ 愛のカタチⅠ +
榊学園の屋上。
一日でもっとも寒くなる時間。
夜明け前。
「もうすぐ、すべてが終わるわ……」
あいはポツリとそう呟きました。
私の身体には、今、細いガラスの管が埋め込まれています。
心臓近くに埋め込まれたそれは、私の心臓が脈打つたびに、少しずつ管を通して外へと血液を送り出していました。
手足は鉄の鎖で縛られ、今の私ではとても鎖を引き千切るほどの力はありません。
すでに、しゃべることもすらも辛いです。
そして、あいは私に向かって微笑みかけてきました。
「あなたは、わたしと正輝の最後の礎。目の前であなたが死ねば、正輝もわたしを愛してくれる……わたししかいなくなるわ……」
あいは私にではなく、自分にそう言い聞かせているように呟いていました―――
GM というわけで、走ってきた正輝は夜の学校に着いた。UGNには連絡してないんだよね?
正輝 ああ、そんなことで椎奈を殺させない……椎奈は俺が守る!! 一気に、屋上まで駆け上がるぞ!
GM そして、屋上の扉を開くと、そこには……人影が三つ。椎奈、あい、そして……連太郎だった……。
止めどなく流れ出る血によって、椎奈の白い肌がさらに青白く変えていた。
それが、うっすらと夜の灯りに照らされてぼうっと浮かび上がっている。
空には、欠けた月。
まるで、その月に奉げられる生け贄のように俺には見えた。
椎奈は、俺の方を見ると、少し嬉しそうな顔をする。
そして、その隣に、ぼんやりと連太は立っていた。
しかし、片手にはナイフを持ち、椎奈に突き付けていた。
真っ赤に染まった服を身につけている。
顔が暗がりに隠れてよく見えない。
そして、あい――長い黒髪、白い肌、黒い服、紅いハイヒール、口紅。
口元は、まるで空に浮かぶ月のよう弧を描いて微笑んでいた。
その笑みは妖艶で、
コワれた笑み。
そして、顔。
その顔はのっぺりとしていた。
目や鼻というものが存在していない。
そう、切り取ったとかそういう意味ではない。
最初から、そこにはなにもないかように、綺麗な白色。
ソレは、俺の方を見ると、嬉しそうに微笑み。
「うふふふふふ、わたしはあい。わたしはあい、わたしの名前はあい……」
GM/あい 「わたしはあい」「身体は男でも、わたしはあなたをずっと前から愛していたわ」「男じゃあなたを愛せないでしょう? だから、わたしはこの身体を手に入れたの。あなたのために、この身体を手に入れたの」
正輝 なにを……なにを言っているんだ………。
GM/あい 「連太郎は、あなたとバスケをしているだけで満足だったけど」「でも、あなたはそのバスケもやめて」「どうしたらいいか、分からなくなって」「だけど、わたしはあなたのことが好き。ずっと好き……(微笑)」
正輝 な…うそを…つくな……!
GM/あい 「あなたの周りにいる女は邪魔。みんな邪魔。あなたが女と話しているのも、あなたが女に笑いかけるのも、あなたが女と一緒にいるのもいや、みんないや、いやなの」「わたしはあなた以外いらないのに。もう、ずっと昔からあなたを知っているのに」「わたしたちは運命の赤い糸で結ばれているのよ。10年前からずっと愛している、あいしているわ!!!」
正輝 そんな、うそを…つくな……!!
GM/あい 「だから、一緒に壊れましょう」「壊れちゃえば大丈夫。世界が変わる!」「大丈夫だから。世界があなたを受け入れなくても、わたしなら。壊れたあなたも受け入れられる」
だって、わたし……もう壊れるぐらい、あなたを愛しているから―――
正輝 うそだ………嘘だと言ってくれ、連太………!!
GM/あい 「世界が裏切っても。わたしはあなたをけして裏切らない」「わたしのことを裏切らないで。わたしのことを愛して。わたしのことだけを考えて……」
正輝 だって、お前……あの時、死んだんじゃ……死んだんじゃないのか………?
GM 正輝の言葉に、ナイフを持っている連太郎は反応しない。
正輝 操られているんだろ……? あいに、操られているんだろ……? そうだよな……だったら、俺が助けてやるから。椎奈も連太も……俺が、助けるから……(一歩進む)。
椎奈が、瞳でそれを否定していた。
言葉なんかいらない、椎奈の瞳。
椎奈のことが少しでも分かるようになったから。
その瞳に込められた想いが少しでも分かるようになったから。
あいは連太なのだと、椎奈は語っていた。
なんで、連太がこうなったのか、俺には全然分からないけど……。
ふと、思い出すことがあった。
それは、連太が死ぬ間際のこと。
そう、あの地下施設中……ある化学物質で充満していた。
《ワーディング》――普通の人間は、防護マスクをつけないとなんの行動もできなくなる……。
だから、エージェントたちも防護マスクをつけていたんだ。
だが、あの時の連太はその化学物質の影響を受けているようには見えなかった。
それに、あの時、俺は連太の死亡をちゃんと確認したわけじゃない。
致死量の出血といっても、あくまでもそれは普通の人間の話。
オーヴァードなら、すぐに治せてしまう。
目の前にいる連太は、傷は残っているものの、血はすでに流れていない。
さっきまでは、暗がりでよく見えなかったが、連太の口元は歪んでいることに、俺は気付く。
そう、連太があいと同じコワれた笑みを浮かべていることに―――
+ 葛篭苑吉Ⅱ +
私は、葛篭苑吉が死んだ時のことを思い出していていました。
あの地下施設で、葛篭苑吉と対面した時のことを―――
*このシーンはリプレイ編集上、ここにありますが、実際には地下施設のシーンでやっています。さらに、椎奈以外のプレイヤーは部屋から出てもらいました。
GM/葛篭 苑吉 「10年前の事件は君も知っていると思う…………」
“抗体レネゲイド薬”の失敗作―――
お父さん―――
私が撃ち殺したジャーム―――
よぎる断片的な記憶。
GM/葛篭 「実験体として生き残った三人……苗字もない、それだけのためにUGNに買われた子供たち……それが、周一、藍子、連太郎の三人だった……」
椎奈 連太郎…!? それじゃあ……まさか……?
GM/葛篭 「そう、あいは連太郎だ……」
椎奈 でも…どうして、彼が……? それに、藍子って……?
GM/葛篭 「それには、順を追って話さないといけないな……」
「UGNから逃亡する時、周一は私たちを逃がすために、ジェネシフトによってウィルスを活性化させてジャーム化したんだよ……」
まさか……その周一という少年は………。
あの時の記憶がちらつきます。
助けを求めていた少年。
私が殺した少年。
写真の中の少年。
「そして、私はその隙に藍子と連太郎を連れて施設から逃げ出したんだ。その後、UGNから逃げ切るために、ファルスハーツと取引をした。そう、“抗体レネゲイド薬”を改良し、“オーヴァード化”誘発薬の原形を作ることを約束して……」
もちろん、たくさんの犠牲者が出ることが分かっていても選択した道。
それが、どのような苦渋の選択だったのか、それとも、すでに割り切れるほどの決意があったのか、私には計り知れない重みです……。
「しかし、藍子と連太郎の二人は、薬の後遺症でいつジャーム化してもおかしくない状態だった。抑える薬も徐々に身体が慣れてきてしまって、効きづらくなってきたんだ。
君も知っていると思うが、レネゲイドウィルスの侵蝕を抑えるのはメンタル面からのケアが一番いい。UGNから身を隠しながらこの地下施設で暮すだけでは、メンタル面によくないと考え、私は何度か外へ連れ出し日常というものを感じさせようと努力した……」
人格は脳が物質的に表しているわけではなく、より複雑な情報の集合体……即ち、人と人との繋がりによって存在しています。
その中でも、心の拠り所になるような存在――一緒にいると安心する人……それが、“ヒト”でない私たちの日常への帰る道標となり、そしてそれ自体が日常となるのです。
私の日常―――
UGNの任務。
お母さん―――
お父さん―――
そして、あの学園生活。
正輝―――
魅呼音―――
心が痛い……です。
もしも、このことを知ったら正輝は……。
そして、
あいに、
連太郎に、あんなことをされた魅呼音は……。
そう、今の連太郎はその日常を自ら断ち切っていく……ジャーム。
「そんなある日のことだった。藍子が春日正輝と出会ったのは。当時の春日正輝は、周一にそっくりだった……。藍子は、そんな春日正輝のことを気に入ったんだ。
もちろん、周一が死んだ反動であるし、危険な感情だと分かっていたが、彼が藍子の日常となれるかもしれないと思い、私は藍子と春日正輝が遊ぶのを承諾してしまった。そして、藍子はその頃、引込み思案だった連太郎によくその春日正輝のことを話していた。連太郎もそれを楽しそうに聞いていた。
しかし、藍子の崩壊は早かった…………。
そして、私が崩壊に気付いた時には、すでに手後れだったんだ……。藍子は、自分と同じになるようにと、春日正輝をウィルスに感染させてしまったんだ。それに気付いた私は地下施設から抜け出して春日正輝に会いに行こうとする藍子を止めようとした……。
だが、私はその時に藍子の攻撃を受け、重症となりこの機械なしでは生きられない身体に、そして、その時の傷が原因でウィルスに感染してしまった……。まさに、因果応報だね……」
この後の藍子がどうなったのかは、私にも推察できました。
正輝に会いにいった藍子。
でも、すでにジャームとなっていた藍子。
そこに正輝の母親もいて、そして、UGNのエージェントによりジャーム化した藍子は殺されてしまう。
ファルスハーツ絡みの事件の一つとして処理されてしまった―――
「そして、この地下施設には、私と連太郎しかいなくなってしまった。藍子までいなくなり、連太郎は非常に不安定になっていたんだ。
そこで私は最後の手段をとることにした。
連太郎に記憶処置を施し、日常を作ってやることにした。それが霞谷連太郎……だ。
霞谷家にいた息子を殺し、そして家族全員に記憶処置を。その代わりに、連太郎をその家の息子として、育てさせた。連太郎も、自分がオーヴァードであることも全て忘れて、平和に暮していた。
確かに、それは成功だった。見事に連太郎は日常を得て、快方に向かっていったんだ。
ただ、その作られた日常の歪みの中、連太郎にはもう一つの別の人格が存在していた。藍子のことが好きだった連太郎、藍子が好きだった春日正輝……それらが転じて、あいという同性愛者の人格がひっそりとその日常の裏で育っていったんだ」
心が女性でも、身体は男性。
その矛盾。
それらの存在を忘れる連太郎という人格。
日常にいることを許されないあい。
認められない気持ち。
「そして、きっかけは春日正輝が覚醒した時だった。その時に、偶然にも連太郎は見てしまったんだ。そして、連太郎は……あいを顕在化させてしまった。辛い過去の記憶をあいに宿し、連太郎はそのまま日常を歩みながら……」
GM/葛篭 「あいの能力はブラム=ストーカー/ソラリスだ。そう、最初はブラム=ストーカーの能力である《従者》に、あいという人格をのせて、連太郎とはまったくの別行動をとっていた。もちろん、連太郎は自分がレネゲイドに感染していることは覚えていない。
だが、澱んだ水が真水と少しずつ交じり合うように、連太郎とあいは同一化していき、今では人格が統合したりまた分裂したりと混沌としている状態だ。同性愛というものを認められない普通の日常を持つ連太郎と、すでに刷り込みの恋や妄想の区別のつかないあいが、お互いに辛い現実を見せ付けられ、もうほとんど人格が崩壊してしまった……。
そして、求愛と加虐の衝動の結果が、すべての女を憎みながら、春日正輝に執着する……狂気のジャーム……そんな存在になってしまったんだ……」
椎奈 もう、本当に手後れなんですか…? 救う手段はないんですか!?
GM/葛篭 「長期間、薬の投与のし過ぎで、もはや、身体から薬を完全に除去させる手段はない……それに…私には…もう無理だ……。すでに……本体の身体は生命活動を止めている……あと、数時間もすれば……この犬の身体が死ぬか、ジャームになるだろう………君は、この真実を………」とここで弾丸のようなものが飛んできて犬の頭がつぶれる。
椎奈 葛篭さんっ!!!
GM 振り返ると、そこには連太郎がいた。
+ 愛のカタチⅡ +
GM/連太郎 「うふふふふふ、見ての通り……わたしは男の身体……」「こんな身体いらないから、もうこんな身体いらないから……」「このままじゃ、正輝がわたしのこと好きになってくれないから……愛してくれないから……」
椎奈 ……まさか………あなた……その傷…自分でつけたの……?
GM/連太郎 「男の身体なんていらない……ねぇ、見て……」と後ろから《従者》が現われる。髪の長い、女性の身体。ただし、顔はない……。「だから、正輝も壊しちゃえばいいの。わたしもこんなにも壊れているですもの……正輝も壊れちゃえば、わたしを愛してくれるわ!」「わたしだけを見てくれるわ!!」
椎奈 そんなの愛じゃない………!
GM/連太郎 「うふふふふふ、正輝はあなたのことを愛していると言ってくれた!? どうせ、お前は生殖行為をしたに過ぎない。あんなのは、性欲のはけ口なのよ!!!」
椎奈 ……そんなじゃない……正輝は、そんなんじゃない!!
GM/連太郎 「かわいそうな正輝……こんな穢れた女に誘惑されて………。でも、わたしは正輝を許してあげるわ………そんな正輝でも受け入れてあげるわ……」
椎奈 そんなの、都合がいいように解釈しているだけよ…!
GM/連太郎 「それこそ、お前が都合よく解釈しているだけ……お前に正輝のなにが分かる? わたしは10年、この10年、正輝だけを愛し続けた。それだけの間、正輝しか見てこなかった。たかだが、一ヶ月や二ヶ月見てきただけの、お前になにが分かる?」
椎奈 時間なんて関係ないわ……。
GM/連太郎 「関係ない…? うふふふふ、わたしには分かる……正輝は恋しいだけなの……女に母親の姿を求めているだけなの……!」「だって、あなた……正輝の母親に、似ているだけなんだから……」
椎奈 それは………確かに、そうなのかもしれない……そうだったのかもしれない……。でも、正輝は一生懸命答えを探している。今、がんばって変えようとしている!!
GM/連太郎 「そんなことないわ……正輝のことは、わたしが一番分かってあげられるもの……正輝のこと、愛しているもの……!」「わたしは正輝の身体を求めるような穢れた愛じゃないの。そんな低次元の愛じゃないの!!! わたしは、性別を越えた愛……超越した愛を持っているの!!!」
椎奈 そんな…上とか下とかじゃない………。
GM/連太郎 「わたしのなにが分かる!? 正輝のなにが分かる!? お前になにが分かる!!? この世界はわたしを受け入れてくれない!!! この世界はなにもわたしに与えてくれない!!! 邪魔なの、あなたみたいな女はみんな邪魔なの!!! 正輝の周りの女はみんな邪魔なの!!!」
椎奈 ……その世界に、社会にこだわって縛られているのはあなたの方よ! 受け入れられないことを嘆くばかりで、自分を否定して……それでは、なにも……。
GM/連太郎 「わたしはわたしを否定なんかしていない!!! わたしはあい、わたしは正輝を受け入れられる、壊れた正輝でも受け入れてあげられる!!!」
椎奈 違う、それは受け入れるのとは違う……。あなたは……連太郎なの……あい、なんかじゃない……。自分も…弱い自分も受け入れられない……あなたが、他人を受け入れられるわけがない………! あなたはただ正輝に嫌われたくないだけなの……!
GM/連太郎 「……っ!!!」ええと、キレた連太郎の攻撃。《ブラッドバーン》+《鮮血の一撃》。ちなみに、連太郎の侵蝕率は200%以上だよ。(ころころ)…64。
椎奈 (ころころ)さすがに、防げないわ……。
GM/連太郎 ダメージは、51点。
椎奈 ……すでに、私の侵蝕率は100%を越えているから、《リザレクト》が使えないわ……。
GM/連太郎 「くそ女め……」「……だけど、ここでは殺さない………」「だって」「……あなたは正輝に殺されるんだもの……うふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
そして、気がつくと私は榊学園の屋上で縛られていました。
今、正輝とあい――連太郎がついに対面してしまいました。もう、わたしでは止めることはできません。
*いくつか補足しておきます。連太郎の息が止まった時は《冥府の棺》を使用していました。
それと、連太郎が負っていた傷は本当に自分で傷つけたものです。男の身体がいらないと常々思っていて、自分の本当の身体は《従者》の方だと思いたい……そんな様々な想いによってその行為に及んでしまったのです。
そして、《不死者の人形》がなかったため、ちゃんとした顔がもてず、あいは人前に姿を出すことができなかったのです。
その他、Eロイスでは【悪夢の鏡像】、【変異する悪夢】、【ファイトクラブ】、【囚人の鳥籠】、【混迷の謀略】等を所持。
正輝 (椎奈の瞳を見て)そうなのか…? 本当に連太なのか!? お前があのあいだなんて……いつも、バカなことやっているけど……あんなにいい奴なお前が……。
椎奈 ………(衰弱してまともにしゃべれない)………。
正輝 いったい、なんでこんなことになったんだ……? 連太……?
GM/あい 「わたしはあい……わたしの名前はあい………」「うふふふふ、これからあなたも壊れるの……正輝も一緒に壊れるのよ………」「世界が壊れて、そこには、社会も常識もモラルもすべてない……」「あるのは、純粋な愛だけ……わたしだけが残るのよ……」
正輝 そんなことはありえない……俺はお前を愛せるわけがない!! 俺はあんなことをしたお前を許せるわけがない!!!
GM/あい 「やっぱり、それはわたしが男だから? 大丈夫、大丈夫よ……壊れれば、そんなことは些細なことなの。ううん、そんなの関係なくなるの……」
正輝 それに、俺には今…一番大切な人がいる……それを、俺は守る……椎奈は俺が守るんだ!!!
GM/あい 「それも大丈夫……安心して」
正輝 なにを、なにを言っているんだ!?
GM/あい 「うふふふふふふふふ……だって、今から正輝がこの女を殺すんだもの」「憎しみと絶望と孤独の先にある……狂おしいほどのわたしの愛を受けて」「あなたはこの女を殺すのよ………」ここで、《蝕む声》+《錯覚の香り》+《怒れる心》を使うぞ。
殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺。
頭の中が、直接かき回されるように。
湧き上がる衝動。
流されそうになる理性。
目の前には、俺のために奉げられた生け贄。
コレを殺せば、もう、俺を止めるものはいない。
もう、苦しまなくてすむ……。
楽になりたい……。
楽になれる……。
楽になれる……?
―――っ!!!
思い出すみんなの顔。
俺が、楽になる!?
正輝 「違う!!! 俺はそんなことをしたくない!!! こんな所で、俺は楽になるわけにはいかないんだ!!!」とタイタスを使って(ころころ)……防いだ!!!
GM/あい 「嘘…………なんで……殺さないの?(呆然)」「どうしてなの? どうしたの正輝……!?」
+ 信じるということ +
GM/あい 「あなたは殺したいはずよ」「あなたはそうしたいはずよ? そうしなきゃいけないのよ? 愛しているわたしのために、最後はあなたの手で殺さなきゃ、愛してくれないじゃない……」
椎奈 (唇がかすかに動く)…………(ポロリと涙を流す)。
正輝 (椎奈の言葉を反芻する)た・す・け・て・あ・げ・て………椎奈………。
GM/あい 「正輝が壊れてくれないじゃない」「なんで? どうして? 愛しているのに、こんなに愛しているのに……」「すべて、わたしとあなたのためなのに……」
正輝 そうか……魅呼音も言っていた………「あいつを助けてあげて」って……。
GM/あい 「いいわ……あなたを殺せば、あなたはわたしのもの。それでいいわ」「それしかないわ」「ああ、なんでこうしなかったのかしら。そんなの、すぐにできるのに」「それよりも、他の女が憎かったけど、もう、この女しかいない、もう、どうでもいい……」
正輝 連太も…あの時、「あいつを止めてくれ」って……。
GM/あい 「あなたを殺して、わたしも殺して、わたしのあなたの世界が誕生するの」「これは愛……愛なのよ……!」
正輝 お前も…本当は、止めて欲しかったんだよな? ……だったら、俺は……お前を止めてみせる! 俺がお前を救ってやる!!!
「たすけてあげて」
わたしがそう伝えた時、
わたしは気付きました。
こんなの、すごく自分勝手な思い込みだと思います。
よく分かっています。
だけど、
“人”の優しさを信じたいから、
信じていきたいから、
わたしは信じます。
10年前にわたしが殺してしまった、あの少年――周一の最期の言葉と涙。
『TASU…KETE………』
もしかしたら、それは「たすけて」「あげて」と言いたかったのかもしれないと。
あの周一という少年の最期の伝言だったのかもしれないと。
自らを犠牲にして、家族を逃がした周一。
だったら、
その優しさが強さに変わり、そして最期まで家族となる人たちのことを考えていたとしてもおかしくないですから。
これは、わたしの罪悪感の産物かもしれません。
真実なんて分かりません。
確かなものも、答えも分かりません。
だけど、信じることならできるから……。
“人”を信じていきたいから―――
そして、連太郎と正輝。
二人の戦いが始まりました―――
GM/あい イニシアティブは、《従者》あいの……21だ。様子見としてあいは、正輝に《赫き弾》で攻撃してくる。(ころころ)……17。「愛している……愛している……愛している。こんなにもあなたを愛している―――……ねぇ、正輝……」
正輝 《磁力結界》で、(ころころ)…ガード成功だ!
GM/あい 《夜魔の領域》であいは未行動に。連太郎は、待機。
正輝 俺の順番か。マイナーアクションで《氷炎の剣》+《イオノクラフト》、《アームズリンク》+《バリアクラッカー》で……《従者》あいに、(ころころ)……45!
GM/あい (ころころ)くらったよ。ダメージは……37点か。但し、あいは《ライフブラッド》《いつわりの生命》《生命増強》により莫大なHPを保有している。
正輝 くそ、ほとんど効いてないのか!
GM/あい 「正輝のこと……好き……ずっと、前から好き……愛している……」連太郎は、正輝に近づいて終わり。次のターン。「どうせ、みんないなくなるわ……周一も藍子もお父さんも……みんなみんなみんなみんないなくなって」「あなたなら、分かってくれる……今のあなたには、もう、わたししかいなくなるから……だから」「だから」「だから、だから、わたしは愛しているわ……好きだったわ……あなたのことが、ずっと……あなたしかいないの………」
正輝 連太……。
GM/あい 「ずっと、一緒に……愛し合いましょう……壊れるぐらいに、狂おしい愛を……あなたに……」ここで、連太郎は《クロスアタック》+《クロスラッシュ》+《ブラッドバーン》+《鮮血の一撃》。
一瞬の出来事だった。
胸を二本の刃が交差する。
一瞬だった。
あいが作りだした、紅の鎌。
連太の持つナイフ――よく見れば、それはメスだった――それらが俺の胸をクロスに刻む。
《従者》と本体の同時攻撃―――
すでに、限界までウィルスに蝕まれた連太は、脅威の身体能力で攻撃してきた。
俺はとてもじゃないが、敵わなかった……。
口から、血が溢れる……。
痛みもなかった。
もう、苦しくもなかった。
ちらりと、月を眺める。
ぼんやりと、この一瞬が止まった時間。
そして、椎奈を見る。
ふと、
俺は椎奈の、
あの微笑みを思い出していた―――
――私たちは“ヒト”じゃないけど……あなただって、そんなに弱いじゃないっ!!
――なっ……人を殺せる力だってあるんだぞっ!!
――だから、そんなんじゃ誰も守れない…!!!
――俺のせいで、みんな、みんな、夕美もアンナも……助けられなくて、俺、俺は……みんな助けたかったのに、俺はなんにも…魅呼音も……俺……みんなを守るなんて、できるわけなかったんだ……なにもできないんだ……。
――……そんなことない。後悔する前に、やれることは…あるわ。
――でも…UGNには、動くなって……。
――……あなたは……それで、なにもしないで後悔するの? 他の人にそう言われたから、そこでやめちゃうの? 恐くなって、このまま逃げるの?
――俺は、椎奈のことが大事だ……大切にしたいと思う。守りたいと思う……。
――……正輝……。
――今まで、なにも守れなかった……みんな、守りたかったのに……。夕美やアンナや母さんやみんな、みんな……。
――周りことが見えなくなっても、椎奈だけは、椎奈だけは……守りたい! 守りたいんだ!!
――正輝……。
――どうしたらいいのか、全然分からないけど。なにができるか分からないけど。なんにもできないかもしれないけど……こんな、情けない俺だけど……。
――俺一人でも……あいの所へ行って……椎奈は、だからここにいてくれ。危ないのは俺一人で充分だから……。
――なんでも、一人で背負い込もうとするのは正輝の悪い癖よ………。私は守られるばかりじゃなくて、あなたのそばで、一緒に守ってあげる……あなたの、守りたいものを……。
――……椎奈……。
そうだ……俺が、
俺が、俺が、俺が……!
約束したんだ……!
守るって、
一緒に守るって、約束したんだ……!!
―――ああ、
いつか、
君に、
本当に心の底から愛していると言えたなら、
それはとても幸せなことなんだろうな―――
まだ、
伝えていない……!
まだ、
椎奈に、
大切なことを伝えていないんだ―――!!!
その時、俺の身体に異変が起きた。
ウィルスが俺の身体を蝕むのではない。
そう、まるでウィルスが俺に力を貸してくれるような、そんな温かな瞬間。
殺戮の衝動もなく、
そこにあるのは、
ただの愛しさ。
“人”の優しさ―――
UGNでウィルスのことを説明された時、
その人は、こう言っていた―――
「レネゲイドウィルスは、我々でもまだ不明な点が多い。未だに、明確にカテゴリーできない症状。ウィルスによってオーヴァードになるものとジャームになるものの遺伝子の相違点」
「そして、こと、人の繋がりを意識した時に起こる、奇跡に等しい現象―――」
「大切な人間、守るべき自分の世界……。その時、オーヴァードは“ヒト”と“人”を越える」
「そう、無限の力を発揮するのだ―――」
正輝 タイタスを使って、蘇生する……。そして、残り全てのタイタスを昇華して、あいに……攻撃する……! これで、お前を止めてみせるっっっ!!!
椎奈 正輝……っ!
正輝 (ころころ)………。
一同 おおおおおお!!?
+ 愛するということ +
屋上のフェンスに、もたれかかる連太。
その口元には、あのコワれた笑みではなく、いつもの微笑みが浮かんでいた……。
その横で、ぼろぼろに朽ちたあいの残骸が徐々に消えていこうとしていた……。
椎奈の鎖をほどき、俺は連太に駆け寄った―――
GM/連太郎 「……正輝…か……?」
正輝 ああ……(頷く)。連太……なのか?
GM/連太郎 「…………(頷く)」
正輝 (寂しげな笑みを浮かべながら)どうして、こんなことに……なっちゃったんだろうな……?
GM/連太郎 「全部……オレのせいだ…すまない……」
正輝 お前がしたかったことじゃ、ないんだよな……?
GM/連太郎 「……それは……」
椎奈 ……正輝っ!
正輝 (振り返る)え?
GM あいの残骸がぶつぶつと呟いている。「わたしを受け入れてくれないの…?」「お願いだから、わたしだけのことを見て」「わたしのことに気付いて……」「愛しているの……愛しているの……」「わたしのことを裏切らないで。こんなにあなたのことを愛しているわたしのことを裏切らないで……」と、《声なき者ども》《愚者の軍団》により《従者》を3体作り出そうとしている……。
正輝 あい……。
GM/連太郎 「アイツをいくら倒しても、オレがいる限り、アイツは蘇っちまうよ……。アイツはオレで、オレはアイツなんだ……。ずっと、気付けなかった……ずっと、受け入れられなかった……もう一人のオレなんだ……」
正輝 止められないのか!? お前じゃ、止められないのか!?
GM/連太郎 「すまないな……オレには、分かるんだ……もう、オレの身体は限界まで、ウィルスに侵されている……。それに、もう、オレがオレでいられる時間も……そんなに、ない……」
正輝 ……連太……。
連太が静かに微笑んでいる。
そして、俺はただ連太を見つめていた。
「10年前の事件も、あいつを止められなかったオレのせいだ……オレのことを憎んでくれていい。怨んでくれていい。裏切り者と罵ってくれていい……」
無理だ、無理だよ、俺には―――
「だから……」
俺は―――
「オレを……殺してくれないか……? そうすれば…あいも消える……指宿も助けられる……」
俺は―――
「普通では死ねない……この身体だが……。お前のその力なら……確実に、今、オレを殺せるのは……その力だけだから……」
違う……この力は、この力はそんな風に使いたくないのに―――
なんで、俺は―――
「自分勝手なことを言っていることは分かっている……けど、オレはお前のことを親友だと思っている……だから、せめて、お前の手で……」
連太―――
涙が出てくる。
なんで、俺は、オーヴァードなんかになってしまったんだろう……?
なんで、俺は、親友を殺さなければならないんだろう……?
誰かを守るために、
誰かを殺さなきゃいけないなんて、
無力すぎて。
俺には、
なんで、みんなを救う力がないんだろう……?
GM/連太郎 「オレがオレであるうちに……頼む、正輝……」「アイツが蘇る前に……頼む……」
正輝 (なにかを堪えるかのように)連太……分かった………安心しろ。俺がお前を殺してやる……俺が、背負ってやる―――
GM/連太郎 「すまないな……お前ばっかり、苦労させてな………」
正輝 ………気にするな…よ……俺たち……親友…だろ?
GM/連太郎 「………正輝………」
思い出すあの夏の日―――
アンナ まぁ…これが、日本の海ですのね(笑み)。
魅呼音 ちょっと、汚いけどね(苦笑)。
正輝 人でごった返しているけど、これはこれで楽しそうじゃないか?
GM/連太郎 「そうそう、いるよいるよ、美人のおねーさんがっ(燃)」
魅呼音 あんたは、そればっかりねぇ(苦笑)。
GM/連太郎 「そこのおねぇさ~んっ!!(走っていってしまう)」
正輝 ……ま、あいつは放っておくか。
魅呼音 そうね、どうせフられて戻ってくるでしょ(笑)。
夕美 ねぇねぇねぇねぇ! お兄ちゃん、泳ぎ方教えてよぉ。
正輝 そうだな……夕美も高校生なんだし、いまだに浮き輪というのもアレだろう(笑)。しょうがない、俺が教えてやるか……。
夕美 やった、今年こそは泳げるようになるんだからっ!
魅呼音 (アンナに)そうそう、海の家で食べるご飯がまたおいしいのよ。
アンナ へぇ、そうなんですの?
魅呼音 そう、具とかないし、見た目も貧相なんだけど……根拠もなくおいしいのよね。
アンナ まぁ……それは楽しみですわ。
夕美 あっ、連太郎さんがまたフられている。
正輝 夕美もああいう男に気を付けるんだぞ。
夕美 お兄ちゃんが守ってくれるから大丈夫だも~ん。
正輝 あのなぁ~、俺だっていつまでもお前のそばにいられないんだぞ?
魅呼音 そうよ、ちょっとは自分のことを考えなきゃダメよ。
夕美 ぶぅ(不満)。
アンナ 夕美、きっと、正輝もいざって時は助けに来てくれるわ。仲のよいあなたたちですもの(にっこり)。
夕美 うんっ。
正輝 しっかし、太陽の光が魅呼音の髪に反射して、ギラギラと眩しいな(苦笑)。
魅呼音 ……え、そんなに?
正輝 金髪にしていて、空手部の先輩なんかになんか言われなかったのか?
魅呼音 ……あ、あたしは別に。校則にも違反してないし、先輩はいい人ばかりだし……。
正輝 俺は、昔の頃の黒い髪を知っているから、なんか違和感を感じるんだよな。
魅呼音 ………いや、まぁ………(曖昧)。
アンナ あら、魅呼音はその色がとてもお似合いですわよ。
魅呼音 あはは……ありがと。
夕美 (唐突に)お兄ちゃんは、染めている方がいいの? それともそのままの方がいいの?
正輝 え、俺? そうだな……髪の毛の色なんて、人それぞれじゃないかな?
夕美 ちぇっ、逃げられたか……でも、まだ諦めないもん(笑)。「夕美はどっちが似合うかなぁ?」
正輝 はは、夕美にはどっちも似合うと思うよ(笑)。
夕美 逃げ切られたぁ(笑)。
一同 (笑)
GM ちなみに、連太郎は彼氏付きの女に声をかけて、砂浜に顔を残して埋められたと(笑)。
正輝 あいつも楽しそうだなぁ……(笑)。
俺と連太が、着替えている時。
――結局、オレは一人も女の子をGETできなかったよ。
――当たり前だろ? あんな風に、片っ端から声かけていれば……。
――まぁ、過ぎたことはいいか。……なあ、お前は好きな奴とかいないのか?
――別に、いないよ。
――そっか……。オレはさ、お前にはさっさと恋人を作って欲しいな。お前を見ていると、不安になるよ。
――なんだそりゃ。それは、こっちのセリフだよ。
――そうかもな……。
――…………。
――オレはな、お前に幸せになって欲しいんだよ。オレよりも、お前の方が幸せになって欲しいんだよ。
――……ばーか、言い過ぎだぞ、そんなの。
――……大馬鹿野郎だからな、オレは。
――ったく、お前って奴は……。
――親友…だからな。
俺もそう思っているよ、連太。お前は、俺の親友だ―――
帰り道、電車に揺られながら俺たちは一日の疲れからか、みんな無言だった。
過ぎ去っていく景色や、がたがたと揺れる電車の振動。
それはなんとも心地よく、俺にはまるで優しい子守り歌に聞こえた。
すでに、夕美は俺の肩に頭を寄せて可愛い寝息を立てていた。
俺、夕美、魅呼音、アンナ、そして連太郎。
会話もなく、ただ今日一日を振り返る。
一日中はしゃいだ夏の日のことを―――
ふと、思い出す。
あの頃のことを。
でも、ここは榊学園の屋上で。
俺たちは、この場にこうして血まみれで立っている。
「わたしのことを愛しているのなら」「オレのことを親友だと思ってくれるなら」
「殺さないで」「殺してくれ」
「どこまでも、一緒なの、あなたとわたしは一緒なの!!」「これで、お別れだ……」
「だから」「でも」
「わたしはあなたに」「オレはお前に」
「「会えてよかった……」」
俺は、無言で氷の剣を降ろす。
ざしゅっ―――
「う……うぅ……………う……うわわああああああああああああああああああああ!!!」
「俺は、俺は、俺は―――」
「連太、俺は―――」
「すまない、すまない……」
「みんな、すまない、椎奈、すまない―――俺は……」
俺は、夜明け前の空に向けて絶叫する。
そして、夜が明けて。
太陽が屋上を照らし始めて。
チリになって、消えていく赤色。
最期に、唇だけで。
「ありがとう」
と言っていたのは、どっちだったのだろう……?
+ DoubleCross +
春……。
暖かな陽射しの中で、俺は学校の屋上から街を見下ろしていた。
いつまでも続くと思っていた日常……。
だけど、それはすでに変ってしまった。
今でもうなされるほどの悪夢。
それが夢ではなく現実にあったことだと俺は毎朝思い知らされる。
その悪夢と現実の中をさ迷いながら出口を俺は探し続ける。
泥沼の中を必死にもがきながら、出口へ向かおうと、光を見ようと手を伸ばす。
その度に、その悪夢――いや、現実という泥沼の底から手を伸ばしてきて俺を再び底に引き戻す。
だが、その手は底まで俺を引き込もうとしない。
俺はそうやってまた再び出口に出ようともがき苦しむのだ。
―――否。
俺は……望みながらそこをぷかぷかと漂っているのかもしれない。
自ら背負った十字架はあまりにも重く、そして深く俺の中に存在している。
十字架……。
それは、俺が“ヒト”でなくなったあの事件から背負うことが宿命づけられていた。
朝起きると、夕美がいないことに。
学校に行くと、魅呼音がいないことに。
教室に行くと、連太がいないことに。
廊下を歩くと、アンナがいないことに。
みんながいないことに。
そんな現実をむざむざと見せつけられる。
いっそ、死ねば楽になれるのに。
いっそ、壊れてしまえば楽になるのに。
いっそ、誰かが殺してくれれば楽になるのに。
俺自身が背負ったものは、それを許してくれなかった。
そんなことで、許されるわけがなかった。
屋上で、ぼうっとしていると。
椎奈がそばに寄ってくる。
「正輝……新しい仕事よ……」
俺は、あれからUGNのエージェントとなった。
それが、今の日常。
俺の日常。
こんなことを、みんなが望んでいるとは思わない。
だけど、俺には……。
平和な日常の方が辛かった……。
どこかで、
なにかを殺さないと、
俺はその平和な日常で、
誰かを殺してしまいそうになる―――
もう、俺は狂ってしまったのかもしれない―――
椎奈…………。
愛しい人。
信じたい人。
守りたい人。
俺の、
最後の大切な―――
―――いつまでも続くと思っていた日常が、
昨日と同じ日常が、
もう二度と訪れない。
もう二度と触れられない。
そして、あの頃には、
あの頃の自分には、
もう、
戻れない―――
お前はなんのために戦う?
「大切な日常を守るために―――」
お前はなんのために生きる?
「大切な人のために―――」
クク、そんなのは偽善だって、
お前自身が、
俺自身が、
一番分かっているだろ?
「うるせぇよ」
ダブルクロス・リプレイ - LoveSyndrome/恋愛症候群 -
Epilogue――END
さて、リプレイはここで終了となります。
こんなギリギリなリプレイを読んでくださった方も。
そして、アレなセッションを乗り切ってくれたプレイヤーにも心より感謝しております。
あと、ちょっとだけおまけ要素を載せて完結します。
イラストの追加とかも、なにか盛りあがったらトライするかもしれません(笑)。




