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RainyRoute 編 第二章:UGN

 


    + 白い天井 +

 


 


 目が覚めると、白い天井が見えた。

 辺りを見渡してみる。

 見覚えない場所。

 病室……なのか?

 少し身体のふしぶしが痛い。

 時計を見ると、午前5時だった。

 


 


正輝 (少しぼーっとしながら)ここは……?

GM そうすると、壁際に一人の男性が立っている。

  /坂本 「……目が覚めたようですね……」

正輝 あなたは…坂本さん? ……俺は、なんでこんなところに……?

 GM/坂本 「体調の方はどうですか?」

正輝 ……あ、いえ、ちょっと身体のふしぶしが痛いぐらいで……他には、なんとも。

GM/坂本 「そうですか。あなたは丸3日も寝ていたのですからね」

正輝 3日……? 3日だってっ!?

GM/坂本 「今日は10月18日です」

正輝 じゃ、じゃあ、みんなは!? あいに!!?

GM/坂本 「あなたが関わっている事件は、すでにレネゲイド事件としてUGNの管轄になっています。残念ながら、あなたはこの事件からは外れてもらうことになります」

正輝 え、それはどういう……?

GM/坂本 「詳しい話は、私からすることは許されていません。私も任務違反によりこうして事件の担当からも外されていますから(苦笑)。

 今から、上司にあなたが目覚めたことを連絡します。しばらく、そこで休んでいてください」

正輝 そんな! 椎奈は!? みんなは!?

GM/坂本 「指宿さんも暁さんも未だに、行方不明のままです……」

正輝 そ…。

GM/坂本 「(正輝を見ながら)ここから、抜け出そうとしない方がいいですよ。ここはUGNの施設ですから、もしも、ここから逃亡すればあなたはUGNから追われる身になりますよ」

正輝 …………(苦い顔)。

 


 


 


    + 地下室の彼女Ⅰ +

 


 


GM 椎奈が目を覚ますんだけど。現在、手足を鎖で縛られて、目隠しをされている。床はざらざらとしたコンクリート。

 


 


挿絵(By みてみん)

 


 


 


椎奈 …………?

魅呼音 (向こう側から)正輝…椎奈……?

GM と、椎奈には魅呼音の声が聞こえてくる。ちょっと声が響いているから、遠くにいることが分かる。

椎奈 (魅呼音に)私は…ここにいるわ……。

魅呼音 椎奈…! 無事なの!?

椎奈 私は、大丈夫……。手足を縛られて、目隠しをされているけど……。

魅呼音 そう、あたしも同じ状態よ……正輝は、正輝は無事なの!?

GM 正輝の返事はないね。

椎奈 鎖をほどこうとするけど……無理だったわ。

GM 諦めるの、はやっ(笑)。確かに、そうなんだが。拳銃とかそういった類のものも探せないね。君らにできるのは転がって移動することぐらいかな。

椎奈 それなら、魅呼音の声のする方に転がっていく……。

GM そうすると、ガツンっと壁かなんかに身体が当たる。

椎奈 痛い…。

魅呼音 椎奈! どうしたの!?

椎奈 ぶつかった…壁かなにかだと思う……。

GM 察するに、二人は別の部屋かなにかにいるみたいだ。


GM せっかくなので、ここで二人は簡単な情報のやり取りをして欲しいかな。合流してから、そんな暇なかったし。

(椎奈 じゃあ、私は10年前の事件のあらましと、美空節子さんが関わっているかもしれないことを話します)

(魅呼音 みそらせつこ……? たぶん、あたしは名前ぐらいしか知らないけど……)

(椎奈 自分の父親が関わっていたことまでは、まだ、話せない……)

GM なるほど。じゃあ、魅呼音は?

(魅呼音 あたしは……澄さんのビデオの内容とか話しても……)

(正輝 怖がらせるだけだな(笑))

(魅呼音 だから、あたしから特に話すようなことはないわね)

 


 


GM じゃあ、そうするとカツーン、カツーン、カツーン……と、足音が近づいてくる。

椎奈 静かに…しても、遅いですね……。すでに、捕まっていますし……。

GM/あい 「暁魅呼音……指宿椎奈………はじめまして」とボイスチェンジャーを通した声が聞こえる。

二人 っ!

GM/あい 「……わたしが今、用があるのは暁魅呼音………あなたには……わたしと正輝のために……」そこで、魅呼音の方のドアを開ける音がする。

魅呼音 (ごくりと唾を呑む)

GM そして、魅呼音はすごい力で引きずられていく。

 


 


挿絵(By みてみん)

 


 


 


椎奈 魅呼音ーっ!

魅呼音 (引きずられながら)し、椎奈、なんとか逃げ…。

GM バタンと、遠くの方で扉が閉まる音がして、魅呼音の声が聞こえなくなった。

椎奈 魅呼音ーーー!!!(叫)

 


 


 


    + 地下室の彼女Ⅱ +

 


 


GM/あい 「うふふふ、あなたには見えないでしょうけど……これは、10年前にUGNで作られた“抗体レネゲイド薬”を変化させ圧縮したもの……」

 


 


挿絵(By みてみん)

 


 


 


魅呼音 …………。

GM/あい 「わたしから、正輝を奪おうとする女は、みんな、みんな、みんなみんなみんなみんな……苦しんで、のたうちまわって、死んで欲しい…のよ……。

 そして、正輝とわたし以外はなにもいらない……これは、愛、愛なの……そうすれば、わたしと正輝は、お互いにいつまでも、いつまでも、いつまでもいつまでもお互いだけを必要としていればいいから……他はなにもいらないから……」

魅呼音 あんたっ、そんなことをしても正輝が振り向いてくれるわけないでしょ!?

GM/あい 「その…」

魅呼音 え?

GM/あい 「その汚らわしい口から、正輝の名前を出すな!!!(蹴る蹴る蹴る)」

魅呼音 く…。

GM/あい 「どいつもこいつも! わたしだけの!! 正輝を!! わたしだけの!! 正輝のことを言っていいのは!! わたしだけっ!!!(蹴る蹴る蹴る)」

魅呼音 ……ぅ……(3点ダメージ)。

 


 


挿絵(By みてみん)

 


 


 


GM/あい 「(少し息切れしながら)………………まあ、いいわ……。もう、あの女たちの口からは二度と正輝のことが出ることはないのだから……。

 そして、あなたにも……ふふふふふふふふふふふふふふふふ(歓喜)」

魅呼音 夕美ちゃんや、アンナも…!?

GM/あい 「(笑うだけ)ふふふふふふ……。

 (手に“抗体レネゲイド薬”を持って)これをあなたに打ち込ませてもらうわ……。あなたは……正輝の前でジャームになって……苦しんで、死んでもらうの……身も心も醜いあなたに、お似合いの…ね……」

魅呼音 そ、それだけは、いや…!

GM/あい 「……せいぜい苦しめ! くそ女!!!(憎)」

 


 


 そして、あたしの首筋に冷たい針が入ってくるのが、分かった。

 異物を注入される嫌悪感。

 それが、徐々にぼやけて。

 意識が遠くなっていった―――

 


 


 *失敗作である“抗体レネゲイド薬”の副作用により、以後、魅呼音の侵蝕率上昇はすべて2倍になります。

 


 


 


    + 地下室の彼女Ⅲ +

 


 


椎奈 (ぽつりと)……魅呼音……。

GM とかやっていると、男性の声が聞こえるね。

  /男C 「君は、指宿さんの娘さんだね?」

椎奈 返事をしません……。

GM/男C 「君をここから、出してあげよう」


(椎奈 まさか、坂本さんっ!?)

一同 坂本さんかよっ!(笑)

GM 絶対、坂本は犯人とグルだな……って、違うわい(笑)。


GM/男C 「私のことは、葛篭苑吉……と言ったら、分かるかな」

椎奈 あなたが……あの………。

GM/葛篭(つづら) 苑吉(そのきち) 「詳しい事情を話している暇はない。このままでは、あの子に君は殺されてしまう……。

 もう、私ではあの子を止めることはできない……私たちが開発してしまった薬が、あの子の心を蝕んでしまったんだ……これも罰かもしれないね……。

 すべてが裏目に出てしまったんだ……そう、すべてが……」

椎奈 彼女は…いったい、何者なの……?

 


 


 私は、もっとも知りたかったことを聞きました。

「それは、言えない」

 葛篭苑吉はきっぱりと言いました。

「正直、あの春日正輝や暁魅呼音のことなんて、どうでもいいのだよ。私は、私の子供が一番大事なのだから」

 それは、固い意志。

 すべてをなげうってでも、守ろうとする大事なもの。

 けれど、それは私にもあります。

 例えまだ、付き合った時間は短くとも……。

 例えまだ、それが形を成していなくても……。


 あの人が、私のことを「普通の女の子」として見てくれなくても。

 私は、この気持ちがなんなのか知りたいです。

 この気持ちの答えを知りたいです。

 


 


GM/葛篭 「ただ、君があの指宿さんの娘だから、一度だけ助けてあげよう。指宿さんに伝えて欲しい。10年前のあの時も、あなたは父親の顔をしていましたよ。そして、私たちのことを見逃してくれてありがとう……と」

椎奈 (ぽつりと)……そう、父さんが……。

GM/葛篭 「そして、UGNに伝えるといい。もう、放っておいてくれ。時間が過ぎれば……すべてが終わる。だから、春日正輝をどこか遠くへ、連れていくなりなんなりしてくれ。あの子の行けない遠くへ…だ……。

 借りは一回だけしか返さない。もしもまた、あの子に君が捕まっても、私は君を助けないよ。父親として、私はあの子を守る立場になる……」

椎奈 ……ここから、逃がしてもらっても、きっとまたあなたに会いに来るわ……きっと……。

GM/葛篭 「二度と君に会わないことを祈っているよ」

椎奈 (自分に言い聞かせるように)……だって、私は魅呼音の友達だもの……。

GM/葛篭 「(ため息をついて)さてと、おしゃべりはおしまいだ。早くしないと、本当にあの子が来てしまう。さあ、ここから逃がしてあげよう。

 ああ、それと、この場所のことを覚えてもらっていては困るから、眠っていてもらうよ……」

 


 


 ………………。

 …………。

 ……。

 


 


GM すると、椎奈の頬をぺろぺろと舐める感触がする。

椎奈 ……え、なに……?

GM 気がつくと、椎奈は病院跡地の裏口で寝ていた。野良犬が椎奈のことを舐めている。

椎奈 ……いつかのビーフジャーキーをあげた犬……?

GM まあ、それっぽい。

椎奈 ……頭を撫でようとする……。

GM 撫でようとすると、逃げていっちゃうね。

椎奈 ………あ(犬を見送ってしまう)。

GM 日付は分からないけど、今は夕方ぐらいだ。

椎奈 そうだ、早くUGNに連絡を取らないと……。

 


 


 


    + 面会 +

 


 


GM/UGNの上司 「目が覚めたようね」

正輝 ………はい。

GM/上司 「事件は、すでにUGN内で調査が進められています。必要なことはこちらから質問しますから、それに答えてもらいます。それと、この事件が解決するまであなたには、この施設に拘束させてもらうわ」

正輝 ちょ、ちょっと、待ってください! これは俺の周りで起きた事件です。だからっ……。

GM/上司 「(後を引き継いで)だからこそです。所属不明の犯人を“Pricker”アイとUGNでは呼称しています。

 これから、“Pricker”アイの事件の詳しい経過を一からあなたに話してもらいます……よろしいですね?」

正輝 …………。

GM/上司 「話してくれれば、昨日、保護されたあなたの妹さんに会わせてあげるわ」

正輝 夕美が!?

GM/上司 「日和川さんの安否は未だに分かりません。新たなビデオも発見されていません」

正輝 アンナはまだ……それで、夕美は…夕美は無事なんですか!?

GM/上司 「あなたが事件のことを話したら、そのことを話してあげます」

正輝 ……分かりました。だけど本当に、俺はもうこの事件に関われないんですか?

GM/上司 「そうです。この事件がジャーム事件だと分かった以上、UGNの決定には従っていただきます。あなたがこれ以上関わると、あなた自身が壊れる可能性が高くなります。あなたまでもが、ジャームになられても困りますからね」

正輝 …………。

GM/上司 「これが、UGNの決定です(きっぱり)」

 


 


挿絵(By みてみん)

 


 


 


 そして、俺は事件のこと話し始めた。

 あの一週間のことを語り終えるまでに、数時間が必要だった……。

 


 


GM ということで、昼過ぎぐらいに病室まで連れていかれるね。

  /上司 「いい、落ち着いて聞きなさい。あなたの妹さんは、あの街のデパート地下駐車場で発見されたわ。外傷はほとんどなかったけど……腕には、複数の注射の跡があったわ……」

正輝 それは、どういう…ことですか……?

GM/上司 「犯人の能力はソラリスのようね。彼女の身体からは未確認の化学物質が大量に検出されたわ」

正輝 じゃあ、夕美は!?

GM/上司 「(顔を少し背けて)……残念だけど、彼女は……もう……」

正輝 ……っ!!

GM/上司 「UGNのオーヴァードの中和剤でも手後れなほど、脳と神経が侵されているの。治療不可能よ……。

 彼女……長い黒髪と赤色に過敏に反応するわ……犯人は、とても正気じゃない……ジャーム、それも最悪のね……」

正輝 (絞り出すように)……分かりました、夕美に会ってみます……。

 


 


 



    + 春日夕美 +

 


 


 俺は、そっと病室のドアを開ける。

「夕美……?」

 小さな声で呼んでみる。

 真っ白の部屋の中に、ぽつんとベッドがある。

 そこに、上半身を起こしたままの夕美がいる。

 


 


挿絵(By みてみん)

 


 


 


 俺の方を見る。

 そこには、ただ虚ろな目があった。

 口からは、だらしなく垂れたヨダレ。

 パジャマを着せられているが、下半身が不自然に膨れ上がっているのが分かる。そして、それがオムツをつけられているからだと気付くまで、少し時間がかかった。

 


 


夕美 (虚ろな笑みを浮かべながら)あー…………ぁ……(涙を流して、手を伸ばす)。

正輝 (手を握り締めて、泣きそうになりながら)夕美、夕美、夕美、ゆみ…………。

 


 


挿絵(By みてみん)

 


 


 


夕美 あー………。

 


 


 


 


 


 なんにもかんがえられない。

 ここ、どこかな。

 なんかからだがうまくうごかないや。


 なんかいろんなひとがいったりきたり。

 なんかやってる。

 なんにもかんがえられないや。

 


 


挿絵(By みてみん)

 


 


 


 なんだか、なきたくなる。

 ないたらだめなのに。

 ないたらかなしそうなかおするから。

 だいじだから。

 でも、そのひとだれだっけ?

 おもいだせないや。

 だいじなことなんだけど。

 おもいだせない。

 だから、ときどき、なきたくなるのかな?

 またいろんなひとがよくわからないことしてる。


 おなかすいたなー。

 でも、てとかあしとかうまくうごかないや。

 いろんなひとがごはんくれた。

 おなかいっぱい。

 


 


 …………。

 ……。

 


 


 


挿絵(By みてみん)

 


 


 


 ……。

 …………。

 


 


 また、きょうもいろんなことされるのかな。

 ときどき、いたいことするからやだ。

 いろいろなこときらい。


 あれ。

 またいろんなひとがくる。

 このひと、だれだっけ?

 なんかへんなかおしてる。

 かなしそう。

 わたしもかなしい。

 このひと、かなしい。

 このひと、だれだっけ?

 なにかしゃべろうとしても、うまくしゃべれない。


「あー………」


 かなしいから、ないた。

 うれしいから、ないた。

 だって、あえた。

 なんだか、よくわからないけど。

 かなしくてうれしかった。

 あんしんするひと。

 あたたかかった。

 このひと、だれだっけ?

 


 


挿絵(By みてみん)

 


 


 


 よく、

 わからないや―――

 


 


正輝 (夕美に呼びかけながら)俺だ、正輝だよ……分かるだろ、夕美? なあ、分かるだろ…?(泣)

夕美 …………?

正輝 夕美!!!(涙) なんとか、なんとか治らないんですか!?

GM/上司 「無理よ……。レントゲンで見れば分かるけど、脳の部分に黒い影がいくつも映るのよ……」

正輝 ………だって、そんな、あんまりだ………。

GM/上司 「レネゲイドウィルスなら、可能性はあるわ……けど、この状態で発症すればほぼ間違いなくオーヴァードではなくジャームになるわよ……」

正輝 (嘆きながら)くそ、くそ、くそ……くそ………。

 


 


 

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