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LoveSyndrome編 終章:10月14日(日)

 


    + 決断の日Ⅰ +

 


 


GM ちなみに、明け方に連太郎はひとまず帰宅したってことで。正輝と魅呼音は数時間の仮眠を無理矢理とった。

魅呼音 (遅い朝ご飯を作って)……正輝、これでも食べて、元気を出して……。

正輝 すまない、魅呼音……。昨日はあんなに取り乱してしまって……。

一同 取り乱し過ぎだろう(笑)。

正輝 俺が冷静にならないと、しょうがないよな。

魅呼音 うん……。

正輝 俺はお前に頼ってばっかりだよな……。

GM ホント、魅呼音が可哀相なぐらいだ(笑)。

正輝 けど…これからどうすればいいんだろう……。

魅呼音 ……ねぇ、正輝。警察やUGNには頼れないけど、椎奈だったら……相談に乗ってくれるんじゃないかしら?

正輝 ……そうだ……椎奈にそのことを話すかどうかはともかく、無事かどうか連絡とらないと(はっと気付く)。



椎奈 もしもし、どうしたの……?

魅呼音 あ、椎奈……。

正輝 (電話越しから)椎奈、無事なのか?

椎奈 え、なにが…? 無事? え、ええ、無事だけど、それがなに……?

 


 


挿絵(By みてみん)


 


 


 


魅呼音 それが、夕美ちゃんとアンナがさらわれたのっ。

GM 椎奈に話しちゃうんだね、そのこと?

魅呼音 ええ、もうこれ以上、椎奈にだまっているのも……。

椎奈 (状況が把握できず)それは…どういうことっ?

魅呼音 「それが……」と今までのことを簡単に話すけど。

GM う~んと、そこはなにをしゃべったのか明確にしたいから、これとこれを話すときちんとして欲しいな。

魅呼音 ん、分かったわ。「正輝のメール相手が関係しているみたいんだけど……」と、それで今までに柳澄さんと志木瑞香さんもさらわれたこと。色々と危ない目にあっていること。夕美ちゃんとアンナもさらわれて、急いで探さなければならないことを話すわ。

椎奈 そ、そんなことが……(呆然)。

魅呼音 それで、警察にも頼めないし、UGNにだって頼めないし……。

 


 


 *この辺はGMの都合が主にありますが、なぜこのようなおかしな事態になるかを簡単にへ理屈で今一度説明したいと思います。

 まず、オーヴァードは警察を基本的に頼れません。それは『ダブルクロス1st』時代から『公安警察特殊犯罪調査室』の存在があるからです。

 公安警察特殊犯罪調査室は反オーヴァードというスタンスをとっているため、もしも、捜査過程で正輝や魅呼音がオーヴァードとばれたら大変危険だからです(一般人にも被害が及ぶのもいとわないと1stのルールブックに書いてありました。この辺りは、2nd、3rd以降のルールブックになるとUGNとの協力体制が多少でき、かなり緩和されています)。

 そして、UGNはレネゲイド犯罪が起これば力を貸してくれるでしょう。しかし、今回の事件は凶悪犯罪ですが、あくまでもレネゲイド犯罪ではありません。そんな事件の捜査をUGNが簡単に協力はしてくれないでしょう(しかも、正輝と魅呼音はUGNイリーガルに過ぎません)。

 他にも、頼る組織がその人にとって「白」という信頼できる組織でなければなりません。正輝や魅呼音や椎奈が警察やUGNを純粋に信頼しているわけがありません(記憶処置をするような組織を簡単に信じられるでしょうか? また、1st時代のUGN日本支部長が人情家で知られる霧谷雄吾ではなかった等も理由にあります)。

 さらに言えば、PCたちは物語の主人公なのです! 組織の力を簡単に頼られては、物語のほとんどが成り立ちません。これは、もう理屈もなにもあったものではありませんが……(笑)。

 今回の話は(GMも無理があるなぁ…と思いつつも)その原則を元に作られております(陳謝)。

 


 


魅呼音 だから、椎奈……夕美ちゃんとアンナを探すのを手伝ってくれない…?

椎奈 ……分かった。

魅呼音 たぶん…だけど、ひとけのない建物の地下室に捕らわれていると思うのよ……。

椎奈 ……そういう場所なら…心当たりあるわ……。

正輝&魅呼音 えっ!?

椎奈 10年前に起きたジャーム事件の時に使われた……病院の廃虚なら……それに当てはまるわ……。

魅呼音 それじゃあ……。

椎奈 でも、この間…事後処理の任務でそこに行ったけど……そこにはなにもなかった……。

魅呼音 そ、そう……。でも、もう一度行って確かめる価値はあるわよね。じゃあ、これからあたしたちはそこに……。

GM と、そこに正輝の携帯にあいからメールが届く。

正輝 っ!

 


 


 


    + 決断の日Ⅱ +

 


 


GM/メール 『昨夜から、あなたは随分と落ち込んでいるようです。もしかしたら、二人のうちどちらかがあなたにとって大事な人だったのかもしれません。でも、あの女たちもあなたに近づく汚い女に相違ありません。だから……。

 あなたにとって、本当に大事な人を選んでください。あなたにとって大事な人を粛正するのは、少々心苦しいです。だから、選んでください。そうすれば、わたしも安心して粛正ができます』

正輝 ど、どういうことだ……?

GM とかやっていると、同時にメールを2通受信する。内容はほぼ一緒だ。

  /メール1 『待ってます/アンナ――噴水のある公園のベンチで正午まで待ってます。正輝一人で来てくださいね』

  /メール2 『待ってるよ/夕美――学校の下駄箱で正午まで待ってます。お兄ちゃん一人で来てね』

 


 


挿絵(By みてみん)


 


 


 


正輝 つまり…俺が選んだ方を助けるって……ことか……? 正午まで、後どれくらいだ!?

GM あと、十数分。公園も、学校も今から全力で走れば間に合うぐらいだよ。

正輝 大事な人って、俺にとってはどっちも大事なんだよっ!!

魅呼音 どうしたの、正輝? また、あいからメールが来たの?

正輝 これを見てくれっ!(と、メールを見せようとする)

GM とかやっているうちにも、時間が過ぎていくけど?(ニヤリ)

正輝 え!? 「どっちかだなんて、俺には選べない! ………そうだっ、魅呼音!! 片方に行ってくれないかっ!!」

魅呼音 え、片方ってなにが?

椎奈 (電話越しから)……どうしたの?

GM ちなみに、リアルタイムの秒単位で時間が進んでいるから(にやにや)。

正輝 え!? ど、どうすればいいんだよ!!? 夕美は俺の妹だぞ!?(混乱)

魅呼音 どうしたの、正輝? きちんと説明してくれないと、分からないわよっ!

椎奈 (電話越しから)……なにが……起きているの……?

正輝 アンナはどう……ええい、俺は夕美の方に行く!!

魅呼音 夕美ちゃんのところへ? だから、なにが……。

正輝 (魅呼音の肩を掴んで)説明している暇はない!! 魅呼音、噴水のある公園のベンチまで行ってくれ!! 急いでだ!!! 俺は、学校まで走っていくからっ!!!

魅呼音 わ、分かったわ(頷く)。

GM 全力で走っていくんだよね?

正輝 ああ、もちろんだ。

魅呼音 あたしは……うん、よく分からないけど、大変なことが起きているみたいだし……全力で走るわ。

椎奈 本当に、どうしたの……?

魅呼音 病院跡地のことは後で電話かけ直すから、ごめんっ!

椎奈 分かったわ……(頷く)。

 


 


GM 危なかったね、二人とも。あと、5秒決断が遅ければ間に合わなかったぞ(笑)。

正輝 よ、よかった……。

GM まず、正輝が学校に着くのは、正午になる寸前。正午になると夕美の下駄箱から携帯の着信音がする。聞きなれた流行りのポップスだ。

正輝 さっそく、その携帯を取ってみるぞっ!

 


 


GM 一方、魅呼音。公園には正午をちょうど過ぎた頃に着く。ベンチのところから携帯の着信音がする。ドヴォルザークの「新世界より」だ。

魅呼音 え、どこから…?

GM と、音のする方を調べてみると、ベンチの裏側に携帯がテープで固定されている。

魅呼音 携帯に出てみるわ……。

 


 


 


 


 


GM そうすると、携帯電話に出た瞬間、ブツッと切れる。

 


 


 


 


 


 ……。

 ……………。

 


 


 


 


 


    + 決断の日Ⅲ +

 


 


正輝 (切れた携帯に向かって)夕美っ!! 夕美ーっ!!

GM そんなことをしていると、正輝にメールが届くね。

正輝 なんだろう…?

GM/メール 『一人で来てくれなかったんですね。約束を守ってくれなかったことがとても残念です。……残念でなりません……だから、わたしもあなたとの約束を破ります。これで、おあいこですよね?』

正輝 それって……つまり……。

GM あいは二人とも粛正するということだよ。

 


 


 


 


 


挿絵(By みてみん)


 


 


 


 


 


正輝 う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!(絶叫) なんで、なんでこんなことに……!?

 


 


 …………。

 ……。

 


 


正輝 …………そうだ、メールを送り返す。『悪かったから、頼むから……それだけはやめてくれ。頼む、お願いだから……』

GM …………返信は来ないね。……もしも約束通りにどちらかを選んで行動をしていれば、片方は助けることができたはずなんだけど……GMとしても残念だよ。

正輝 ………俺は……俺は………。

 


 


魅呼音 (携帯で)正輝……正輝、やっと繋がった……。ねぇ、なにがあったの? 公園に、携帯電話があってとったんだけど、すぐに切れたし……。

正輝 ああ、こっちもそうだった……(暗)。

魅呼音 どういうこと……?

正輝 恐らく…こっちの電話に出たら夕美を……。そっちの電話を出たらアンナを……助けるつもりだったらしい……。

魅呼音 それじゃあ、両方に出たってことは……。

正輝 そうだ……両方とも助けられないということだ……。

魅呼音 じゃあっ!!

正輝 二人とも……殺される………。

魅呼音 …………(息を呑む)。

正輝 なぁ、魅呼音……俺は、俺はどうしたらいんだろう……? なにが、できるんだろう……?

魅呼音 それは………。

正輝 …………。

魅呼音 椎奈に聞いた、病院跡地に行ってみるしかないと思うわ。それしか、あたしには思い付かない……この間、椎奈が調べてなにもなかったって言っていたけど、念の為にもう一度調べてみた方がいいと思うわ。だから……。

正輝 そうだな…他になにも思い付かないしな……。

魅呼音 これから、そっちにあたしも向かうから……。椎奈に連絡を取って、それから一緒に行きましょう。

正輝 分かった……。

 


 


 


    + 地下室でⅠ +

 


 


 俺と魅呼音はあの後、連絡を取って椎奈と駅で合流した。

 その間に、連太から電話がかかっていたが、オーヴァードでない連太と一緒に行動するのはまずいと思い、後は警察に任せたなどと適当なことを言って連太の協力を断った。

 


 


正輝 椎奈……。

椎奈 ……正輝……。

GM 椎奈は他のみんなにこうして会うのは久しぶりだな。

魅呼音 …………。

 


 


挿絵(By みてみん)


 


 


 


椎奈 ……病院跡地に行くわよ……。

正輝 ああ……。

 


 


 俺たちはこうして、数駅先にあるという病院跡地に向かっていった。

 これ以上、大切な人を失いたくない。

 だからもしも、大切な人を救えるのであれば、俺はそのためにあいを殺してだって構いやしない。

 目をギラギラとさせながら、俺は電車の中で下唇を噛んでいた。

 


 


椎奈 着いたわ……。

正輝 (病院跡地を見上げる)ここか………。地下室があるんだよな?

椎奈 ええ、地下二階まであるわ……。

魅呼音 とりあえず、地下一階から調べましょ。

正輝 そうだな……。

 


 


 地下一階を調べ始めたが、もう何年も使われている形跡はなかった。

 地下二階に行こうとするが、階段がない。

「どういうことだ……?」

「地下二階は元々、秘密に作られていたみたいなの……私も前回調べた時には気付かなかったわ……」

 そういって、椎奈は電気の通っていないエレベーターに近づき、魅呼音と一緒に無理矢理扉を開け始めた。

「エレベーターでしか行けないんだけど……電気が通ってないから、エレベーター内のはしごを使うしかないわ……」

 俺はなんで椎奈がそんなことを知っているんだと、ふと思ったが、UGNが調べたんだから当たり前かとすぐに納得する。そんなことよりも、早く下に行って確かめたいと思った。

 


 


 


    + 地下室でⅡ +

 


 


GM はしごを降りると、扉がうっすらと見えてきた。終着みたいだね。

椎奈 地下三階はないみたいね……。

正輝 にしても、真っ暗だな……ライトとかないのか?

魅呼音 急いでいたから、なにも……携帯のパネルで照らすしかないわね……。

正輝 仕方ないか……とりあえず、この扉をこじ開けるぞ……。

GM ガコンガコンと扉が開く。そうすると、澱んだ空気が流れ込んでくる。

正輝 中は真っ暗だな……ビデオだと…蛍光灯がついていたし……スイッチとかないのか?

GM ぱっと見てもないね。

正輝 どういうことだ…? ここじゃないってことか…?

魅呼音 まだ、なにも調べていないじゃない。ひとまず、ここを調べてみましょう。

正輝 …そうだな。そういや、あいから連絡が来てもここじゃ圏外だし困ったな……。

GM いいや、電波は来ているよ。ファルスハーツの科学力だ(笑)。

魅呼音 そうなんだ。それで部屋はあるの…?

GM 心もとない明りだから、廊下全体を照らすことはできないけど、いくつも部屋はあるみたい。どうする? バラバラに調べる?

椎奈 別れない方がいいわ。

正輝 いや、ここは迅速に行動すべきだ。俺はこっちに行くから、二人はそっちを調べてくれっ。

魅呼音 ダメよ、正輝! 今までだって、そうやって一人になるそばから、いなくなっているのよ?

正輝 大丈夫だろ…俺たちは“ヒト”じゃないんだからな…。

椎奈 っ!!!

魅呼音 ……正輝、そんなこと……。

椎奈 (憤慨したように)た、確かに…私たちは“ヒト”じゃないけど……あなただって、そんなに弱いじゃないっ!!

正輝 なっ……人を殺せる力だってあるんだぞっ!!

椎奈 だから、そんなんじゃ誰も守れない…!!!

正輝 くそっ!!! 椎奈に俺のなにが分かるって言うんだよ!!!

椎奈 ……分からない、分からない……っ!!!

 


 


挿絵(By みてみん)


 


 


 


二人 ……(にらみ合う)……。

魅呼音 やめなよっ! 二人ともこんなところで!! お願いだから……いがみ合わないでよ。ここは、一緒に探すのよ…いいわね?

三人 ……(沈黙)……。

正輝 ……分かった……。

椎奈 …………。

 


 


 実験室、会議室などいくつかの部屋を覗くが、なにも見つからない。

 こうしている間にも、夕美やアンナがどんな目に遭っているのか……。

 俺はイライラしながら、扉を開けては中を覗く。

 そうしていくと、俺たちの目の前に変わった扉が現われた。

 物々しい金属で作られた扉。上には冷凍室と書かれたプレートがある。

 金属が擦れるようないやな音を立てながら、扉をゆっくりと開ける。殺風景な部屋で、棚という棚にはなにもなかった。

 ただ、奥に古ぼけたトランクケースがあった。

 冷凍室にトランクケース?

 俺たちはそろそろと近づき、トランクケースを開ける。

 ………中にはなにも入っていなかった。


 ん?

 今、なにか聞こえたような……?

 耳を澄ましてみると、カツーンカツーンという足音が遠くの廊下からこちらに近づいてくるのが聞こえる。

 俺は息を殺して、身をかがめた。魅呼音や椎奈も同じようにしている。

 携帯を閉じ、明りを見えないようにする。

 カツーン、カツーン。

 ………………。

 …………。

 ……。

 カツーン。

 そして、足音は冷凍室の扉の前で止まった。

 いったい、誰なんだ……?

 暗がりの中を、俺は目を凝らしてみる。

 ………?

 ……なんだ、この甘い匂いは……?

 なっ!? 意識が……遠くな…って……いく………?

 ま…ずい………こ…こで………いし…きを……うしな…うの…は………。

 


 


 俺の気持ちとはうらはらに、身体が前に倒れ込む。

 そして、カツーンカツーンという足音が俺たちの方に近づいてくる。

 急速に薄れ行く意識の中、俺は暗闇の中で見えるはずもないのに。

 近づいてくる足音の主が紅いハイヒールを履いているのが見えたような気がした。


 お前が、

 お前が、あいなのか―――?

 


 


挿絵(By みてみん)


 


 


 


 声にならない、声で。

 俺は、そこで完全に気を失った―――

 


 


 


ダブルクロス・リプレイ - LoveSyndrome/恋愛症候群 -

LoveSyndorme編――END

 


 


 

 


まだ、続きます。

次回より、視点が少し変わります。

 


 


 

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