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LoveSyndrome編 第一章:前夜祭

 


    + 恋愛症候群 +

 


 


 いつから狂い始めたのだろう?

 そのすべてが始まったのはあなたに出会ったあの日からかもしれない。

 それとも、もうずっと昔からだったのかもしれない。


 それは、もうよく分からないのだけれど。

 でもやっぱり、考えてしまう。

 人は常に小さな選択の中で生きている。

 それがいくつもいくつもあって、今がある。

 例え、それが最良の選択でなくとも、その選択が誤っていたとしても。

 これからもそうして生きていくのだろう。

 なぜなら、過ぎ去ったものはもう二度と手に入れることはできないのだから。

 そして、その偶然の積み重ねの中、

 奇跡とも言える“今”があるものだから。

 


 


 誰が言ったのか知らないけれど、


 恋は奪うもの。

 愛は与えるもの。


 意味は分からないけど、それは正しい気もする。

 じゃあ、これは恋なのか、愛なのか。

 それは分からない。


 もう、分からないことだらけだ。

 ちょっと、おかしいよね。

 自然と笑みが浮かびあがる。

 


 


 分からないことばかりだけど、これだけは言える。

 これだけは自信を持って言える。


「愛している。こんなにもあなたを愛している―――……ねぇ、正輝……」

 


 


 


挿絵(By みてみん)

 


 


 


ダブルクロス・リプレイ - LoveSyndrome/恋愛症候群 -

LoveSyndrome編――START

 


 


 


    第一章 前夜祭


    + 晴れの日、夕暮れ +

 


 


 あれは、中学校二年生の時だった―――


GM/霞谷(かすみだに) 連太郎(れんたろう) 「今日の練習、きつかったよなぁ……」

春日(かすが) 正輝(まさき) 俺も早く先輩みたくうまくなりたいよ。

GM/連太郎 「そうだな。おっと、それじゃあな、正輝、魅呼音」

(あかつき) 魅呼音(みこと) ん、また、明日ね。

正輝 おう!

 


 


 赤い夕暮れの中。

 ほんの一秒がとても長く、いつ切り出そうか迷っているまま、あたしは正輝と一緒に歩いていた。

 勇気が、ほんの一欠けらの勇気が欲しかった。

 そして、ついにいつもの十字路に差し掛かる。

 


 


魅呼音 …………。

正輝 それじゃあ、俺はこっちだから。またな(と去っていく)。

魅呼音 ……ま……待って、正輝っ。

正輝 ……え?(振り返る)

魅呼音 …………(俯く)。

正輝 ………??

魅呼音 …………あ、あたしさ。

正輝 ??

魅呼音 あたし……あんたのこと………。

二人 …………。

魅呼音 あんたのこと…す、好きなんだ………(顔赤い)。

 


 


挿絵(By みてみん)


 


 


 


正輝 え…………。

魅呼音 この意味、分かるよね……正輝……。

正輝 魅呼音……(驚)。

 


 


 あたしは、この時、まともにあいつの顔が見られなかった。

 恥ずかしかった。

 それに、もしも、もしも……困った顔をしていたらと思うと。

 あたしは、あたしは―――

 


 


魅呼音 ………まさき………(俯く)。

正輝 俺なんかのどこがいいんだ……?

魅呼音 どこがって……正輝だから、いいんだよ……あたし……。

正輝 (夕日を見て)魅呼音にまで…そんなこと、言われるとは思ってなかったな……(苦笑)。

魅呼音 そ、そうだよね……あたしみたいのに、言われても……困る…よね?

正輝 俺は……。

魅呼音 …………。

正輝 俺は…まだ、魅呼音の想いに応えられないよ。時間……くれないか?

魅呼音 そっか、そうよね。じゃあ、また…ね。

正輝 じゃあ…また………。

 


 


 あたしは、この時にその答えを聞いておいた方がよかったのかもしれないし、今のままでよかったのかもしれない。

 それは、未だに分からないのだけれど。

 本当に、分からないのだけれど。

 一週間後に、あたしからそのことを断った。


 それはあたしが、

 “ヒト”でなくなったから―――

 


 


 


    + 彼と彼女の日常Ⅰ +

 


 


魅呼音 ………ふぅ(ため息)。あの夢かぁ………。

GM ちょっと早起きしてしまったようだ。時間は午前5時半。

魅呼音 忙しい両親の代わりに朝食作って、お弁当作って、それから学校に行くわ。

GM/暁母 「いってらっしゃ~い」

魅呼音 行ってきまぁす!

 


 


魅呼音 あ、おはよう椎奈。

指宿(いぶすき) 椎奈(しいな) おはよう…(ぽつり)。

魅呼音 …………。

椎奈 …………。

二人 …………。

 


 


 魅呼音は私といる時に、無理にしゃべろうとしません。

 だまっている私を不安げに見る人とは違って、とても安心できます。

 私は今、「友人」と一緒に登校しているんだ。

 そう思えるだけで、

 そんなささないなことでさえ、

 とても新鮮で楽しくて嬉しいです……。

 


 


春日(かすが) 夕美(ゆみ) (向こう側から)体育祭は夕美のチームが勝つんだもん!

正輝 ふふ、俺たちのチームの勝ちさ!

一同 二人とも、同レベルかい!!(笑)

正輝 いや、俺は夕美をからかっているだけだ(笑)。

夕美 うわ、お兄ちゃんひどい!(笑) でも、そんなことに気付かない夕美は「負けないもぉん!!」

正輝 夕美は(からかうと)可愛いなぁ……(と、頭を撫でる)。

夕美 ……なんか今、馬鹿にされた気がするぅ~。

正輝 いや、気のせいだぞ(笑)。

夕美 そっかぁ(素直)。あ、魅呼音さんと椎奈さんだ! おはようございまぁす!

正輝 おう、椎奈、魅呼音、おはよ。

魅呼音 あ、おはよう、正輝、夕美ちゃん。


(椎奈 わ、私の方が先に呼ばれた……?(どきどき))


椎奈 というのを臆面にも出さず(笑)、「(ぽつりと)おはよう……」

夕美 あれぇ、なんか椎奈さん、嬉しそう……?(笑)

椎奈 ……あなた……すごいのね…(笑)。

夕美 えへへ~…よく分からないけど、誉められちゃった。

正輝 …? なにが?

椎奈 ……なんでもないわ……(首を振る)。

正輝 そっか。それにしても、今日は夕美も早起きできたから助かったよ。

夕美 うん、今日はお兄ちゃんに起こしてもらう前に起きれたんだから!(自慢)

正輝 それは自慢できることなのか?(苦笑)

夕美 うん(笑顔)。

GM/連太郎 「(遠くから駆け寄ってきて)ちゃおっ!!」

正輝 ……連太の「ちゃお」って挨拶はなんなんだろうな?(苦笑)

椎奈 彼、いつもそうね……(笑)。

GM/連太郎 「そいつはオレ流のカッコイイ挨拶ってやつさ。きらーんっ(歯が光る擬音)」

一同 はいはい(苦笑)。

GM/連太郎 「どうだ、かっこいいだろ?」

正輝 いや、そのかっこよさの基準が俺には分からんな(笑)。魅呼音は、どう思う?

魅呼音 (苦笑しながら)もう、好きにしてくれていいわよ。

GM/連太郎 「なんか、ひでぇ言われようだな」

夕美 夕美流の挨拶も考えよっかなぁ……。

正輝 夕美、やめておけ(笑)。

五人 (雑談しながら登校)

 


 


挿絵(By みてみん)


 


 


 


魅呼音 (みんなを眺めながら)やっぱり、これでよかった…のよね……?(ぽつり)

正輝 なにか言ったか、魅呼音?

魅呼音 ううん、なにも。さ、予鈴が鳴っちゃうわよ!

正輝 おう!

 


 


 


    + 彼と彼女の日常Ⅱ +

 


 


GM 正輝と夕美の学校帰り、家の前に一人の女性が立っている。

  /柳 澄(やなぎすみれ) 「こんにちは(にっこり)」

夕美 あ、澄先生。こんにちは!

正輝 澄さん……こんにちは。

GM/澄 「はい、これ、返しに来たわ(にっこり)」と正輝の上着を返してくれるね。

正輝 わざわざすみません、澄さん。

GM/澄 「ありがとうね、正輝くん。ちゃんとクリーニング出しておいたからね」

正輝 なんか、気を使ってもらっちゃって……。

夕美 ??? ねぇ、なにかあったの?

正輝 え、いや、別になにも……(汗)。

夕美 あ~、その目は嘘をついている目だぁ!


(魅呼音 「上着を貸した」だなんてどうフォローするのよ?(笑))

(椎奈 (ぽつりと)落ちてた……?)

一同 落とすか!!(笑)


正輝 いやぁ、そのあれだ、ちょっと、貸してあげたんだよ。

一同 そのまんまじゃん(笑)。

GM/澄 「ちょっと、風邪気味でね。それで、貸してくれたのよ(にっこり)」

正輝 そう、そうなんだよ、夕美!

夕美 (眉をひそめながら)ふぅ~~ん、そうなんだ。

GM/澄 「ええ、そうなのよ」

夕美 ま、いっかぁ……。あ、そうそう、夕美たちね、猫を飼い始めたんだよっ。

正輝 ええ、「こゆみ」って名前なんです。

夕美 夕美は「ゆみゆみ」がいいって言ったんだけど、だめだって言われちゃって。

正輝 いや、だめだろう(笑)。

GM/澄 「夕美ちゃんらしい名前の付け方よね(にこにこ)」

正輝 でも、飼ってみて思ったんですけど、猫って可愛いもんですよ。

GM/澄 「わたしも飼いたいんだけど……マンションじゃ飼えなくて(苦笑)」

正輝 いやぁ、うちにはもともと小動物みたいのが一人いるから……(笑)。

夕美 ゆ、夕美は動物じゃありませんのだっ!(ぷんぷんっ)

一同 「ありませんのだ」じゃねぇ!!(爆笑)


 *一同総ツッコミ(笑)。


GM/澄 「そうだ、今日は一緒にお夕飯を食べない?」

夕美 え、ホント!?(嬉)

正輝 それだったら、うちでごちそうしますよ。

GM/澄 「じゃあ、今からみんなで買い物に行きましょう(にっこり)」

 


 


GM/澄 「(その買い物帰りに)どう、あの悩みは解決したかしら?」ちなみに、澄が言っているのは、いじめ云々の話だけどね。

正輝 (満面の笑みを浮かべて)ええ(頷く)。

GM/澄 「そう、それはよかったわね……(優しげな微笑み)」

正輝 澄さんのアドバイスのおかげですよ(にっこり)。

夕美 (ちょっと離れたところから)ほらぁ、早くぅ~~!!(手をぶんぶんと振る)

正輝 (夕美に向かって)そんなに慌てなくてもいいだろ~! さ、行きましょうか、澄さん。

GM/澄 「そうね♪」

 


 


GM そして、家について夕食時。

正輝 夕美の料理のレパートリーは少ないからなぁ…(苦笑)。

夕美 これから増えるんだよぉ!

正輝 はいはい、期待しているよ。

夕美 うぅ~、なんか投げ遣りな口調だなぁ……。

GM/澄 「まあまあ、また、お料理教えてあげるから(にこにこ)」

夕美 え、いいのっ? うん、ありがとうっ!!

 


 


挿絵(By みてみん)


 


 


 


GM こうして、夜が深けていった。

 


 


 


    + 彼と彼女の日常Ⅲ +

 


 


GM 体育祭が終了してから数日後。ポストに夕美宛の手紙が届いていたよ。

正輝 お~い、夕美宛に手紙が来たぞ~!!

夕美 はぁい!(ばたばたと階段を降りてくる)

正輝 ほら、これ。

夕美 えっとぉ――(手紙の内容を見て)――う~~~~ん……。


(正輝 まさか、夕美に言い寄る男なんているわけないよな…と口には出さず、思う(笑))

GM 口に出した方がおもしろいのに(笑)。


夕美 ねぇ、お兄ちゃん。

正輝 ん?

夕美 夕美さぁ……ラブレターもらったんだけど……どうすれば、いいと思う?

正輝 ラブレター…? ……それは……。

夕美 それは?(どきどき)

正輝 ……夕美の心次第なんじゃないかなぁ……。

夕美 お兄ちゃんは心配じゃないの……?

正輝 そりゃぁ、心配だよ。夕美が変な男に……。

夕美 お兄ちゃん……(嬉)。

正輝 「妹を心配しない兄がいるわけないだろ」と無理矢理そっちに話を持っていくぞ(笑)。

夕美 それは、お兄ちゃんとして、だよね?

正輝 当たり前だろ、たった一人の妹なんだからな(頭を撫でる)。

夕美 うん。

正輝 まあ、その気もないのに返事をするのはやめた方がいいぞ。相手にも失礼だしな……。

夕美 ……じゃあ、夕美……断るよ(にこっ)。

正輝 そうか……。


(正輝 と、ちょっと嬉しそうな顔をしてみるぞ(笑))

一同 なぬぅ!?(爆笑)

(椎奈 ……その気がないのに、その気がある素振りをするのは……いいの?(笑))

(正輝 いや、違うって(笑)。これは、妹が大人になっていくのに戸惑う俺の父親的兄的な感情の表われで……)

(椎奈 ……私には、義妹をキープしているようにしか……見えないわ(笑))

(夕美 なんて、ひどいお兄ちゃんっ(笑))

(正輝 キャラクターは無意識なんだよ!(笑))


GM さらに、何日か経過した放課後。廊下で文化祭用のポスターや器材などいっぱい持った一人の女子生徒がよろよろと歩く姿を正輝は見かける。

正輝 それって……。

GM 推察通り、メガネをかけた地味な女の子……美空 節子みそらせつこだよ。そして、バランスをちょっと崩して……。

正輝 それは、手で止め……。

GM それは、荷物を? それとも、節子を?

正輝 (周囲のプレッシャーに負けて)……美空さんで(笑)。「大丈夫?」

GM/美空(みそら) 節子(せつこ) 「あ…すみま………か、春日くん……!!」

正輝 危ないな、女の子一人でこんな荷物を……。

GM/節子 「す、すすすす、すみませんすみませんっ!!(平謝り)」

正輝 それで、これ、一人で全部持っていくの?

GM/節子 「え、あ、はい。その、職員室まで……」

正輝 …ん(と、荷物のほとんどを持ってあげる)。

GM/節子 「あ……」

正輝 じゃあ、行こうか(笑顔)。

二人 …………(歩)。

正輝 一人で大変だね。

GM/節子 「わたし、副委員長ですから……」と委員長に無理矢理押し付けられたようだ(笑)。

正輝 そうか……。

二人 …………(歩)

GM/節子 「と、ところでっ、春日くんって視力……いいんですかっ?(声が裏返っている)」

正輝 …へ? 視力?

二人 …………。

正輝 (戸惑いながら)そ、そうだなぁ……まあ、いい方だよ。

GM/節子 「す、すみません。変なこと聞いちゃって…(謝)」

正輝 いや、そんなことはないけど。

GM/節子 「志木さんにコンタクトに変えたらって言われて……」

正輝 (二人の姿を想像して)へぇ、仲良く……やってるんだ?

GM/節子 「はい。この間のこと、志木さんに謝っていただきましたし……。それで、志木さんに他にも髪型とか服とか変えた方がいいって言われたんですけど……でも、そういうのってわたし全然分からなくて……」

正輝 そっか。俺も妹がいるけど、そういうのはイマイチ分からないからなぁ……。

GM/節子 「雑誌とかも薦められても全然で……わたしなんて、勉強しかできなくて……」

正輝 だったら、今がそういうチャンスなんじゃないかな? 来年は三年生だし色々と忙しくなるからね。

GM/節子 「わたし……医者になりたいんです(ぽつり)」

正輝 医者に…?

GM/節子 「わたしのお父さん、医者なんです。それで、人の命とか救えるような、そんな…そんな立派な医者になりたいんです」

正輝 すごいな……ちゃんと、目標があるんだ。俺なんて、これから進路をどうしようかなんて考えられなくて……(悩)。

GM/節子 「あ……すみません。変なこと話してしまって……」

 


 


挿絵(By みてみん)


 


 


 


正輝 いや、そんなことはないよ(にっこり)。美空さんが頑張っているのを見ると、俺も頑張らないとなって思うよ……。

GM/節子 「わたしなんて…そんな………(照れ)」で、職員室につく。「ここまで運んでいただいて、ほんと、すみませんでした(謝る)」

正輝 謝ることなんてないよ。こっちが勝手にしたことなんだから、気にしないでくれよ(爽やかスマイル)。

GM/節子 「その、春日くん……ありがとうございました……」

正輝 じゃあ、またね。

 


 


 


    + 大切な時間 +

 


 


正輝 さぁて、帰るか……。

椎奈 (後ろから突然に)………正輝………。

正輝 あれ、椎奈?

椎奈 (小声で)………その………。

正輝 椎奈も今帰りなんだ。じゃあ、一緒に帰らないか?

椎奈 ………コクリ(頷く)。

正輝 じゃあ、行こっか。

 


 


 帰り道。

 ふと気付けば、正輝が車道側を歩いています。

 そんな小さな心遣い。

 それは、私を一人の女の子として見てくれている……。

 なんて、ちょっとおこがましい考えかもしれませんね。

 だけど、そんな考えがふと浮かんだだけでも、顔が火照ってきてしまいそうです。

 


 


二人 …………。

椎奈 ねぇ、正輝……あの……たまには、寄り道でも…しない……?

正輝 椎奈がそんなこと言うなんて珍しいな。

椎奈 …ダメ?

正輝 いいよ(にっこり)。それじゃあ、どこ行こうか?

椎奈 えっと……。


(椎奈 私に思い付く場所ってどこ…かしら?)

GM この街だと…自宅、学校、駅、ファミレスぐらいかなぁ。

(魅呼音 あと、コンビニぐらいかもね(笑))

一同 コンビニかい!(笑)

(椎奈 ファミレス以外は避けなければならない場所だってことぐらい分かる……)

GM おお、他にもおばけマンション、裏路地とかもあるぞ!(笑)

(魅呼音 あと、レッドラバーとラブホテルね!(爆笑))

一同 ダメだぁ~~(爆笑)。


椎奈 …………(悩)。

正輝 (気を利かせて)ところで、椎奈って夕食とかどうするの?

椎奈 え、特に考えてない……。

正輝 なんか、椎奈の食生活とか心配なんだよな。

椎奈 ……そう、なの?

正輝 弁当もご飯プラスおかず単品だし。…どう、これから俺の家でご飯食べないか?

椎奈 ……あ、うん……(頷く)。

二人 …………(歩)。

 


 


「そう言えばさ……」

 正輝がなにか言いづらそうに話しかけてきました。

「……はい?」

 私が小首をかしげると、正輝は少し目をそらして口を開きました。

「椎奈がこの街に来た時に、この街を案内するって約束したよな……」

 案内する約束……?

 私はしばし考えた後、思い出しました。

 まだ、正輝を疑っていた時に、彼のことを調べるためだけにした仮初めの約束。

「それは………うん……」

 湧き上がる後ろめたさ。

「だったらさ、今度、一緒にどこか行かないか?」

「え……?」

 それって……。

「あ、別に今更街なんて案内しなくていいって言うなら別だし、ほら、イヤだったらいいんだ、うん」

 正輝が早口でまくしたてる。

 気のせいか、顔まで赤い気がする。

 正輝、もしかして私のこと……。

 ううん、気のせいです、きっと。

 だけど、だけど―――


「はい……」

 


 


挿絵(By みてみん)


 


 


 


 気がつくと、私の口からはYESの返事が出ていました。

「そっか。じゃあ、詳しい日程とか決めたら連絡するから……」

 私はコクリと頷いています。

 微かな後ろめたさのせいなのか、なんなのか分からないけど、胸がきゅっと掴まれたように切なくて……。

「さて、夕飯、なに食べようか?」

 正輝はいつものように私に笑いかけてくれました―――

 


 


 


    + 頑張ろう、その想い +

 


 


 正輝と椎奈が家についた頃――


夕美 あれ、魅呼音さん。

魅呼音 あら、夕美ちゃん。今、帰り?

夕美 うん、吹奏楽部、今終わったんだよ。魅呼音さんも空手部終わったんだ?

魅呼音 ん、まあね。

二人 …………(歩)。

GM ここで、知覚判定……魅呼音だけ成功? それなら、君たちの後を付けてくる榊学園の男子生徒が……。そのつけ方は明らかに素人だ。

夕美 どうしたの、魅呼音さん?

魅呼音 夕美ちゃん、ちょっと……(と、角を急に曲がる)。

GM/男子生徒C 「(急いで後を追おうとする)……え!?」

魅呼音 (がしっと捕まえて)あんた、なんなの!?

GM/男子生徒C 「ひ、ひぃ! 暴力にうったえるなぁ…(へたれ)」

魅呼音 あたしたちのこと、つけていたでしょ!?

GM/男子生徒C 「ぼ、ぼくが追いかけていたのは、夕美ちゃんだぁ」

夕美 あ、こいつ、夕美がフった奴だぁ!!(指差して)

魅呼音 はぁ……(ため息)。こんなこともうやめなさいよね、あんた。ますます、嫌われるよ(と、手を放す)。

GM/男子生徒C 「す、すみませんでしたー!!(逃亡)」

二人 …………。

夕美 ……うぅ、こんなことする奴だったなんてぇ……夕美、断ってよかったよぉ。

魅呼音 そう、ね(苦笑)。

二人 …………。

夕美 ねぇ……魅呼音さんってさ、好きな人、いるの?

魅呼音 え……。ま、まあ……いることは…いる…かな……?(しどろもどろ)

夕美 そっかぁ………。

二人 …………。

夕美 夕美も……夕美もいるんだぁ。でも、全然気付いてもらえなくって……。それで、夕美、無理なのかなぁ……なんて、最近思うんだ……。

魅呼音 ……その気持ち、よく分かるわよ……。

二人 …………。

夕美 じゃあさ、魅呼音さんは頑張ってね! 夕美、応援してるよっ(にこっ)。

魅呼音 あたしは……。あたしは…たぶん、無理かな……(寂笑)。

夕美 ……魅呼音さんも諦めないでよ。夕美も、もう少しだけ頑張ってみるから! ねっ?

魅呼音 ああ、うん、そうね。夕美ちゃんも頑張って。

夕美 うんっ(頷く)。

魅呼音 じゃあまた、明日。

夕美 ばいば~い!!


 *ちなみに、舞台裏で正輝はみんなから「なんて、ひどい男なんだ」と責められるという微笑ましい光景がありました(笑)。


夕美 ただいまぁ~!! ……あれ、誰か来ているの?

正輝 おかえり。ああ、椎奈が来ているんだ。


(椎奈 隠れた方がいい…?(真顔))

一同 なんで隠れるんだよっ!(爆笑)

GM いや、いきなりドッキリハプニングにしないでくれ(笑)。まあ、三人一緒に夕ご飯を食べて、春日家では夜遅くまで楽しそうな声が聞こえたということで。

 


 


GM ええと、次の日の昼休みのこと。

日和川(ひよりがわ) アンナ こんにちは、指宿さん(にっこり)。

椎奈 こんにちは……。


(椎奈 日和川さんは記憶処置を受けたの……?)

(アンナ いいえ、わたくしは受けていません)

GM 事情を話して、オーヴァード等の話を受け入れたということだよ。あと、レネゲイドウィルスにも感染していなかったみたいだね。

(正輝 そっか、それはよかった……(安堵))

(椎奈 ところで、私は日和川さんが正輝に告白しようとしたのを知っているの……?)

GM いいや、あれは一応、正輝とアンナしか知らないよ。


アンナ 指宿さんとちゃんとお話ししてみたくて……。

椎奈 ……え?

アンナ 色々とお話を伺いましたわ……色々と……。

椎奈 ……そう(少し目をそらす)。

アンナ わたくし、なんにも知らなくて……正輝や魅呼音のこと、なんにも……。

椎奈 知らない方がいいこともある……。

アンナ ううん、でも…わたくしは知ってしまった。……ずっと知らなかった、知ろうともしなかった……ホント、幼なじみとしても友人としても失格ですわね……(寂笑)。

椎奈 そんなこと…そんなことないっ。

アンナ (ふるふると首を振って)わたくしでは、支えになることはできませんわ。

椎奈 聞いてあげるだけでも…違う……と思う……。

アンナ それだけでは、本当の意味で悩みを理解することはできませんわ。

椎奈 理解しあえると思う方が、傲慢だと思わない…?

アンナ ……そうかもしれませんわね。けど……、ううん、今日は指宿さんに言っておきたいことがあって、来たんですの。

椎奈 ……コクリ(頷く)。

アンナ それは、指宿さんに……正輝のことを、お願いしたくって……。

椎奈 …………(困惑)。

アンナ だめ……かしら…?

椎奈 ……そんなことない……頑張る…わ……。

二人 …………。

 


 


挿絵(By みてみん)


 


 


 


アンナ あなたがいい人でよかった……これで、安心できますわ(微笑)。

椎奈 日和川さん……。

アンナ それじゃあね、指宿さん(優雅な笑顔)。

椎奈 はい…………。

 


 


 私は、日和川さんの去り際に浮かべた笑みは、

 涙を流さずに、泣いている。

 そんなとても悲しい笑顔に見えました―――

 


 


 


    + 文化祭Ⅰ +

 


 


GM 文化祭前、バスケ部にて。

  /部長 「そうか……」

正輝 すみません、こんな大切な時期に……。今まで積み重ねてきたものまで……。

GM/部長 「分かった、これ以上なにも聞くまい(苦笑)」

正輝 ありがとうございます……。

GM/部長 「とりあえず、休部扱いにしておくから、戻りたくなったらいつでも戻ってこいよ」

正輝 いい先輩だな……。「……色々とお世話に、なりました……」

GM/部長 「さてと、一年にはなんて言っておくかな……」って、正輝はバスケ部をやめるということでいいんだね?

正輝 まぁ、ね。「とりあえず、文化祭後に正式に届け出をします」

GM/部長 「……分かった。文化祭はバリバリに働いてもらうからな!」

正輝 はいっ。

 


 


 俺はバスケ自体をひとまずやめることにした。

 もちろん、一生やめるとかではない。

 ただ、もう少し考える時間が欲しかったのだ。

 俺なりのバスケとはなんなんだろうか?

 まだ、俺自身もよく分からない、これからのことも考えながら……。

 


 


GM というわけで、あっという間に文化祭当日。正輝のクラスはケーキなんかを出す喫茶店ということになりました。

一同 了解(→全員で相談して決めた)。

正輝 (椎奈と魅呼音に)二人ともウェイトレスの格好、結構さまになっているじゃないか。

魅呼音 そう、ありがと(嬉)。

椎奈 (顔を赤らめて)……恥ずかしい……。

正輝 そんな、照れないでくれよ……。言ったこっちまで、恥ずかしくなりそうだ(照)。

GM これこれ、そこのお二人さん。魅呼音の前でラブラブし過ぎだ(笑)。

正輝 いや、つい…(笑)。「さあて、そろそろお客さんが入ってくる時間だな……」

二人 (頷く)

 


 


GM/澄 「こんにちは、正輝くん(にっこり)」

正輝 あれ、澄さん……。

GM/澄 「頑張っているわね」…と、ちなみに澄さんは榊学園のOGという設定だ。

正輝 あ、どうぞ、お店の中に。

GM/澄 「あ、今日はちょっと顔を出しに来ただけだから。ごめんなさいね」

正輝 そうなんですか。それは、残念ですね……。

GM/澄 「うん、ごめんね。それじゃ、正輝くん、またね」

正輝 ええ、それじゃあまた。


GM ……と、そろそろ、アンナが出る演劇があるけど、どうする?(ニヤリ)

(正輝 そろそろ、交代の時間だし、顔だけは出しておこう……ホントは、顔を合わせづらいけどな……(苦笑))

(アンナ わたくしとしては、来てくれてるのは嬉しいのですけど、色々と複雑ですわ……(苦笑))

 


 


GM 演劇部の劇は大盛況だったということで。

 


 


挿絵(By みてみん)


 


 


 


正輝 よ、お疲れさま。

アンナ あ、正輝……。わざわざ見に来てくださったのね(ぎこちない笑み)。

正輝 アンナ、頑張っていたもんな。

アンナ ………どう、お身体の調子は?

正輝 え、ああ、大丈夫だぞ。

アンナ あの時の傷…、大丈夫?

正輝 もうなんともないよ。傷痕もないさ……。

アンナ そう、それはよかったですわ……。

正輝 それより、アンナの方こそ大丈夫だったのか…?

アンナ …え、ええ。大丈夫ですわ(ぎこちない笑み)。……あ、まだ後片付けとか色々ありますので……その、ごめんなさい……(立ち去る)。

正輝 ああ……。


 *リプレイではカットしておりますが、「正輝、ひどい男」という言葉がシーンの切り替わるたびに出てくるのは、なぜでしょう?(笑)

 


 


 


    + 文化祭Ⅱ +

 


 


GM そして、文化祭が終わる少し前に、連太郎に屋上へ呼び出される。

正輝 そろそろ、約束した時間だな……(と、屋上に向かう)。本当は連太にだけは全部話したいんだけどな……。

GM 屋上にいるのは、なんと志木 瑞香しきみずかだった。

正輝 え、志木さん…?

GM/志木 瑞香(しきみずか) 「……あれ、あんたも逃げてきたの?(苦笑い)」

正輝 いや、俺は逃げてきたわけじゃなくて、約束があってね。

GM/瑞香 「ふ~ん、あっそ。…にしても、男どもがうっとしいったらないわよ」

正輝 志木さんは目立つし、人気者だからね(にっこり)。

GM/瑞香 「そんなのは、当然よ(高慢)」

一同 相変わらず…(苦笑)。

GM/瑞香 「……それで、さ。猫はどう、元気にやってる?(目をそらしながら)」

正輝 ああ、すっごく元気だよ。

GM/瑞香 「ふぅん、そっか。今度気が向いたら、猫、見に行かせてもらうわよ」

正輝 暇があったら、いつでも来てくれていいから。

GM/瑞香 「はいはい。……あんた、待ち合わせあるんでしょ。だったら、あたしはもう行くから(立ち去ろうとする)」

正輝 ああ、それじゃあまた。

GM/瑞香 「(振り向いて)あ……それと、節子のこと…もう、大丈夫だから。その……め、迷惑かけたわねっ」

正輝 ああ。だけど、俺はなにもできなかったし……。

GM/瑞香 「ただの事後報告だから。おせっかいなあんたへの、ね(笑顔)」

正輝 ……あ、ああ(見送る)。

 


 


挿絵(By みてみん)


 


 


 


GM (語り風に)その時の瑞香の笑みは、モデルとしてではなく同年代の女の子としての笑みに見えたのであった……。

一同 (笑)

 


 


正輝 ……志木さんも、あんな笑い方できるんだな……(呟き)。

GM などと、浸っているところに、連太郎がやってくる。

  /連太郎 「よぉ。呼び出して悪かったな」

正輝 連太……。

GM/連太郎 「まぁ、用件は言わなくても…分かっているよな?」

正輝 …………。

GM/連太郎 「お前、バスケ、やめるんだってな……」

正輝 すまない…連太……。

GM/連太郎 「謝るなよっ! なんでだよ、今までオレにそんなこと一言も言わずに勝手に決めやがってっ! 今度は優勝するんじゃなかったのかよっ!!」と殴り掛かってくるけど……。

正輝 よけない……。「(殴られた後)俺も……みんなと大会出たかったよ……」

 


 


挿絵(By みてみん)


 


 


 


GM/連太郎 「だったら、なんでっ!!」

正輝 すまない……連太に話せなくて………。

GM/連太郎 「……なんでも話せとは言わねぇよ……。だけど、いざという時ならいつでも手助けしてやるのに………オレは…信用されてねぇのか?(悔しそうな口調)」

正輝 いや…。

GM/連太郎 「確かに、オレは馬鹿かもしれねぇ。けどさ、お前の悩みを聞いてやることぐらいなら、できるんだぞ……」

正輝 「………連太………」ぐぁ…、なんていい奴なんだ……。「そういってくれるだけで、俺は助かってるんだよ……」

GM/連太郎 「あ~、くそ、そんな顔すんなよ。あ~、もういい。勝手な奴だよ、お前は……一人でなんでもしょいこみやがって……」

正輝 すまない……。

GM/連太郎 「もう、謝るなよ。それと、あんまり周りに心配かけるんじゃねーぞ。お前が悩んでいると、心配する奴等がお前の周りにはいることを忘れるなよ」

二人 …………。

正輝 ……ありがとう……連太……。

GM/連太郎 「まあ、オレも言いたいこと言えたからすっきりしたよ。お前が話す気になったら、いつでも声かけてくれよな。……それぐらいの余裕ならいつでもあるつもりだぜ……」

二人 …………。


(椎奈 正輝は彼とまで……(嘆))

(夕美 お兄ちゃん、不潔だよぉ(笑))

(椎奈 ……それで、彼が正輝を壁まで迫って……)

一同 ボーイズラブ系の小説の読み過ぎだっ!!(爆笑)

GM 不潔なのは、そういった眼で見るあんたらだ(笑)。

 


 


 連太とそんな会話があったせいだろうか。

 たぶん、暗い顔をしていたのだろう。

「正輝、余ったケーキ食べる?」

 魅呼音が俺の前にいくつかのケーキを置いてくれた。

 すでに、文化祭は終了していて、売れ残ったケーキをクラスのみんなで食べている。

 その中で、いつも率先して大騒ぎをしている連太の姿がないのが少し寂しい。

「ああ……」

 連太との会話を思い出し、少し上の空で答えてしまう。

 こうなることは、分かっていたんだけどな…………。

 分かっているからとはいえ、やっぱりつらい。

「どうしたの、ホントに元気ないわよ?」

 魅呼音が心配げに話し掛けてくる。

「疲労時には、糖分が有効よ……」

 と、そっと近づいてきた椎奈がブドウ糖について説明してくれる。

 ……まあ、椎奈なりに心配してくれたんだろう。

「ああ、二人ともありがとう」

 俺は笑顔を浮かべて、ケーキを食べ始めた。

 


 


 俺はまだ色々なものを取り戻さなきゃいけない。

 今まで、目をそらしてきたことを。

 今まで、おいてきてしまった大事なものを。

 それには、時間が必要だった。

 時間が。

 


 


 だが、

 この時の俺はまだなにも知らなかった。


 “今”というものがどれだけの奇跡であるかということを。

 “ヒト”でなくなるということを。

 “彼女”のことを。


 そして、

 過ぎ去ったものは、二度と手に入らないということを。


 俺は知らなかったんだ―――

 


 


 

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