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衝動編 終章

 


    + 戦場 +

 


 


GM/宮沢 「(魅呼音の爪で貫かれ、倒れる)………………」

魅呼音 ちょ、ちょっと、あんた……だ、大丈夫?(宮沢に恐る恐る近寄る)

GM/宮沢 「(首だけを持ち上げて)………その女を殺せ!」そして、運転手がアンナをナイフで殺そうとするけど……。

正輝 やめろーー!!!(《イオノクラフト》使用)

 


 


 俺は一気に走りより、ナイフを持っている方の腕を切り飛ばす。

 くるくると放物線を描きながら腕は、ぽてっと乾いた音を立てて地面に落ちた。

 


 


正輝 そのまま、アンナを庇うぞ。

GM 運転手が切られてひるんだ瞬間、遠くから銃声がする。

一同 え…?

GM そして、運転手は複数の銃弾に貫かれてそのまま事切れる。UGNの対ジャーム部隊が突入してくるね。

  /坂本 「皆さん、大丈夫ですか?」

魅呼音&椎奈 坂本さん!?

正輝 うわ、坂本さん、かっこいいなぁ……(笑)。

GM/坂本 「あなた方につけた発信機の反応が街から離れていたので、怪しみましてね。怪我人ながら、手助けにまいりましたよ(にっこり)」

椎奈 お疲れさまです……。

正輝 あ、それよりもアンナは無事か!?

アンナ え、ええ……(頷く)。

GM/宮沢 「…………っ(懐からスイッチを取り出す)」

椎奈 (宮沢に銃を向けて)……なにをっ!?

GM/宮沢 「(スイッチを押す)まだだ…! ふはははは、これでジャームが街中に!!」マンションの一部が爆発する。そして、マンションのドアや窓から何匹かジャームが出てきて激しい銃撃戦が始まる。宮沢にそろそろとどめを刺してくれ(笑)。

正輝 (無言で氷の剣を構える)…………。

魅呼音 正輝、ダメよ……(正輝の腕を掴む)。

正輝 …………。

魅呼音 ………正輝。

正輝 ………ああ(頷く)。

椎奈 ……(銃声)。

 


 


挿絵(By みてみん)

 


 


 


魅呼音 (振り返って)椎奈……。

椎奈 (ぽつりと)いつもやっていることですから……(無表情)。

GM/坂本 「正面は我々がなんとかします。裏側に散ったジャームはあなた方にお任せします!!」

 


 


 俺はアンナを坂本さんという人に任せると、魅呼音、椎奈と一緒に裏側に回った。

 目的もなく暴れるジャームたちは、大して苦労もせず捕獲できた―――

 


 


 


    + 幼なじみ +

 


 


GM すべてが終わった後。

アンナ (正輝を見据えながら)……ねぇ、正輝……。わたくしね、捕まっている時……正輝が来てくるれるような気がしていたの………。

正輝 ……アンナ……。

 


 


「だけど、俺は……アンナが思っているような昔の俺じゃない……」

 そう、例えもう一人の俺を否定できたとしても、俺はあの時、確かに相手を殺そうとする自分がいた。

 それは、母親を殺したジャームに対する憎しみや復讐心だったのか。

 それとも、殺してやりたいという衝動だったのかは分からない。

 ただ、あの時、魅呼音が俺を止めてくれなかったら……そう考えるだけで恐ろしい。

 もう、俺は戻れないのかもしれない…………。

「いいえ、正輝は昔の頃のように優しいままですわ……」

 アンナは優しい微笑みを浮かべる。

 俺は…………。

「だから、わたくしの気持ちに変わりはありません」

 すべてを見てきたその瞳で、俺の顔を覗き込んでくる。

「……ねぇ、正輝…………正輝にずっと伝えたかった一言を言わせてくれませんか……?」

 その青い曇りのない瞳。

 その瞳に映る俺は激しい戦闘の後のせいで、ぼろぼろの格好だった。

「わたくしはっ…………」

 


 


挿絵(By みてみん)

 


 


 


 俺は―――


 俺は本当は誰も好きにはなりたくなかった。いや、正確に言えば好きになって欲しくなかった。

 俺が最初に好きになり、好いてくれた最初の女性。

 その人は俺を化け物から庇い、そして微笑みを残して死んでしまった。

 その人はいつも俺に優しくて、大切なことを色々と教えてくれた。


 ――母さん。


 あの日。

 公園で遊んでいると、辺りはすっかり日が暮れていた。

 しかし、俺はそんなことに構わず、一人で遊んでいた。

 早く帰ってくるように。

 そう母さんと約束していた俺。

 言い付けを守らなかった俺は、気がつくと夜側の世界に入り込んでしまった。

 そう、「こちら側」の世界に。

 必死に俺を探していた母さんは、その異形の化け物を見てどんなに驚愕し絶望したことだろう。俺は怯えて動くことすらできず、その赤い瞳の呪縛から逃れることはできなかった。

 そして、俺を「愛してくれている」ことを感じさせた初めての女性は、俺を救うことによって、その愛を途絶えさせた。

 俺は震えながら一歩動かせた。

 そして、その場から逃げ出せる。

 そう、俺は逃げ出したんだ。

 その化け物と、なにより俺を庇って死んだ母さんから…………。

 


 


 俺は今、はっきりとそのことを思い出していた―――

 


 


 


    + その心 +

 


 


 次に気がつくと、俺は病院で目を覚ました。

 頭がぼ~っとしていて、なんだかよく覚えていなかった。

 ただ、父さんが今まで見たこともないような嬉しそうな、そして悲しそうな笑みで俺を迎えてくれた。

 父さんから母さんが死んだことを告げられる。

 そして、俺は「そこから逃げ出せない自分」のことは覚えていて、「そこから逃げ出した自分」のことを忘れていた。

 俺は無意識に、大事なものを見捨てて逃げ出した俺自身を忘れることにした。

 記憶がないことを理由に。

 


 


 それからというもの、俺は無意識にいつも大事なものから逃げていた。


 大好きなバスケ。

 小さい頃から続けていたバスケ。

 だが、俺は“ヒト”でなくなってから、もう昔のようにバスケができないことは分かっていた。

 しかし、バスケは未だ続けている。

 すでに、バスケに対する情熱も想いも異質なものに変貌してしまっているのに、現状のままでいることで満足しているふりをしていた。

 やりとげることも、諦めることも放棄して。

 それじゃあ、だめだよな。

 このままじゃ、俺の今までと、これからの「バスケが好きだという気持ち」に対して失礼だよな。


 それに、俺の一番卑怯なところ。

「好きな女の子は守らないと……」

 という母さんの言葉を守ろうとしながらも、本当の意味ではそこから逃げ出していた。

 誰も好きにならない。

 そう思っていた。

 だが、気がつくと俺は誰かを守ることをしている。


 そして、

 俺は誰かを本気で守っていない。

 うわべだけの約束。


 だけど、

 俺はアンナに恋をしていたんだと思う。

 心のどこかでアンナを本気で守ろうとしていた。

 しかし、そのことに俺は気付こうとせず、アンナはそのままアメリカに行ってしまった。

 そして、俺は矛盾した気持ちを抱えていた。


 たぶん、初恋だったんだと思う。

 すべてを受け入れられずに、俺は今まで生きてきた。


 しかし、そのことに気付ける今だからこそ、俺はその初恋が終わっていることが分かる。

 なぜなら、俺は。


 俺は、

 この時―――


 アンナの瞳ではなく、

 彼女のことを見ていたのだから―――

 


 


アンナ ……正輝にずっと言いたかった一言を言わせてくれませんか……?

正輝 …………。

アンナ わたくしはっ…………わたくしはっ…………!!

正輝 …………(見つめる先は―――椎奈)。

アンナ ―――…………。

正輝 ……。

アンナ …………。

 


 


「あなたに、Thanksって………!!」

 


 


挿絵(By みてみん)

 


 


 


 アンナは潤んだ瞳で、俺に優しく微笑んでいた。

 切ない気持ちで。

 そして、

 UGNの医療班に送られていくアンナを俺は見送る。

 


 


 星空を眺める。

 その心をまだ取り戻すには時間がかかるかもしれない。

 だけど、いつかは必ず取り戻してみせよう。

 それまでは、

 そして、

 できれば、

 これからもよろしく―――

 


 


 変わっていくことも悪くないかもな……。

 俺はそう呟いて、二人のもとに歩いていった―――

 


 


 



    + 事件が終わる +

 


 


 この後、事後処理で騒がしく時間が過ぎていった。

 あのマンションから、大量の“オーヴァード化”誘発薬が見つかり、UGNで処分されたらしい。

 伊集院の方は、一命を取りとめたが、理性が戻るかどうかはまだ分からない。

 医者曰く、本人の精神力次第だそうだ。

 


 


GM/UGNの上司 「あなた方はこの街を守ったのよ。もっと、胸を張りなさい。そして、UGNから最大の感謝を……」

三人 ……はい(複雑)。

 


 


 俺たちは力強くそう言われたが、やはり、何人もの犠牲者を出したことは間違いない。

 罪もない人々がジャーム化し、救えなかったことも事実だ。

 それでも、

 俺は大切な人たちを守れたことだけは、

 誇りに思いたい。

 そう心の底から思いたい。

 


 


GM/上司 「(椎奈を見て)ああ、それと“レイニ…”……いえ、指宿さん?」

椎奈 ……はい。

GM/上司 「エージェントの坂本さんから、今回の一件であなたのコミュニケーション能力がよい状態にあると報告を受けました」

椎奈 …………。

GM/上司 「ですから、あなたにはしばらくの間、あの街で通常任務に就いてもらいます」

椎奈 ……と、いうと……。

GM/上司 「つまり、またあの榊学園に通ってもらう、ということよ(にっこり)」

三人 …………(それぞれ見詰め合う)。

魅呼音 (椎奈に抱き付いて)やったじゃない、椎奈!!(喜)

椎奈 ……うん(嬉)。

正輝 これからも、よろしくな(笑顔)。

椎奈 ……うん。魅呼音……正輝………これからもよろしく!!

 


 

挿絵(By みてみん)

 


 


 


 椎奈からこぼれた笑みは、

 とても自然で、

 とても新鮮で。


 そう、

 俺が今まで見た中でも、

 今まで見た誰よりも、

 眩しかった―――

 


 


 


ダブルクロス・リプレイ - LoveSyndrome/恋愛症候群 -

衝動編――END


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


    + そして +

 


 


 そして、体育祭が終わり、文化祭が終わり平和な日々が続いていた。

 俺は“ヒト”でなくなったが、いつもの日常はある。


 そして、俺はいつものように、夕美を起こしに行く。


 もう忌まわしい事件は終わったのだ、

 そう思っていた。


 その日の朝までは―――

 


 


 


ダブルクロス・リプレイ - LoveSyndrome/恋愛症候群 -

NEXT STAGE――LoveSyndrome編

 


 


 

 


さて、いかがだったでしょうか?

春日正輝を中心とした人間模様を、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

無口な転校生、親友な空手少女、甘えん坊な義妹、お嬢様な幼馴染、おっとりしたお姉さんETCETC。

少しやりすぎな感じもしますが……(笑)。


これにて、リプレイは終了! ……ではありません。

 


 


『ダブルクロス・リプレイ - LoveSyndrome/恋愛症候群 -』は、まだまだ続きます!

 


 


日常編、覚醒編、衝動編は、あくまで導入部分(プロローグ)です。

かなり長い導入となってしまいましたが、これからリプレイ本編が開始します。


そこで迎える結末を、あなた自身の目でお確かめください。

 


 


  ▼ おまけ:4コマもどき(むしろ、身長…)

 


 


挿絵(By みてみん)

 


 


 

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