衝動編 第四章
+ MemoriesⅢ +
小学校五年生の時―――
アンナ ねぇ、正輝。一緒に帰りません…?
正輝 「ああ、いいよ」ってアンナはこの時からそんなしゃべり方してたんだ?(笑)
アンナ だって、お母さまのしゃべり方ですもの。
二人 (雑談しながら帰宅)
アンナ ……あっ、わたくし、忘れ物をしてしまいましたわ。教室に戻らないと……。
正輝 じゃあ、俺も付き合うよ。でも、アンナも忘れ物なんて珍しいな。
アンナ わたくしはそんなにしっかりなんてしてませんわよ(苦笑)。
GM それじゃあ、教室に着いた。そこで、クラスの女子たちの声が聞こえてくる。
/女の子たち 「日和川さんてさぁ、なんかあたしたちとは違うわよね~」「そうそう、それになんかしゃべり方はすましている感じだしぃ」「あのしゃべり方聞いているとさぁ、あんたなに考えているのって気がしない?」
二人 …………。
GM/女の子たち 「確かに顔はいいかもしれないけどさ~」「あたし、あの人嫌~い」「あ、わたしもぉ」「そうそう、正輝くんとしゃべる時って妙に甘えている感じしてさ~」……などなど。
正輝 あ、アンナっ!!
アンナ (走り去る)…………。
正輝 (なんとか追いついて)アンナ……。
アンナ いいんですの……わたくしのこと、よく思われていないって知っていましたし……。それに、「お前は外人だから」ってよく言われますわ(涙目)。
正輝 …………。
アンナ 半分は、日本人ですのにね……(涙目)。
正輝 アンナ……俺がなんとかしてやるから…泣くなよ。
アンナ 正輝……。でも、正輝にそこまで……。
正輝 クラスの人に俺からそういうのやめるように言うからさ!
(魅呼音 それって、むしろ逆効果なんじゃないの?)
(椎奈 きっと、正輝はそこまで気が回らない……人だから……)
(正輝 プレイヤーは確信犯だったりして(笑))
(アンナ ひどいですわねぇ(笑))
GM じゃあ、アンナと女子たちの間のミゾはますます深くなった。すでに、女子の中では完全に孤立している。そんなこんなで、学芸会で人魚姫をすることなった。投票の結果、王子が正輝。人魚姫がアンナ。
そして、さらに時間が経過して学芸会本番。正輝の耳に、
/女の子たち 「(ひそひそと)どう? 最後のシーンのあれ、水に変えておいた?」「ええ」
一同 腹黒っ!!
正輝 最後のシーンって……あの人魚姫が泡になるシーンだよな……。
GM その時に、上から青い紙ふぶきが降ってくることになっている。
正輝 ……ということは……!
アンナ (最後のシーン)さよなら……王子様………。
正輝 ……っ!!!(駆け出す)
…………。
……。
結局、俺はアンナを突き飛ばして、水は俺自身がかぶることになった。アンナは驚きながらも、俺に抱きついてきた―――
その後、誰かの機転で幕はそこで閉じられた。
それから、数日後。
俺は水をかぶったせいで、風邪をひいて寝込んでいた。
そんな時に、アンナがお見舞いにやってきた。
「……正輝、わたくしのために……」
「気にするなよ……」
俺はそう言って笑った。
しかし、アンナはそこでいつものような笑みを浮かべてくれなかった。
「……あのね、正輝。わたくし………今週末にアメリカに引っ越すの……」
「えっ!?」
俺は驚いて、アンナの腕を掴む。
「ずっと、正輝に言えなくて……」
なんでだよ…!?
という言葉は口にしなかった。それは、きっとアンナじゃどうしようもないことだろうから。
「わたくしね……正輝といた日本の思い出を大事にします……」
「アンナ……」
うっすらと涙を浮かべながら、アンナはいつもの笑みを浮かべていた。
「思い出はどこにも行きませんから……それに、また日本に帰ってきます。お別れの挨拶はしませんわ……」
「じゃあ、約束だよ」
また、会えるように。
「うん………だから……またね、正輝っ」
その瞬間、頬に柔らかい感触が一瞬だけする。
少しくすぐったくて、
心が暖かくなるキス。
それから、4年後。
俺は榊学園の入学式でアンナと再会した―――
+ 暖かな日 +
GM/目覚まし 「じりりりりりりりっ(ぶつん)」
正輝 …………夢か(目覚ましを止める)。
GM/メール 『猫/あい』
正輝 お、メールだ……。
GM/メール 『いたずらな仔猫なんですね。あいだったらすぐ投げ出しそうです。どうもあいは動物とは相性が悪いみたい』
正輝 …………。
GM/メール 『ベランダからえいっとかいって。…あ、冗談ですよ♪』
正輝 ……なんか対応しづらいメールだな……(苦笑)。
アンナ (登校中に)あら、正輝、夕美、おはようございます(にっこり)。
夕美 あ、おはようございまぁす。
正輝 おはよ、アンナ。
アンナ ……ねぇ、正輝………わたくし、昨日懐かしい夢をみましたわ……(遠い目)。
正輝 え…?(どきっ)
アンナ とても懐かしい思い出……。
(椎奈 「この時、俺はアンナとまたキスをしたくなった」……(笑))
GM 他にも選択肢として「俺はなぜだか夕美のことを考えていた」「俺はなぜだか魅呼音のことを考えていた」「俺はなぜだか椎奈(以下、略)」「俺はなぜだか瑞香(以下、略)」「俺はなぜだか澄(以下、略)」「俺はなぜだか節子(以下、略)」「俺はなぜだかあい(以下、略)」……(笑)。
(椎奈 ……どれ?)
(正輝 いや、「どれ?」と聞かれても…(笑))
*本当に、誰なんでしょう…?
アンナ 来週には体育祭がありますわねぇ……。わたくしはリレーのアンカーになりましたけど、正輝たちはどの種目にでるんですの?
正輝 俺…? 俺はパン食い競争(笑)。
夕美 あ、夕美もパン食い競争だよぉ~(笑)。夕美、お兄ちゃんに負けないんだから~。
正輝 いや、一年生と二年生は勝負できないぞ(笑)。
アンナ ふふ、体育祭楽しみですわね(にっこり)。
正輝 ああ、そうだな……。
アンナ …あら、そろそろわたくしは教室に行きますわね(と、立ち去る)。
正輝 それじゃあな(アンナを見送る)。
夕美 ……ねぇ、お兄ちゃん?
正輝 なんだ?
夕美 アンナさんが言ってた思い出ってなに…?
正輝 え? な、なんだろうな……。
夕美 ……(じぃ~~~~)。
正輝 (夕美の頭をぽんっと叩いて)ほら、教室に行かないと遅刻しちゃうぞ。
夕美 ……うん。
GM 教室に行く途中で、椎奈と魅呼音に会うよ。
魅呼音 おはよう、正輝。
椎奈 おはようございます…………。
正輝 おはよ、二人とも。
三人 (雑談)
GM そこに、志木瑞香が通る。
/瑞香 「おはよ(と言って通り過ぎる)」
正輝 ああ、おはよう。
魅呼音 …………。
椎奈 ……芸能人…のひと……?
魅呼音 …ねぇ、正輝。今のって志木さんよね? いつのまに知り合いになったの…?
GM ちなみに、瑞香が誰かに挨拶するなんてこと今までほとんどなかったという。
正輝 え、ああ。この間から猫を飼い始めたって言っただろ?
魅呼音 ああ、夕美ちゃんが可愛がってたわよね。
正輝 それで、最初にあの猫を気にかけていたのが志木さんなんだ。
椎奈 ふぅ~ん……。
魅呼音 そうなんだ……。
椎奈 意外と……雰囲気と違うのね………。
正輝 そうだな、俺も彼女は悪い人じゃないと思うよ。
魅呼音 じゃ、やっぱりあれ嘘なんだ。噂は所詮噂に過ぎないってことね。
椎奈 …………。
*正輝が他の女の子の話をするたびに、心中穏やかではない二人であった。
+ 正輝と女の子たちⅡ +
GM バスケ部の帰り道。再び、あいからのメールだよ。
/メール 『あいは甘いものが好きです。マサキさんはどんな食べ物が好きですか? あいはさくら堂のストロベリーショートケーキが大好物♪
今度、マサキさんもぜひ食べてみてくださいね。絶対、舌鼓を打ったりするかと思います』
正輝 今度、夕美でも誘ってみようかな……。
GM/連太郎 「なにが? っていうか、お前、最近その子とよくメールやってんな」
正輝 え、いやそんなしょっちゅうって訳じゃないけど。
GM/連太郎 「で、なにを誘うって?」
正輝 いや、メール相手がおいしい甘いものの店を紹介してくれてな、それで夕美と今度行ってみようかな、と……。
GM/連太郎 「甘いものを普通は男が教えんなぁ……やっぱ、女か!?」
正輝 いや、だから……。
GM/連太郎 「親友であるオレに話してくれないのは寂しいなぁ……恋人ができたぐらい教えろよ(にやにや)」
正輝 だから、ただのメル友だって(苦笑)。
そんなしょうもない話を連太としていると、公園から会話が聞こえてきた。
柳 澄さんだ……、と俺は思いちらりと公園に目をやった。
「澄……違うんだ、聞いてくれ……」
「違わないわ……あなたにとって、わたしは都合がいい女なんでしょ!」
その内容は、とても穏やかなものとは言えないものだった。
「そんなことはない……澄…」
「それとも、奥さんとお子さんを捨ててわたしの元に来れますか…!?」
「そ、それは…」
そして、その男は沈黙してしまう。
俺は聞いてはいけないと思いつつも、立ち止まってしまった。
それはある種の好奇心だったのかもしれない。
「あなたに貸したお金は返さなくていいから………だから、もう二度と会わないことにしましょう」
「す、すみれ…」
「さようなら……」
そして、駆けていく澄さんと俺は目があった。
とても、悲しそうな……こんなにも弱い澄さんを俺は初めて見た。
そして、澄さんは暗い夜道の向こうへと駆けていってしまった―――
正輝 連太、ちょっと先に帰っててくれ!(駆け出す)
GM/連太郎 「……そうか……また、明日学校でな(正輝の背中を見送る)」
俺は必死に走りながら、なにを考えていたんだろう?
ただ、このまま澄さんを放っておけない、という思いに捕らわれていた。それは、ただ好奇心から立ち入った話を聞いてしまった負い目からだろうか……?
澄さんに追いつき、俺はなんとか落ち着かせようとする。
俺は上着を貸してやり、缶コーヒーを買ってくると、澄さんも徐々に落ち着きを取り戻してきた。
そして、少し時間が経ってからぽつりぽつりと俺に事情を話してくれる。
その男の人はバイト先の店長で、不倫だと分かりながらも好きになってしまった、らしい。そして、お金に困っている時には何度かお金を貸してあげたみたいだ。
「馬鹿……よね、わたし………」
いつもの姿から想像できない、自嘲気味な笑みを浮かべながら話す澄さんを見ていると、俺はひどく居た堪れなかった。
「本当はこのまま付き合い続けたかった……だって、その方が偽りでも幸せを感じることはできたから。だって、まだ好きだったから……」
俺にはとても澄さんを慰めるような言葉は出せなかった。
「好きだけど、別れるのってとってもつらいのよ……」
また、涙が溢れてくる。
正輝 …俺……なんて言ったらいいか、分からないけど………(しどろもどろ)。
GM/柳 澄 「…………」
正輝 ……澄さんに、元気になって欲しいです……だから、その……俺…………。
GM/ 澄 「(必死に慰めようとする正輝を見て)わたしも……正輝くんみたいな素直で優しい人を好きになればよかったのにね……」
正輝 澄さん……(胸で泣く澄をぎこちなく抱き止める)。
GM/澄 「正輝…くん………ありがとう…………」とここで正輝は辺りと見るとホテル街になっていることに気付く。
正輝 え……。
二人 (微妙な雰囲気)
GM/澄 「………ねぇ…正輝くん………(潤んだ目)」
正輝 え、え………。
GM/澄 「…………(潤)」
正輝 (澄を引き離して)そ、そんな、澄さん! 自暴自棄になっちゃだめだ。きっと、他にいい人が見つかるから……だから……。
GM/澄 「…………」
正輝 …その……家に帰って、ゆっくりと休んだ方が…………。
GM/澄 「……………ごめんね。わたし……どうかしてたわ………。それじゃあ、ここで今日はお別れしましょう(にっこり)。この上着、次に会う時まで借りてもいい…?」
正輝 ええ、いいですよ。それじゃあ、澄さん……。
GM/澄 「それじゃあ……」
正輝 ………………。
*ちなみに、この時の他のプレイヤーはそれはそれは、シーン裏で盛り上がって……(笑)。
+ 想い暴走 +
この時、私はその一部始終を見ていたわけじゃありませんでした。
ただ、伊集院十和がまたこのホテルにいるかどうかをちょっと調べに来ただけでした。
ただ、それだけのつもりでした。
でも―――
優しく上着を貸してあげる正輝。
そして、見知らぬ年上の女の人。
入り込めない雰囲気の中、ホテルの前で二人は別れました。
私は……。
私は…………。
気がつくと、私はその場から駆け出していました。
なぜだか知りませんが、胸が痛くて。
切なくて。
苦しくて。
涙が滲んできます―――
椎奈 …………(駆け出す)。
正輝 今のは、椎奈……? もしかして…勘違いされた……? ま、待て、椎奈!!(と後を追いかける)
「ち、違うんだ!! 椎奈!!!」
と、走りながら俺は声をかける。
俺と椎奈の訳の分からないかけっこは少しの間続いた。
「はぁ……はぁ………はぁ………」
息切れをしている椎奈の肩に手を伸ばし、強引に足を止めさせた。
「えっと…なんて言ったらいいのか分からないが……その、なんだ……」
俺は、さっきから起こる一連の出来事に頭がぐるぐると混乱していた。
「……誰にも言わないから…安心して……」
悲痛そうな顔でそう訴える椎奈。
「いや、だから………その、たまたま目の前にホテルが……」
ああ、もう俺はなにを口走ってるんだ。ますます、墓穴を掘るようなことをしゃべっていく。
「だから、彼女の別れ話が……いや、そうじゃなくって……」
「そうなんだ………彼女……泣いていたみたいだし………大事にしてあげてね……」
無理に笑顔を作ろうとして、表現しづらい表情を作って再び駆け出す椎奈。
「おい!!」
また、俺たちのかけっこは始まる。
すでに日が暮れた街の中、俺はただ椎奈を追い続けていた。
正輝 (腕をぐいっと引っ張って)待てって!!
椎奈 きゃっ!!(転ぶ二人)
二人 …………。
椎奈 …………。
正輝 お、落ち着いて聞いてくれ!!!
一同 お前が落ち着け!!(爆笑)
椎奈 (覆い被さる正輝に)……正輝……恐い………。
正輝 あ、ごめん……(赤面)。
二人 …………。
椎奈 私のことはいいから、彼女を追いかけてあげて……。
正輝 だから、え~~と、だな。あれは、その彼女が悩みがあって慰めてただけで……。
椎奈 ……なぐさめた……?
正輝 いや、それで、だから……(混乱)。
椎奈 ……正輝……。
正輝 え?
椎奈 正輝の言いたいこと分かったから……。
正輝 そ、そうなのか?
椎奈 ……だから……あんまり、他の女の子に優しくしちゃダメ……よ?(微笑み)
正輝 それって、どういう…?
しかし、椎奈は俺にこの後なにも弁解させぬまま帰って行った。
真っ暗な夜空の下、自動車の音や虫の鳴き声が聞こえてくる。遠くで消防車のサイレンを聞きながら、俺は椎奈の背中を見送ることしかできなかった…………。
なんでだろう?
俺は、訳の分からない焦燥感に包まれていた。
友人としてではない、
そう、
椎奈だけには、
誤解されたくない。
ただ、その気持ちだけが、
俺の心に―――
+ 想い燃焼 +
GM 一方その頃の、魅呼音。空手部の帰り道なんだけど……。
(魅呼音 うそ…正輝が椎奈を泣かせている…? なんで!?(駆け出す))
(正輝 なにぃ!? またかよ!?)
GM 違います(笑)。
(夕美 そして、魅呼音さんを泣かせて、今度は夕美がそれを見ちゃうんだよ(笑)。「お兄ちゃんのばかー!!!(駆け出す)」)
(正輝 「ま、待て! 夕美っ!!」って俺はそこにとどまるということを知らんのか?(笑))
(椎奈 そして、ぐるぐると回ってまたお姉さんの元に来る……(笑))
一同 戻るんだ(笑)。
GM 魅呼音が道を歩いていると、脇道から悲鳴となにかが焼けるような匂いがする。
魅呼音 ま、まさか!?
GM こうこうと燃える人型の炎。そして、榊学園の男子生徒らしき姿がある。
魅呼音 ちょっと、あんたっ!!!(走り寄ろうとする)
GM 《災厄の炎》を使う。(ころころ)成功。
魅呼音 (ころころ)衝動判定は成功よ。
GM それなら、周囲に撒き散らされた炎は塀の向こうにある住宅に火をつける。
/子供 「ひ、火が燃えてるよぉ!!!(悲鳴)」
魅呼音 うっ、ひとまず子供を助けないと……。
GM じゃあ、犯人らしき人物は逃げてしまった。
魅呼音 …………。
魅呼音 (とぅるるるるるる)……あ、椎奈……?(携帯電話)
椎奈 ………みこと………?(悲声)
魅呼音 え、ど、どうしたの…?
椎奈 「正輝が…正輝が……」ってここで喉を詰まらせると、死んだと思われてしまう…(笑)。
魅呼音 そうね(笑)。「正輝が…どうしたの……?」
椎奈 それが、ホテルの前で……(と、支離滅裂ながらも事情を大雑把に話す)。
魅呼音 え、その年上の女の人って………(→澄を知っている)。
椎奈 ……ねぇ、魅呼音………私、なんで泣いているんだろう……?
GM いや、それはそれで一大事だけど、魅呼音の方でも一大事が起きているんだから(笑)。
魅呼音 (聞いてない)……そっか。やっぱり、正輝……好きな人いたんだ……(悲しい笑み)。
GM だから、人が一人死んでますよ~(笑)。
椎奈 (聞いていない)だから、今まで断ってきたんだと思う………。
魅呼音 …………。
椎奈 …………。
魅呼音 実は、電話したのは、さ……(と、事情を話す)。
椎奈 そう、事件が………。私にできることをしないと……ね………。
私はなにかを振り切るように現場に向かいました―――




