衝動編 第一章
+ 愛を唄う者 +
街の夜は深い。
その深き底から覗くような瞳でその場を見ている。
そのどろりとした瞳には、まるで戦争があったかのような光景を映し出していた。
周辺にある壁という壁に、血と銃弾の跡があった。
それは生々しい匂いをあたりに漂わせていた。
いくつもの部屋が存在しているが、まったく人の気配というものが感じられない。
そこには、もう何年も人が住んでいないようだった。
しかし、ここに色濃く残る染みたちは、ここで激しい戦闘が行なわれたことを示していた。
深夜0時をすでに回っており、静かに木々が揺れる音だけが聞こえる。
すでに事後処理のほとんどが終わっていた。
そのため、UGNのエージェントたちもすでにここにはいない。
あと、数日もすればこの建物は合法的に取り壊しが行われるはずだ。
本来であれば、ここにいるのは“それ”に関係する人物のはずだ。
しかし、その人物はこの廃虚には相応しくない格好をしていた。
葬式帰りのように、服のすべては黒い。しかし、その女性らしさを際出たせるための露出された背中などからは、弔問のための服装とは思えない。
そして、夜の景色に紛れ込む服とは正反対に、紅いハイヒール。
そして、口に塗られた真っ赤な口紅。
黒と赤のコントラストが、その人物の浮かべている壮絶な笑みを不気味に、そして艶やかに見せていた。
その人物が、近くに落ちていた“なにかの一部”を拾い、
そして、
血のように赤い舌で、
ぺろり、
と舐めた。
恍惚の表情を浮かべながら、
歌うかのように、
その口は呟き続けている。
それはなにかの儀式のように、
それはなにかの誓いのように、
「愛しているわ――……」
―――と。
ダブルクロス・リプレイ - LoveSyndrome/恋愛症候群 -
衝動編――START
第一章
+ 中学時代 +
中学一年生の時―――
GM/先生 「(入学式の後)今日からみんなは中学生になったわけだ。小学校とは色々と違うこともあるだろうが、そうやって新しいことに触れていくことで視野が広がっていくものだということを忘れないで欲しい。
観ること、聴くこと、触れること……そうやって、一段一段大切に大人への階段を上がっていく……その最初の一歩が今日この日なわけだ」
暁 魅呼音 まあ、ぶっちゃけて言えば、「頑張れ」ってことよね。
GM それが、せっかく先生の台詞を考えてきたGMに言う言葉か?(笑)
春日 正輝 中学にはバスケ部もあるし、頑張るぞっ。
魅呼音 あたしたちは、まだ友人じゃないのよね?
正輝 ああ、俺たちは「中学時代からの友人」だからな。
GM そんなこんなで、一ヶ月があっという間に経過する。
/女子生徒たち 「ねぇねぇ、正輝くん。昨日のテレビ観た?」「あ、正輝くん。宿題やってきた?」「一緒に実験室行こっ」
一同 モテモテだ(笑)。
正輝 「え、ああ」とか返事しているけど。
魅呼音 (そんな正輝を見て)……ふぅ~ん……。
GM それから、何度かラブレターとか貰えるようになるんだけど……。
(指宿 椎奈 正輝はこの時から、なんて断っていたの……?)
(正輝 「俺…今は誰とも付き合う気がないんだ……」って感じかな。それに、母親のことも引きずっているしな……)
(椎奈 ……マザコン?)
(正輝 違う!(笑))
GM そして、文化祭が過ぎたぐらいの時期。
/霞谷 連太郎 「(教室に入ってきて)春日正輝はいるか……?」
正輝 えっと、霞谷くんだろ? なにか用?
GM/連太郎 「…………(怒)」
正輝 ……?
GM/連太郎 「……ちょっともてるからって、女の子を泣かせてもいいのかよっ!!!(殴り掛かってくる)」
正輝 うぁっ(避ける)。いったい、なにが…?
GM/連太郎 「てめぇの胸に聞いてみろよ!!!(殴ろうとする)」
正輝 っ…………。
GM/女子生徒C 「やめてっ!! 春日くんは悪くないのっ!!!」
正輝 ……あの子は……。
(椎奈 正輝がぼろ雑巾のように捨てた子……)
一同 う~ん、確かに(笑)。
(正輝 だから、違う!!(笑))
「……だって、お前……泣いていたじゃんか……」
連太はその子にうめくように言った。
「違うの……あたしが勝手に告白しただけだから……」
しかし、その子は首を横にふるだけだった。
「でも、お前…もう転校するからって……」
「だからいいの、連太……」
そう言って、涙を流しながら教室から出ていった。そして、それを連太が追いかけていく。
俺はなにを言ったらいいのか分からず、ただ呆然としていた。
教室中の視線が集まっているのが分かる。
ひどく居心地が悪かった。
そして、次の日に連太が俺に会いに来た。
GM/連太郎 「昨日は悪かったな……(頭を下げる)」
正輝 いや……。
GM/連太郎 「……あいつ、オレの幼なじみでな。男勝りで、まあ恋愛とかそんなの全然な奴だと思ってたんだ……それが、お前のことで泣いているのを見てな……」
正輝 …………。
GM/連太郎 「あいつ……ちゃんと女の子になってたんだな……(苦笑い)」
正輝 悪いな……霞谷の幼なじみを傷つけてしまって……(沈痛)。
GM/連太郎 「ばーか、そんな顔すんなよ。こういう場合は、しょうがないだろ?」
正輝 ……そうかもしれない…けど……。
GM/連太郎 「ったく、部活でも目立ってるし、女子にはもてるし、最初はお前だけには負けたくねぇーとか思ってたんだけどな……」
正輝 ……もしかして、霞谷は彼女こと好きだったんじゃ……。
GM/連太郎 「(肩をすくめて)ちげぇよ。あいつはただの幼なじみだよ」
正輝 そうか……。
結局、その子はそのまま転校していった。
ただ、それ以来、連太とよく話すようになったのは言うまでもない。
そして、ほぼ同時期に魅呼音とも仲良くなることになる―――
+ フルートⅠ +
正輝 (窓から落ち葉を眺めながら)もうすっかり、秋だなぁ……。
春日 夕美 うぅ……(涙目)。
正輝 あれ、夕美ちゃん……どうしたんだい?(→当時はまだ「ちゃん」付け)
夕美 ふるーと……ふるーとがとられちゃった……(ぐすっ)。
GM 夕美はフルートの教室に通っているという設定だ。
正輝 盗られた? 盗られたって誰にっ?
夕美 犬さん………(涙)。
正輝 犬…?
夕美 うん。お父さんのフルート……お父さんに貰ったフルート………(涙)。
正輝 (小声で)そっか、夕美ちゃんの前のお父さんから貰ったフルートか………分かった。俺が探してきてあげるよ(にこり)。
夕美 あ、待って、お兄ちゃん。夕美も一緒に探すよっ。
正輝 でも……。
夕美 一緒に行くもんっ(正輝の顔を見つめる)。
正輝 ………しょうがない、一緒に探すか(苦笑)。
夕美 うんっ(嬉)。
正輝 (2時間ほど探して)……見つからないな……。夕美ちゃん?
夕美 ……え?(眠そう)
正輝 後はお兄ちゃんがなんとかするから、夕美ちゃんは家に帰って……。
夕美 やだぁ……夕美も一緒に探すもん。
正輝 (苦笑しながら)それじゃあ、お兄ちゃんがおんぶしてやるよ。
夕美 うん……。
正輝 …………(夕美を背負う)。
夕美 …………。
二人 …………。
夕美 (ぽつりと)お兄ちゃんの背中って大きいんだね……。
正輝 ……え?
夕美 ううん、なんでもない……。
正輝 そっか。
正輝 (夕暮れ時)……だめだ、見つからないな……。一旦、家に帰るか。
夕美 ……くー……(寝)。
GM 家に帰ると、お義母さんが心配そうにしている。
/義母 「今日はどうしたの?」
正輝 あ、それが……(と事情を話す)。
GM じゃあ、夕美をベットに寝かしつけて。
/義母 「……そう、あの人の……」
正輝 …………。
GM/義母 「あの人……音楽の先生でね。中でも夕美はあの人のフルートが大好きで、よく見よう見まねで棒を口に咥えていたりしたわ」
正輝 …………。
GM/義母 「それで、8歳の誕生日の時にあの人がフルートを買ってきてくれて……それはもう、おおはしゃぎだった。………だけど、それがあの人から貰った最後の誕生日プレゼントだったわ……(遠い目)」
正輝 そんなことが…………。
GM/義母 「……あ、そろそろ夕美を起こさないと……(二階に上がっていく)」
正輝 (ぼそりと)絶対にフルート探してやらないとな……。
GM/義母 「大変!! 夕美がいないわ……あの子、一人で探しに行ったの!?」
正輝 えっ!? 俺、探しに行ってきます!!(立ち上がって)
GM/義母 「お願いね、正輝くんっ」
(魅呼音 ここで、「メンドイし、警察に知らせましょう!」とか力強く言われたら嫌よね(笑))
一同 (笑)
(夕美 そんなお兄ちゃん、イヤ~(笑))
(正輝 「くそっ、ここにもいないのか…」とか必死で街中を探しているのに!?(笑))
+ フルートⅡ +
GM/暁父 「(部屋の外から)お~い、魅呼音ぉ~~」
魅呼音 な~に~、お父さ~ん?
GM/暁父 「コンビニでちょっと買い物してきてくれないか~?」
魅呼音 は~いっ。
GM それじゃあ、コンビニに行く途中に大きな公園があるんだけど。
夕美 (公園の方から)それ、夕美のだもん~! 犬さん、返してよぉ~~っ!!
魅呼音 …ん?(覗き込む)
夕美 返してよ、返してよぉ~~(犬とフルートを奪い合っている)。
魅呼音 ……こらっ(と、犬を叩く)。
GM/犬 「きゃいんっ」
(椎奈 そして、犬は動かなくなった……)
(正輝 勝手に殺すなよ(笑))
GM フルートを落として逃げたんだよ(笑)。
夕美 (魅呼音に事情を話して)これね、死んじゃったお父さんに貰ったフルートなの。お母さん、仕事で忙しいから、寂しい時はいつもこれを持っているの。
魅呼音 そうなの……。
夕美 でもね、新しいお父さんもお兄ちゃんもいるから、もう寂しくないんだ(笑顔)。
魅呼音 そっか……(優しい微笑み)。そのフルート、大事にしないとね?
夕美 うんっ。
正輝 (遠くから)夕美ちゃ~~ん! 夕美ちゃ~~~~んっ!!
夕美 あっ、お兄ちゃんだっ(嬉)。
正輝 夕美ちゃんっ(姿を見掛けて)。
夕美 お兄ちゃ~ん(抱き付いてくる)。
正輝 おっと(受け止めて)。ホント、無事でよかった……(安堵)。
魅呼音 (正輝と夕美を見て)……あれは……。
正輝 (夕美が手に持っているものを見て)フルート、みつかったみたいだな(頭を撫でる)。
夕美 えへへへ……あのね、あのお姉ちゃんが犬さんから取り返してくれたの(と、魅呼音を指差す)。
正輝 あ、君は……えっと、暁さん……だよね?(クラスメイト)
魅呼音 ……そっか。あんたがその子の「お兄ちゃん」なんだ……。
*魅呼音は、正輝の女子生徒関連のこと知っていたのでちょっと軽蔑していたのです。
正輝 なんか、色々と迷惑かけたみたいだね。ありがとう(にっこり)。
魅呼音 お礼はいらないわ。それよりも、夜ももう遅いんだから目を離しちゃダメよ。
正輝 ああ、次から気を付けるよ。
魅呼音 じゃあ、あたしはちょっと買い物があるから……。
夕美 お姉ちゃん、ありがとうね~♪
正輝 ……それじゃあ、暁さん、また明日な。
魅呼音 ん、それじゃあね、春日くん。
夕美 (夜道で手を繋ぎながら)夕美ね、お兄ちゃんならきっと夕美のこと見つけてくれると思ったよ。だから、全然恐くなかったんだ(笑顔)。
正輝 でも、見つけるの遅くなってゴメンな。
夕美 ううん、そんなことないよ……(無邪気な笑顔)。




