覚醒編 第五章
+ 休み時間の出来事 +
正輝 (移動教室の後)ふぅ、なんか疲れたな……。
夕美 (走り寄ってきて)おにぃ~ちゃんっ!!(どかっと飛びかかる)
正輝 ぐぁ……。
GM その時に、綺麗な放物線を描いて正輝の筆箱がたまたま開いていた窓の向こう側に消えていく(笑)。
夕美 あ………。
正輝 あ………。
夕美 (気まずそうに笑う)えへへへへへ……夕美ね、急いでいるからもう行くねっ。……ごめんなさ~~~~い~~~~~……(逃亡)。
正輝 …………はぁ(ため息)。取りに行くか…………。
GM 校舎裏に筆箱を取りに来た、君には声が聞こえてくる。
/瑞香 「あんた、先生にあたしのことちくったでしょっ!?」
/女子生徒B 「そんな……わたしはただ、レポートを……」
正輝 …………。
GM/瑞香&女子生徒B 「あんたが代わりにやっていれば、あんな奴に小言を言われずにすんだのに……」「わ、わたしは……それじゃあ、志木さんのためにならないと思って……」
正輝 ……やれやれ……(止めに行こうとする)。
GM/瑞香 「あたしのためっ!? ふざけるんじゃないわよっ!! あたしのためなら、あんたがレポートやりなさいよっ!!!(蹴る)」
正輝 っ!!
GM/女子生徒B 「ぅ………ぅぅ……」
正輝 (急いで駆け寄る)
GM/瑞香 「(見下しながら)ブスのくせに生意気なのよ、あんた。そのツラ、鏡で見たことあんの? あたしだったら、恥かしくて外にも出られないわよっ」
一同 うわ……ひどい………。
正輝 それは、言い過ぎだっ!!(怒)
GM/瑞香 「また、あんたっ!?」
正輝 それはこっちの台詞だろ。お前の方こそ、またそんなことしているのか(女子生徒を助けようとする)。
GM/瑞香 「ふんっ(睨)」
正輝 彼女は、あんたのことを心配してくれてるんだろ?
GM/瑞香 「あたしのことを心配…? はっ、そんなわけないでしょっ」
正輝 ……仕事をしていることをそんなに偉いと言うなら、自分のすべきことをしないでそこを威張るのは間違っているぞ!!(強い口調)
GM/瑞香 「なっ……あんたにあたしのなにが分かるって言うのよっ!!」
正輝 そ、それは分からないが……。
GM/瑞香 「だったら、勝手に口出ししないでよっ!! ったく、なんなのよっ……それじゃあねっ!!!(立ち去る)」
正輝 (瑞香の背中に)可哀相な奴………(女子生徒Bに)大丈夫か……?(心配)
GM/女子生徒B 「ぅぅ……(泣)」
正輝 蹴られたところ、痛いのか?
GM/女子生徒B 「…………」
正輝 「…………そうか。彼女の言うことはあまり気にしない方がいいぞ……」ところで、その子って顔は普通なんだろ?
GM いや、お世辞にも美人とは言えないよ(苦笑)。
/女子生徒B 「……いいんです、無理して慰めてくれなくても……。わたし……ブスですから………(悲笑)」
正輝 そんなことはないよ。……彼女も、そういうの気にし過ぎなんだろうよ。だから……。
GM/女子生徒B 「(首を振って)……ありがとう、春日くん……」いや、同学年だし正輝は有名人だから名前ぐらい知っているんだよ。「もう…授業始まっちゃうから……」
正輝 そうか……。俺にできることがなにかあったら、いつでも言ってくれよ。
GM/女子生徒B 「ありがとうございました……(去ろうとする)」
正輝 そうだ……名前……。
GM/女子生徒B 「(振り返って)……みそら……美空 節子です………(お辞儀して去っていく)」
正輝 ………ふぅ(ため息)、おっと、俺も授業に行かないとな………。
+ UGNからの使者Ⅱ +
GM その日の放課後。UGNから連絡があって、エージェントが交代したことが告げられた。そのため、顔合わせや情報交換のために駅前の喫茶店に来るように言われる。
椎奈 ……了解。
魅呼音 学校はあたしたちだけど、街自体はエージェントの人が捜査をやっているのよね。情報交換でもできるし、助かるわね。
GM じゃあ、喫茶店に着くと椎奈には見覚えのある人が。前回の任務が一緒だった坂本さんだよ。
/坂本 「お久しぶりですね、指宿さん(にっこり)」
椎奈 お久しぶりです……(無表情)。
GM/坂本 「はじめまして、暁さん(笑顔)」
魅呼音 え、ああ、はじめまして。
GM/坂本 「今回の担当となりました坂本です。微力ながらお手伝いさせていただきます」
魅呼音 この人もオーヴァードなのかな……と思うわよね(→坂本は人間です)。「へぇ、椎奈の知り合いなんだ?」
椎奈 ……前の任務で、自動車事故で入院した人……(笑)。
魅呼音 そ、そうなの(笑)。
GM/坂本 「は、はは……(苦笑い)。それよりどうです? 学校の方は?」
椎奈 (ぽつりと)楽しいです……。
一同 そうじゃないだろっ!!(笑)
椎奈 ……冗談です(無表情)。
魅呼音 捜査の方は結構、難航しているわね。
椎奈 重要度の高い人間を調べていますが、まだ掴みきれていません。ただ……(正輝のことを話す)。
GM/坂本 「春日くん…ですか? なるほど、まだ発症していないということですね?」
椎奈 ……(こくりと頷く)。
GM/坂本 「こちらの方も難航していましてね。ファルスハーツも一枚噛んでいるようですし、思い切った行動が取れないのですよ。
こちらも慎重に動いていたんですが、前任者が死体で見つかりまして……」
魅呼音 それで、交代したのね……(暗い表情)。
椎奈 ……死因は?
GM/坂本 「銃で狙撃されたようですね。おかげで、犯人がオーヴァードかどうかも分かりません」
椎奈 重要度は低いのですが、伊集院十和についてはまだなにも分かっていません……。
GM/坂本 「なるほど……こちらでは、伊集院十和はアーケードの裏など風紀の悪い場所で何度か目撃されていますね。あと、駅前の裏路地など柄の悪いところで、例の薬が通常のドラッグに紛れ込んでいるところまでは分かっています」
魅呼音 となると、ますます伊集院の奴が怪しいわね。
椎奈 引き続き、捜査を続けます。
GM/坂本 「それでは、頼みましたよ。また……」
+ 「おせっかいな所があなたのいいところ」 +
GM バスケ部の帰り道。
正輝 ふぅ……、難しい問題だな……(悩)。
GM アーケードの花屋に、柳澄さんがいるね。
正輝 あ、こんばんは、澄さん。
GM/柳 澄 「あら……正輝くんじゃない。今日も部活の帰り?」
正輝 ええ、そうなんです。
GM/澄 「大変ねぇ…こんな遅くまで………(頬に手をあてて)」
正輝 でも、好きでしていることだから(笑顔)。
GM/澄 「元気があっていいわね。お姉さんも少し分けて欲しいぐらい(にっこり)」
正輝 それで、澄さん。お花でも買うんですか…?
GM/澄 「え、わたし? わたしは…ちょっと部屋に緑が足りないかなぁ~なんて……」
正輝 そういや、家にもそういうのは足りないなぁ……。夕美も俺もそういうのはあんまり気にしないし。……ところで、そのトマトって花が咲くんですか?
GM/澄 「(手には家庭菜園系の種を持っている)……え、いや、その……ベランダとかにも普通のは置いてあるんだけど……無農薬の野菜とかも食べられるし……」
正輝 実益も兼ねていると?(笑)
GM/澄 「……その……ちょっとお金がピンチっていうのは内緒ね(笑)」
正輝 そ、そうなんですか(笑)。
正輝 (澄と一緒に歩きながら)…………。
GM/澄 「どうしたの? なにか悩み事があるなら、お姉さんが聞いてあげるわよ?(にっこり)」
正輝 …え? あ……いや……。
GM/澄 「一応、年上なんだから、なにかアドバイスぐらいできるかもしれないし……わたしじゃ、頼りにならないかな……?(しょんぼり)」
正輝 いえ、そんなことは。その、俺のことじゃないんだけど……。
GM/澄 「女の子?」
正輝 う~ん、まあ女の子と言えば女の子なんですけど……。俺の周りでいじめみたいなことがありまして。俺が行くのもおせっかいなのか…どうなのかなぁ……と……。
GM/澄 「いじめ……ねぇ。難しい問題よね」
正輝 …………。
GM/澄 「いじめはね、いじめられる側に大きな傷を残すことになるわ。でもね、いじめる側の子も弱い子なのよ。自分よりも弱いと思っている子をいじめることで、自分の弱さを隠そうとするものなの」
正輝 俺もそう思います。だけど、いじめている方にそのことを言っても、聞いてもらえないんですよ。それに、そういうことを言うと逆にもっといじめられそうで……。
GM/澄 「そうねぇ……それじゃあ、正輝くんはそれでおせっかいをやめちゃうの?」
正輝 ……いえ。
GM/澄 「(優しく微笑んで)じゃあ、正輝くんが思うように行動したらいいわ。あなたなら大丈夫だから、ね」
正輝 ……そう…そうですね………。
GM/澄 「そうそう。そのおせっかいな所があなたのいいところでもあるんだから……」
正輝 はいっ(力強く頷く)。
+ 伊集院登場 +
GM 次の日の午後、校舎裏。
/伊集院 十和 「……なぁ、いいだろ?」
アンナ あの…困りますわ……。
GM/十和 「いいじゃねぇか、OKしろよ。俺のことを好きなくせに……」
正輝 (バスケ部に行く途中)……あいつは……。
俺はイヤな奴に会った、と純粋に思った。
伊集院 十和――榊学園理事長の孫で、それを傘に好き放題やっている。よく、他の生徒と衝突するなど、問題が絶えない。
外見は、茶髪ロンゲで美形なのだが、冷たい瞳、そして口や態度の悪さからその印象は最悪と言ってもいい。
なぜか知らないが、俺によく突っかかってくる。
アンナ 違いますわっ。ですから、あなたのお誘いは何度もお断りしているはずですっ!
GM/十和 「(アンナの手を触りながら)お前だってお嬢様面してるけど、どうせ海外じゃやりまくっていたんだろ…?」
アンナ なっ……(怒りで震えている)。
GM/十和 「演劇なんてやめてよ、俺と楽しもうぜ、なぁ(アンナに迫る)」
正輝 おいっ!! 伊集院っ!!!(十和との間に割って入る)
GM/十和 「春日……てめぇ………」
正輝 アンナになにしてるんだっ!?
アンナ (後ろに隠れるように)正輝……。
GM/十和 「なんのつもりか知らねぇけどなぁ……俺はな、他人に邪魔されるのが大嫌いなんだよ……特に、てめぇみたいな奴にだ……(睨み)」
正輝 俺もお前みたいな奴は許せないな…(睨み返す)。
GM/十和 「許せねぇだ~?」
正輝&十和 ………………。
アンナ やめてっ! これ以上、正輝やわたくしに手を出したら、先生に言いますわっ!
GM/十和 「……先生ねぇ………まあ、今日の所はいいか……。(正輝に)いいかっ、今度俺の邪魔をしやがったらタダじゃおかねぇからな……(立ち去る)」
二人 …………。
アンナ ……(腰が抜ける)……。
正輝 お、おい?
アンナ ……また、助けていただきましたわね………ありがと、正輝(にっこり)。
正輝 大丈夫だったか、アンナ?
アンナ はい。……でも、まだ手が震えてますわ……。
よく見てみれば、アンナの手は小さく震えていた。
少しでも気丈に振る舞っていたアンナがなんだか、俺にはとても……。
「今でもわたくしは覚えていますわ……小さい頃、男の子にいじめられていたわたくしを助けてくれたのを」
そう言えば、俺とアンナはそうやって出会ったんだったな……と、あの頃を思い出していた。
「立てるか?」
と手を伸ばすと、アンナは俺の手を取る。
「あの頃と変らずに、正輝は優しいのですね」
俺の手を取っているのは、あの頃のままの女の子ではなく、一人の女性だった。
黒い髪を脱色して作った不自然な茶色ではなく、ハーフゆえの自然な茶色。そこに、夕日の光が反射をしていた。
遠くで、がやがやと生徒たちの声が聞こえてくる。
なんだか、
俺はこの不思議な時間が永遠に続くもののように思えた。
そして、立ち上がる時に少しよろめいて、俺の方に倒れ込んでくる。
俺は無言でそれを支えた。
「もう少し、もう少しこのままで……」
アンナがそう呟いて、
そして、
夕暮れの中、
静かな時間が過ぎていく。
俺は、ぎこちなくアンナを抱き留めていた…………。
+ 愛の独白 +
もう、わたしは我慢ができなくなり、声をかけようとした。
だけど。
周りにいる人に邪魔されて、わたしは思うようにあなたの前に出ることができなかった。
お願い…お願いだから……邪魔しないで。
お願いだから…………。
………………。
…………。
……。
わたしは、
あなたの前には、結局出ることはできなかった。
どうして……すべてを振り切ってあなたの前に行こうとしたのに……。
……周りに……周りに、いるから……わたしのことに気付いていくれないの…?
あなたにこの気持ちを伝えたい。
あなたのそばにいたい。
あなたにこの言葉を伝えたい。
そう、
せめて言葉だけでも……。
言葉だけでも…?
そうか、手紙……手紙で伝えれば。
この言葉があなたに届くかもしれない。
そう思い、わたしはさっそく書き始めた。
はじめまして―――




