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In this trivial very small world  作者: うなにゃぎ兄妹
アルバコア起動
2/2

動作試験やっちゃいます

「さて、大体できたことだし運用テストしますか」

和樹は背伸びして美奈に告げる

「おぉ、いよいよですね大先生!」

美奈はわくわくしながらレイドフレームのデータを見る

「で、名前どうすんの?」

「名前なぁ、昨日食べたネギトロ丼が美味しかったから....そうだ!アルバコアにしよう!」

和樹は名前の欄にアルバコアと入れた

「それってどういう意味?」

美奈が首を傾げる

「ビンナガマグロ」

和樹がドヤ顔で親指を立てて見せた

「マグロかい!」

美奈は和樹の頭を引っ叩く

「いてぇ!」

「色は白だよねー。まぁかっこいいけどマグロはないでしょ」

「すみませんつい」

和樹はペコペコする

「なんでビンナガマグロなのさ」

「昨日食べたネギトロ丼が美味しくてさ、浮かんだのがビンナガマグロだ」

「ビンナガマグロ関係ないじゃん!てかなんで私を誘わなかったの!」

美奈は机をバンバン叩く

「だって美奈がいると食費が一気に消し飛ぶから....」

「あっ(察し)」

「と、とりあえず動かしてみようか」

和樹は無理矢理話を終わらせる

「そうだね....」

美奈は力なく賛成した

「おっと、星也から通信だ」

和樹はパネルを呼び出すと応答した

「はいはい、どうした?」

パネルから少年の顔が映る

「どうも和樹さん聞きましたよ。レイダーになるんだって?」

星也はノリノリな感じで尋ねる

「ブルータス、お前もか」

「俺ブルータスじゃありませんから」

「ノリ悪いな相変わらず...」

和樹は落ち込んだ

「まぁ確かにレイダーになるけどまだ肝心のレイドフレームができていないのさ」

ため息をつき軽くチェックする。問題はないようだった

「俺もつい最近レイダーになりました。相方がアレすぎてちょっと大変ですけど」

「おぉ、熱いねー」

和樹が煽る

「んなもんじゃありませんよ。バカなこと言ってないでレイドフレーム完成させてください」

星也は少し苛立って言う

「はーい」

和樹はやる気なさげ返事をすると通信を切った

「さぁって気を取り直してテストいってみますか」

「おー!」

和樹は早速アルバコアのコクピットに乗り込む

「シートベルトよし、神経接続も問題なし」

確認しキーを差し込む

「...あれ?」

「どうしたのー?」

美奈が心配そうに覗き込む

「ああ...動かない」

「はぁ!?」

和樹は機器を確認しいじったりするが異常はない

「こういうときは叩けばいいんじゃない?」

美奈はバシバシとモニターを叩く

「やめろ!美奈の力だと壊れる!」

グシャ!

何かが砕ける嫌な音がコクピットに響く

「「....あ」」

「やっちゃった☆」

美奈が可愛く言う

「おいこら...」

和樹が爆発寸前になる。顔が赤くなり全身がプルプル震える

キュイーン....

「あ、動いた」

「ほぁ!?」

エンジン音に思わず和樹は飛び上がる

「ほ、ほらぁ!どうよ!やっぱ壊れた機械は物理攻撃に限るのさ!」

美奈はドヤ顔で胸を張る

「ない胸を強調して寂しくないか?」

「うっさい!」

美奈の拳がモニターに追い打ちをかける

「おいやめろ!やめてくれぇ!!」

和樹の悲痛な叫びがガレージに響いた


「こちらプロト1、動作正じょ....動きません」

僕は冷静に状況を分析し修正する

「こちらオペレーター、一度整備し直しますか?」

少し緊張した声色で少女が通信する

「大丈夫だよ杏花、多分接触不良だと思うから」

僕は配線を繋ぎ直しながら答える。参ったな、こういうのは僕苦手なんだけど

「でもプロト1のバーストドライブは不安定だし....」

杏花が心配してくれる。早く安心させなきゃ

内心かなり焦っていた。動かない以外すべてが正常だ

彼ならどうするだろうか?少し考えた末に僕は大きく腕を上げる

「ちょ、なにやるの!?」

杏花が慌てて尋ねる

「何するかって?こうするのさ!」

僕は勢いよく腕をモニターへ振り下ろすとエンジンが動く

「まったく、君は時々とんでもない行動をするんだから。でも良かった」

「僕も正直不安だったよ」

僕は手を痛めて少し顔をしかめる

「さて」

気を取り直しコントローラーに手を乗せる

「プロト1、出ます!」

闇より黒いレイドフレームの目が怪しく光り各所に取り付けられたブースターに火をつける

「気をつけてね」

杏花が手を振る

「任せておいて、すぐに終わらせてくる」

僕は改めて心に誓う。この世界の真実に到達した者として一刻もこのくだらない戦争ごっこを終わらせるために


「ったく、出撃するたびにモニターぶっ壊すのかよ。勘弁してくれよ」

和樹はモニターを改めて作り直しながら文句を言う

「まぁいいじゃん、ずっと動かないよりはさ。それで原因わかったの?」

「まぁな、こりゃ単純な接触不良だな。ちょいといじればなんとかなるさ」

配線を組み直し取り付けると改めてキーを刺す

今度は正常に作動した

「おし!動いた!」

様々な計器が動き周囲のモニターが外の景色を映す

「美奈、カタパルトよろしく」

「あいあーい」

美奈は雑誌を読みながらカタパルトのボタンを押す

「ぐっ!」

体に打ち付けられる衝撃が和樹を襲う。アルバコアは火花を散らしながら外へと投げ飛ばされる

「ブースター起動確認、正常っと」

アルバコアは大地を滑るように移動する

「思ったより速度が速いな、下手したらファルピュイア以上だ。さて次に歩行動作」

ペダルをゆっくり踏むと一歩ずつゆっくり歩く。それを確認すると少し強く踏み走る動作をする

「走行確認もいいな....うっぷ...」

和樹は思わず口を抑える

「どうしたの?」

美奈はゲームをしながら心配する

「気持ち悪い....ものすごい速さだ、こいつはかなりいいレイドフレームだ」

和樹の顔が青くなる

「Oh...動ける?」

「な、なんとか...」

気を取り直してコントローラーを握る

「次、回避試験いくよー」

「バッチこーい!」

和樹はもうどうにでもなれと言わんばかりに叫ぶ

「うわ、ホモくさっ!でもその意気込みや良し!いっくよー!」

美奈がボタンを押すと訓練用の砲台が現れる

和樹はアルバコアを不規則に動かしながら砲台の動きを予測する

「直樹ならどう動くか....」

そう呟き集中する。不思議と吐き気や頭痛がスッと消えてゆく

砲台が光を放った

「そこっ!ってやば!」

慌ててしまいアルバコアはバランスを崩す

“自動姿勢制御システム”

モニターに表示されるとアルバコアは大地に手をつき機体を跳ね上げ宙へ舞う

「うお....すっげ!」

「ウソ、腕の力だけで跳躍!?」

美奈も驚きを隠せない

「でも気をつけて、的になるよ!」

美奈は慌てて注意する

「つってもどうすりゃ!」

「落ち着いてブースターを噴射させて、衝撃を和らげるためにホバーをオンにして移動しながら着地して」

美奈は空中戦のノウハウを生かし的確に指示する

「わかった、やってみる!」

ホバーのスイッチを押し移動しながら大地に近づく

砲台がアルバコアに照準を向ける

「おっと!」

和樹は素早くブースターを噴かし砲弾を避ける

「筋がいいね、そのまま止まらずに避けながら射撃訓練いこうか」

「ここでかよ!」

美奈の注文に和樹は驚くが武器スロットルから訓練用のライフルを選択し攻撃用コントローラーで狙いを定める

「ブレはほとんどなしだな」

砲台を狙い撃つがなかなか当たらない

「力はあるからリコイルは気にしなくていいが俺の射撃センスが....」

和樹は軽く落ち込む

「ほらほら、足は止めない!」

「はいよ!」

着地するとすぐさまブースターでその場を離れながら引き金を引く

「オートエイムである程度合わせてから撃つの下手クソ!」

美奈が段々悪い顔になってくる

「わかってるよ!つかサディストの顔になってるぞおい!」

和樹は避けては撃ちを繰り返しながら指摘する

「うっさい、ほらミサイル砲台追加!」

美奈は楽しそうにスイッチを押す

「おいこら勝手に追加すんな!鬼!悪魔!救いはないのか!」

「ないね」

美奈はノリノリのご様子である

「ヒエー!!」

和樹は悲鳴をあげた


「こちらプロト1、交戦地帯の鎮圧完了。帰投するよ」

大地に横たわるレイドフレームたちの残骸の真ん中でプロト1の漆黒の装甲が炎に反射し禍々しく輝く

「お疲れ様、相変わらず手際がいいね」

杏花が褒める。僕は少し照れながらも当然だよと少しため息混じりに言う

「僕らは戦っている場合じゃないんだ。力を合わせて来るべき戦いに備えなければならない」

「そうだね、でもいつもごめんね。君ばっかりにこんな仕事を押しつけて」

杏花は申し訳なさそうな目で謝る

「大丈夫だよ、結局これも僕が選んだ道なんだ。それに僕は....いや、なんでもないさ」

僕は言おうとした言葉を飲み込みそのままプロト1を母艦に帰還させる


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