1話 大多数から外れてしまった者
16時 起床
自宅 寝室
・・・
・・・・・眠い
なんで こんな時間に起床だって?
その考えこそ大多数な人の考え方だね
・・・僕は
僕の名前は
ファル・リファリィ
自閉症スペクトラムだ
ファル「僕の身体は
この障害のおかげで
視覚過敏で
朝や昼の光
蛍光灯の光でさえ
ダメージを受けて
神経痛のような
症状が出て
何もできない
だったら
寝ることで
朝と昼を
ぶっ飛ばせばいい
ファル「そんな生活を
しているためか」
回想
役所の人「健康診断を受けたいのですね?
では朝の9時から始まりますので」
その時間 寝ています
役所の人「は?」
ファル「その時間は寝てないと
視覚過敏で身体にダメージを受けて
何もできないのです」
回想 終了
ファル「結局
申し訳なくて
健康診断は諦めたな」
回想
役所の人「無料のがん検診
受けたいのですね?
では朝の10時に」
ムリです
役所の人「え?」
ファル「その時間は寝ていて」
回想 終了
ファル「これも申し訳なくて
がん検診諦めたなぁ」
姿見を見てみる
ファル「・・・」
自閉症スペクトラムの特徴に
若く見える
歳を取らないよう見えると
言う物があるらしいが
ファル「・・・
老けって
いつ来るんだろう?
ファル「・・・」
45歳になる
普通なら老けているのだろう
だが
自閉症スペクトラムの
特徴のおかげか
20歳?と
思わせるような
顔の若さだ
ファル「これはこれで
ラッキーではあるんだけど
いろいろ不都合が多いんだよな」
16時から
兄に押し付けられた
ペットの世話があるので
ペットと遊ぶ
それが終わったら
母が作ってくれた夕飯を
ありがたく食べ
洗濯物をしたり
皿洗いなどして
朝 昼 夕飯のための
買出しにスーパーに出かけるが
ファル「・・・」
もう
閉店してるスーパーもある
ファル「23時まで営業してるスーパーに
ギリギリ間に合う感じだな
こんなだから商店街で
食材の買出しはできない
余裕で店が閉まってるので」
自閉症スペクトラムの影響で
働ける身体ではない
できるだけ
値引きされた野菜や肉
米の代わりになる
炭水化物など
見つけては購入して
本当は
店員さんに悪い気がするから
値引きを狙って買い物とか
したくないのだが
こうやって
生きて行かないと
障害基礎年金では
生活は恐ろしく厳しい
結果
帰る頃には
24時を越えることもある
だが この日
いつも
食材の買出しで通る
近くの公園で
公園 24時
ファル「・・・え?」
こんな時間に
公園のベンチに
女子高生?
ファル「注意した方が
良いのだろうか
いや
そっちの方が
不審者扱いされるのか?」
さすがに
危険なので
家に帰るよう
声をかけてみたのだが
「なに
お兄さん?
大人みたいなこと言って?
ってか
そのマイバックの中身
なに その量?」
ファル「スーパーが遠くにしかない
商店街は時間が合わなくて
そこで買い物できないから」
「だから
こんな時間に食材の買出し?
明日
学校に影響はないの?」
ファル「・・・
学校も仕事も
経験したかったなぁ
「え?」
ファル「視覚過敏がひどくて
朝と昼は神経痛だから
生活スタイルを変えて
寝ることで
朝と昼を吹っ飛ばしてる」
「・・・
私と同じじゃん?
ファル「え?」
「私も
そうだよ?
だからね
この時間
夜や深夜にしか
活動できないんだ
ファル「・・・」
「普通に
交番の人に見つかったら
補導されるけどね
お兄さんだってそうでしょ?」
ファル「・・・
お兄さんではないよ?
「え?」
ファル「いちおう45歳
君から見ればおじさんだけど?」
「・・・え
えええええええええええええ!
ええええええええええええええ!!
えええええええええええええええ!!!
ファル「・・・深夜なんだから
・・・そんな大声は」
「・・・同い歳だと思った」
ファル「そこは
嬉しいんだけどね」
ファル「視覚過敏と言う事は?」
「そうだよ?
朝と昼がきつすぎて
義務教育さえ
まともに行けていない
親が
子供が学校に行かないの
世間に悪く思われたくないから
無理やり高校に行かされたけど
もう留年 決定」
ファル「・・・つらかったんだね」
「この国の制度ってあまいよね?
義務教育は留年がないから
とりあえず形だけでもいいから
学校に行ってれば
なんの問題もなく
卒業証書もらえるもんね
でも
高校はそうはいかないや」
ファル「たしか
夜に通える高校とか
なかったっけ?」
「・・・
もういいよ
こんな
大多数に合わせて
創られてる世界
ファル「・・・」
「”普通から大きく外れただけで”
厄介者扱い
こんな
クソみたいな世界
はやくやめたいよ
ファル「・・・」
「まあ
死ぬ勇気もないんだけどね」
ファル「・・・
・・・恐ろしいくらいに
・・・共感してしまった
ファル「たしかに
視覚過敏で夜や深夜しか
行動できないと
いろんなお店とかも
閉まってるもんな」
「それそれ!!」
ファルの共感に
目を輝かせる女子高生
「着飾った服とかアクセサリー
髪飾りなど買いに行こうとすると
店が閉まってるんだよ?」
ファル「僕もだよ?
服とかも満足に
買いに行けやしない
店が閉まってるから」
「ネットで買おうとしても
やっぱ実物 見たいじゃない?
それに
視覚過敏だから
パソコンの光もつらい」
ファル「同じだよ?
僕も服はやはり実物を見たい
パソコンの光もつらいなぁ」
「でしょ!でしょ!?」
初めて現れた共感者に
喋るのが止まらない女子高生
「だとすると
お兄さんは
何時まで起きてるの?」
ファル「お兄さんではないけど
まあいいか
朝の光が訪れる前に
寝るようにしてるから
今なら5時くらいかな」
「私も
そんな感じ
だったら~
「この公園で
5時くらいまでは
お喋りできるよね~?」
ファル「・・・
せめて
この食材を
家の冷蔵庫に入れてから
ファル「ちがうちがう
こんな初対面のおじさんと
5時までお喋りって
何を考えてるの?」
「だって~
私と同じ人間と
初めて出逢ったんだもん
ファル「・・・」
「私の名前は
シェリダ・マクシール
語り合いたいと思わない?
この世界は
大多数に合わせて
創られている
ファル「・・・」
シェリダ「この
大多数から外れてしまった人間の
この世界の理不尽さについて?




