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初恋

作者: 梅はね
掲載日:2025/12/24


 恋なんて無縁なものだと思っていた。

 恋愛感情を想像すらできなかったし、好みの人というものもピンとこなかった。

 極論すれば恋なんてものは色欲の言い換えだとそのように考えていた。

 建前を受け付けないのだから恋の参加資格すら持てるはずがない。

 けれど、それで困るということはなかったし、それで良いと思っていた。

 むしろ、交友関係ある異性にそのような視線を向けることこそ不誠実で不躾に見えた。

 恋愛観と倫理観によって恋から遠ざかっていたけれど、恋とは距離を詰めるものではなく落ちるものだと思い知らされた。

 それは雷に打たれるような、いわゆる一目惚れではなかった。

 落とし穴へと誘導され、突如足場が崩れるような恋だった。

 自分以外の異性と団欒している姿を面白くないと感じたことに大きな衝撃を受けたことを覚えている。

 相手は付き合いの浅い友人だった。一緒に食事をしたり遊びに行ったりするのではなく、雑談をしたり冗談を言い合ったりする程度の関係性。

 つるんでいて楽しい相手ではあるけれど、あえて遊びに誘ったりする相手では決してなかった。

 それは向こうからも同様であって、自然に出来ては解消されていく友人関係の一つに過ぎなかった。

 恋愛感情が芽生えた今も、それは変わらない。このまま嫉妬や独占欲に突き動かされなければ友人関係が解消されるのが先か恋が終わるのが先かということになる。

 なぜ遊び友達になっておかなかったのかという後悔が時折浮かんでくる。

 冷静に考えれば今から遊び友達になって、その先については保留しておけばいいのだけれど、友達というものはこちらがなりたいからとなれるものではない。

 遊びに誘ってみて反応が悪ければほぼ脈なしだ。稀に根気強く誘うことで遊びに行ってくれる相手もいないことはないけど気が進まない。

 恋愛というものは苦悩が付きまとうものだと言うけれど、参加資格を得ただけで悩まされるのだから本当に大変だ。

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