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ツァーンラート・オブ・シャウム  作者: 永城 樹
第1章:王都出発
2/2

2、どういたしましょう?




   ──────ばさりっ──────




 ポニーテールを解き、短剣で髪を切る。ロングヘアであった髪は、ミディアムのボブとなった。


 顔を横に振り、どのくらいになったのかが首に当たる髪で伝わってくるのだわ。


 ⋯⋯この切った髪を【火炎魔術】で燃やすことは可能ですが⋯⋯ひとまず置いときましょう!


 リーリエ・シュテルンとして、人生はこれで終演。そしてこれからは普通の“リリィ”として生きていく。


「切ったな。“リリィ”。いいじゃん、似合ってる。」

ニヤリと笑みを見せながら、褒めてくれた!? あの“グレン”が!?


 明日は槍でも降ってくるのかしら?


「ん、あんがと。ん〜さて、どういたしましょう?」

まぁ、“グレン”のことは置いといて、今後どうしたら離れることを実行できるのでしょう。


「あっ! これはどう?」

“グレン”は、突然大声を出してよい提案だという顔をする昔と変わらない笑顔(豪快な笑み)を見せてくれる。


「これ、とは?」

魔術で頭の中見ること昔は出来たのに⋯⋯今はまだ“魔力暴走事件”がおきてないから強い魔術は使えないのだわ。

 ヘタしたら使えるのでしょうけど、魔塔に感知されたくないわ!

もう二度と戻りたくないのですから⋯⋯。

「普通に置手紙書けばいいじゃんよぉ? 主人」

置手紙⋯⋯?


【置手紙】

意味:用件を書いてその場に残しておくこと、またはその手紙のこと。


つまるところ⋯⋯

「紙に『虐められてお辛いし、義妹が当主となるとお聞きしたのです。そのためわたくし、リーリエ・シュテルンは外の世界を知ること決意いたしました。ですので、旅をしていきます。探さないでくださいませ。』って、書けってことよね!? 達筆で書けばよいのかしら? 否でも、わたくしは未だ8歳よね。お母様がお亡くなりになって、三年しか経ってないのよ。義母からは、いびられてたし⋯⋯」

ブツブツブツブツと何時もの(前世からの)クセが出ていることを気付かず、親指を下唇に当てながら唱える。


「なぁ、リーリエ、オレは?」

「へ?」

思考にはいっていたがそこまで重要ではなかったため、咄嗟のことで呆気ない声を出してしまいましたわ。


「オーレーはー? 一緒に行ったらダメ?」

グレンツェが!! ぶりっ子で!! 尋ねてきてる!! 普段感情を見せないで有名なですのに!!

 ひえ、得体の知れない恐怖がわたくしを襲ってきますわ⋯⋯。


「えぇそうですね、もも、勿論ですわ! グレンツェ、アナタも元にいきますわよ!? 雇用主は、わたくしなのよ!」

「⋯⋯」

慌てながらも弁解しなくては⋯⋯!

 あれれ? どうして反応がないのかしら? 何故わたくしがグレンツェに家を出ようとしたのを話したと思っていますの⋯⋯。一緒に出るために決まってますのに⋯⋯。


「な、なぁ。主人。」

顔面がのぼせたように熱くなってるグレンツェはわたくしに問いましたわ。


「なにかしら?」

疑問符が頭の中いっぱいになってますのよ!? 早めに教えて欲しいわ!

「心の声もれてるぞ。」

吃驚して、頭の中が疑問符と感嘆符が並んでいる。な、なんだってー!?

「無自覚なんだな。主人。」

いたずらっ子のような笑みをわたくしに見せないでくださいませー!!

 か、可愛くて照れてしまいますわ⋯⋯。


「うぅ、恥ずかしいこと言わないでくださいまし。⋯⋯ってこうしては居られませんわ!

 そうね、この義母に支配されている伯爵家から離れるのは置手紙を使うことにしましょう!!」

ソファから立ち上がってバンッ! と大きな音を出しながら机を叩く。そして、多分キラキラとした瞳をしながらグレンツェを見つめて、言うのだわ!!


「ん〜りょーかい。で、どうするだ。」

頭いいのかしら? やっぱり。

「どうする⋯⋯とは、なんでしょうか?」

わたくしの口は出来がいいわ! 考えていることと別のことを答えるのだから。

ここ(伯爵家)を出たら何処に行くんだってことだよ。」

じどっと見つめてくるグレンツェ。髪を結んでいるのに如何してこんなにも美しいのかしら?

「はっ! も、勿論覚えておりましたわ! 一応決めておりますのよ!」

いけない、いけない。別のことを考えてしまったのよ。

 また、慌てながら弁解するわたくしをじっと、という目つきで睨みつけてくるグレンツェ。

 ヒェッ! わたくしが其れ好きじゃないの知ってますよね!?


「何処考えてるの? まさか教えないってことはないでしょうに。なぁ、主人?」

あはは、語尾に疑問符つけてるのに断言されちゃってる言い方だわ。

「北よ! 北!」

強制的に言わされる苦しみを結構体験した事あるので(もちろん、前世でね)、ドヤ顔をしながら言葉を発するのだわ!


「へぇ〜? 北ねぇ、どうしてなのかを教えてくれるます? なぁ、リーリエ・シュテルン。」

あ、やっちゃったのよ。やらかしてしまいましたわ。汗がどばどば、滝のように流れても仕方ないぐらいやらかしたわ。


 彼、グレンツェは基本的には口調は丁寧。貴族? と思われてもよいぐらいに。わたくしに対してはぶっきらぼうな言い方するんだけどね。わたくしに対して口調が荒くなる彼が、わたくしに対して丁寧になったらどうなるのか? 



  答えは────キレている⋯⋯だ。



 そのため、穏便な選択肢をしなくてはならないのよ。大丈夫かしら? 最初から詰むとは考えたくありませんわ!

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