第二話
翌朝。
目が覚めた途端に右手から痛みが走った。薫が俺の腕から流れている血を舐めている。
「あら?ようやく起きたのね」
薫はニッコリと笑いながらまた血を舐める作業に戻る
「これが京介の味京介の味京介の味…」
だめだな、完全に自己陶酔しちまってる
俺は薫を正気に戻すべく、頭に向けて鉄アレイを投げつけた
それは見事な鈍い音がしたあと薫はうめきごえをあげながらピクピク痙攣してる。
まあこれも運命か
今ある現状を俺は速やかに受け止め、学校に行く準備をした。
弁当はいつも薫が作ってるが、もう死んでしまったので学校の食堂を使う事にしよう。
教室内。
三時限目が終わった後、薫が遅れて来た。
頭には包帯が捲かれており、顔が蒼白になっている。
たまたま自習だったから良かったものの。
「境介君。未来の妻が重傷ですよ。助けないのですか?」
「だからあいつとの関係はそんなのじゃねえってば」
俺の後ろから小突いてきたやつの名は萩原鷹俊
髪をオールバックに纏め、度の強い眼鏡をかけたいわゆるヤクザ風の男。長身であり、顔も良いのだが、性格と喋り方が原因で全てを台無しにしている。
この、萩原のタイプは“愛”だ。この学校の秩序、校則を深く心酔しており、それを乱した人間は“愛”という一文字にかけて全力で潰すような男なのだ。
「何をボーっとしてるのですか?いとしのハニーがもうあなたの隣に座ってますよ?さあ、私の事など構わず勝手にアツアツしてくださいクソが」
「ハッ妬いてんのかよ萩原?」
「あなたは私の愛によって滅さねばならぬ人間のようですね境介君?」
殆ど自発的に萩原は筆箱から、カッターナイフを取り出し、俺にブッ刺してきた。
勿論、俺はそんな付け焼き刃に遅れをとることもなく難なく避け、シャーペンを萩原の目玉に投げつける。
「甘いですよ」
寸前のところで萩原はシャーペンを指で止め、
「申し訳ありません。私としたことが取り乱してしまいました。他者には常に慈愛の心で挑む私なのですが」
「これがお前の他者に対する慈しみなのか?」
「狂気と慈愛は紙一重です。今のはあなたに対する嫉妬による狂気を超越した慈愛を主とした行動なのです」
授業の終わりを告げたチャイムが鳴る。
「では私はこれにて失礼いたします。授業はまだ残ってますが、めんどくさいのでそこら辺をブラブラしておきます」
と言い、萩原は教室から出ていった。
俺は横から殺意に満ちた目を萩原に向けている、薫に今からどうしようか考えることにした。




