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異世界漂流記  作者: 明鏡 桜花
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(8)[エルガルド編]無意味な戦闘

最初、こいつは何を言っているんだろうか?という感じだったので思わず、睨む形になってしまったようだ。

「それは、どういうこと?説明ぷりーず」

「了解しました~。簡単に言うと、味方だと信じてもらったんです」

「本当に簡単だな」

呆れながらメルにそう言うと、王女様が前に進み出てきて

「無礼をどうかお許しください。貴方達の力は、存分に分かりました。”影”はすぐに収めますから、ご安心を」

そう言って、手を軽くふるうと守護者と名乗り、”影”と呼ばれたものたちが消えていった。

しかし、

「・・・マダ消エルコトナドデキン。ソコノ男ノ実力ヲ見ナケレバ安心シテ眠ルコトナドデキヌ」

「いやいや、そこは眠ろうよ。あんたたちの主人がああ言っているのに―――」

「男ナラ黙ッテ剣ヲ抜ケ」

戦い続けるなんて愚かだよ、と言おうとしたのにそれを遮られてしまった。

ここでいやだ、と言ってもいいんだろうがここまで言う奴は何を言っても話がループするだけなので、言っても無駄なのだ。そして、無視を決め込めば延々と殺気を向けられるだけというどの道地獄だ。まぁ、美少女とかなら許せるかもしれないけど・・・。あ、俺見つめられてる~!みたいな・・・。

・・・ごめん、わかってるよ。自分が痛いことくらい。

・・・・・・。

うん、気を取り直して・・・。こういう奴らの対処法はと言うと、俺はいつもこうすることにしている。

「いいぜ。ただし、勝敗がついた時点でとっととおかえり願うからな」

「ヨカロウ」

「うし・・・。じゃあ、いくぞ」

片手に盾、もう片方に剣を構える。

向こうは、騎士剣。名前はわからないが、ツヴァイハンダーとかだろうか?

そんなどうでもいい事は置いておいて、見た感じ・・・。

突いて倒れるような輩ではなく、かといって剣戟が通用するかと言ったら甚だ不明だ。

それに先程、攻撃を受けた時に思ったが・・・。この盾はおそらく、後2,3回しか防いでくれないだろう。

・・・やけにもろいなぁ、俺の武器。

戦力分析してみて改めて思ったが、圧倒的に不利すぎる。ここまで来るともはや笑うしかない。

ちなみに、さっきまで戦っていた仲間たちは全員こちらを固唾をのんで見守っている。

(メル。お前まで観戦してどうする。こっちはいろいろ疑問に思っているのを後回しにして、戦っているんだが?ちょっとくらい力か、知恵を貸してくれないかね?と言うか、俺の力が欲しいよ!で出てきたのになんで?)

「そりゃ、その人が主殿の実力を見たいって言ってるから・・・力は貸しちゃだめだと思ったんですよ。気遣いのできるイイ子でしょ?」

なんて言いながら胸を張っているが、正直俺からしたらいらん気遣い以外の何でもない。

(いいから手を貸せよ!このままじゃ、死ねるって!)

「頑張れ」

いい加減な女神だなっ、おい!

そんな俺の心の叫びなんか丁寧に聞き入れてくれるほど現実は甘くはなく、

「来ナイナラコチラカライクゾ!」

ビュオン!

ものすごい剣風とともに刃が迫る。

ある程度の武術の心得のある奴らなら、これが一撃必殺で狙いにきていることくらいわかる。しかし、いかんせん俺の場合爺さんからちょこっと習って、終わってしまっているのでどこを狙ってくるとか、どう防げばいいとかは全く分からないのだ。

なので、馬鹿正直に盾で正面から防ぎに行ってしまう。

そうなると必然的に、力で負けている俺はその一撃の重みに耐えられるわけがなく、吹き飛ばされる。

しかも、あと三回くらいなら受けられると思っていた盾は今の一撃で罅や、亀裂が至るとこに入っており、とてもじゃないがもう一撃すら無理な状態だった。

「・・・ヤハリ、貴様ニハ荷ガ重カロウ。ソレカラ解放シテヤロウトイウノダ。感謝コソスレ抵抗スル必要ハナイト思ウガナ」

そんな事を言いながら、止めを刺さんと追撃してくる。

「自分のやりたいことくらい自分で決められる。お前なんかに選んで貰わなくって、結構だよ!」

それを俺は返す言葉と共に脆くなった盾を振りかざし、転げまわりながら追撃から逃れる。

だが、その拍子に瓦礫にぶつけたのか盾が完全に砕けてしまった。

「・・・マジかよ」

盾とするための物を失い茫然とする俺。

それを好機と見て、突っ込んできたスピードそのままに切り返してきた。

ズバンッ!

なんとか避けきったものの俺の後ろにあった壁がご臨終だ。というよりも、剣としてはあり得ないくらいの切れ味だ。石造りの壁を一太刀で切り裂いてしまうのだ。

そんなものを盾もなしにどうやって戦えというんだ。


ギリッ、と歯を噛みしめる。



ザシュッ、と地面から足が離れる。



ブゥン、と剣を振りかざす音がする。




ここからはただの奇跡。

偶然なのか、はたまた必然なのか。それはわからない。

けれど、結果は必然。

鮎川 甲は、死ぬ事なんてできなかった。

仲間がいるのに、約束を果たさなければいけないのに死ぬことなどできなかった。



(リズside)

終わったと思った。

あれは完全に相手の必殺の間合いだ。

何が起きたのかはわからなかったが、助かったことには変わりない。

ほっ、と安心するが・・・。

なぜか、ぞっとした。

敵に?いや、違う。もっと別の何か、自分の命が危なくなったときに感じる、そんな感覚。

一人。

リズは戦慄する。



(ルマリアside)

なぜ?

ルマリアが最初に思ったのはそんな事だった。

それもそのはずだ。彼、甲から感じ取った波長には確かに、ルマリアにとって忌々しいとしか言えない気配を感じ取ったのだ。

そしてそれは、同時に甲の勝利を確定づけるであろう気配。

この世に存在してはならないはずの魂。

何年も前に数千年の眠りついたはずの神ですら超える、神。

神を作った神。

伝説にしか聞いたことのないようなおとぎ話の世界の人物であり、ルマリアの半身(・・)とも言える存在。

しかし、今のルマリアが半身であるようにその半身である者にも完全体並みの魔力はこもっていないはずなのだ。

だが、甲に宿る魔力は完全体の魔力すら凌駕している。

一人。

ルマリアは思考する。



(・・・out)




そう考えた瞬間、刹那の差でこちらの刃が防御に回るのが早く、ギリギリのところで間に合った。

そう間に合ったのだ。

(あぶねぇ・・・。今一瞬、何かが見えた気がしたんだがな・・・)

甲は意識が飛んだ一瞬に自分の裡にあるものを垣間見ていた。しかし、本当に刹那だったためそれが何かは分からなかった。

それでもいい、と。

それを知っていたら、多分俺は戻ってこれなかったから、と。

甲はそう思う。

「・・・っんの!いい加減にしろ!!」

そんな風に考えている間にもギリギリッと力で抑え込もうとして来る騎士風の影に怒鳴りつけながら、渾身の力で押し返す。

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」

「ドウシタ?モウ息ガ上ガッテイルゾ」

うるさい、と言ってやりたいが・・・。そんな体力すら惜しい。

さっきもそうだが、壁にぶつかったせいで今すぐ吐血して倒れたいぐらいの痛みが全身をくまなく襲っているのだ。

こんな状態でいつまでも戦えるはずがない。

「ちっ!」

突っ立っていてもしょうがないので、切りかかる。

「フン、ソンナ剣デ何ガシタイノダ」

敵が何かを言っているが、無視して斬りかかる。

「何度モ言ウガ、ソンナ剣デハ・・・」

息をつかせるな、一瞬でいい。

一瞬でいいから奴を上回れ。

その一瞬で打ち取ることが可能だ。

問題はそこまで体力がもつのか、ということだ。

袈裟掛け、逆袈裟。

あらゆる角度から、避ける隙を与えぬように踏み込み斬りかかり続ける。

「ム・・・グッ!」

数十合と言う打ち合いの果てについに、影がふらついた。

こちらの攻撃に怯んだというよりも何かに引っかかったという感じだ。

だが、あいにくこちらもそんな分かりやすい隙を見逃すほど素人ではない。

「・・・っ!死ね!」

ビュンッ!

疲労で徐々に重たくなってきていた腕を無理やり振り上げ、できた隙に渾身の一撃をたたきこんでやった。

ズバンッ!

先程、向こうが壁を斬った時のような音がして、影が揺らぐ。

「・・・ヨカロウ、ソノ実力確カニ認メル。ダガ、覚悟セヨ・・・モシモ・・・コノ先・・・テモ・・・引ク・・・ヌ」

「うるさい。死んだ奴はとっとと墓場に帰れ」

思ったより体力を使ってしまって、答えるのも煩わしい。

ドサッ

という何かが倒れる音がした。

そんな事を考えていると、妙に視界が地面に近いことに気づく。

(あれ?)

事の成り行きを見守っていたみんなが駆け寄ってくる。

「・・・!・・・?」

「・・・!?・・・」

「・・・・・・!!・・・・・?!」

口々に何か言っているが、意識が遠のいていく俺にはよく聞き取れなかった。

「・・・ここにいたのですね」

「やっぱり主は、主でした」

最後に、ルマリアとメルがそう言ったのを何とか聞き取って俺の意識は完全に闇にのまれた。

・・・あれ?

甲「あれ?じゃないだろ・・・」

うん、ごめんいろいろ没った

甲「なんだか、ストーリーがだんだんねじ曲がってきてないか?」

うんうん

甲「はぁ・・・」

ルマリア「それより」

うわっ!

ルマリア「なぜ、そこまで驚くのです」

いや、そんな心外です・・・みたいな顔をされても・・・ビビるだろ・・・

甲「気配消してたからね・・・」

ルマリア「消してませんが・・・」

え?

ルマリア「存在感が薄いと言いたいのですか?」

メル「・・・単純にこの二人がバカなんだよ」

メル・・・

それはあってるかもしれない

甲「実を言うと作者はこの更新の間にメルの本名を忘れている」

言うなよ・・・

ドゴッ

ぐはぁっ!!

甲「・・・全治一週間か?」

どう少なく見積もっても一カ月だろ!!

メル「どうやら、まだ威力が足りなかったみたいね」

・・・十分痛かったんだけど・・・

ルマリア「では、私からも」

いや、そんな便乗の仕方いらないし・・・

甲「ま、がんばれ」

こら、そこの主人公!ちょっとは止めようとか考えろ!!

甲「なんで?」

・・・え

甲「たまには自分で食らうのもよかろう?」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・(汗)

い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

二人「大丈夫・・・すぐすむから」

ぎ、ぎにゃぁぁぁぁぁああああああ!!!

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