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異世界漂流記  作者: 明鏡 桜花
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(6)[アースガルド編]神による選定

ついて来て下さい、と言ったルマリアさんについて歩くこと数分。

俺たちは草原を抜けて、きれいな石造りの建築物の前に着いた。

「ここが我が主の居城、オドレイです」

オドレイ。

地球上にそんな名前の城は、少なくとも俺が知る中ではないはずだが・・・。

「ちなみにここは地球上の概念で言うところの『神の領域』です。名前がそうだ、と言うことはできませんが、概念はそれと同じです」

・・・神の領域?

全く理解のできない俺たちを一瞥したルマリアさんは、

「今はわからずともご説明を聞かれれば、ひとまずの理解はできるかと」

そう言うと扉を開け、中に入っていく。

その間、疑問に思うことはたくさんあるはずなのに誰一人として質問することができなかった。

ただ、全員の心の中に不思議と不安感はあまりなく、あるのはなぜかルマリアについて行かなければいけないという使命感。

それのみだった。

それからも全員、終始無言でルマリアさんについて行く。

しばらくすると、ルマリアさんが扉の前で立ち止り、ノックをする。

「お連れしました」

どうやら目的地に到着したらしい。

その部屋にいたのは、

「ようこそ、諸君。・・・久しぶり、と言うべきなのかな?それともこの場においてならはじめまして、と言うべきかな?」

神宮寺 兼継(じんぐうじかねつぐ)その人だった。



************



「え?なんで、神宮寺のお父さんが?」

それは当然の疑問だろう。

さっきも言ったが、ここは完全に地球というものからずれた場所にあると推測される。

そこに神宮寺兼継がいたのだ。

そこから導かれるものは一つしかない。

そう、神宮寺兼継はこの件に関して何らかの関与、または主犯格であるという事の二つの選択肢しか出てこない。

しかし、前者の可能性は極めて低い。

なぜならルマリアが案内したこの部屋にはこの城の”主”とも呼べる人がいなければいけない。

そして、今この部屋にいるのは、居たのは一人。

神宮寺兼継。

つまりそれは、どういうことか。

「・・・ちょ、ちょっと待ってくれ」

いくらなんでもな発想に行きついてしまったので、いったん頭を切り替える。さすがに色々な事が起こりすぎて頭の回転が悪くなっているようだ。

「甲、落ち着け。今はこの状況を説明してもらうほうが先だ」

お、おう、そうだった。

危うく、本当の目的を見失うところだった。

「そうだな。悪い」

「気にするな」

「それで?説明はもらえるんでしょうな、神宮寺さん?」

俺たちを代表して会長がそう質問する。

「あたりまえだよ。そのためにこの場に呼んだのだしね」

そう言うと兼継さんは立ち上がり、窓側に歩いて行く。

「まず一つ目、私と結衣の正体から説明しよう。我々はね、神々の統括者をしているのだよ。つまり、最高神。そして結衣は、今は私の使いとして動いてもらってるが後々には、私の地位を受け継ぐことになるんだが、これはまた別の話だな。次に、どうして君らをこんな場所に呼んだかということだが・・・、こればっかりはどうと説明できるものはない。もともとあの学校には『力』のあるものが集められていたのだが、そこから厳選するために結衣に現地に行ってもらい調査をしてもらったのだ。そして、選ばれたのが君らということだ。なぜこんなところに来てもらったかは、まぁ言葉で聞くよりも現地にいる人から直接聞いたほうが何かと分かりやすい。後で聞くといい」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

「え・・・?あの?失礼ですが、言っていることの半分も理解できないんですが」

「・・・というか・・・神?」

「難しいことはよく分かんないぞ」

間宮、あまり胸を張れることじゃないぞ?

「え~と、これは何の冗談ですの?」

「うむ、冗談ではない。私は本気だよ、リーズリット・エルラバーニャ」

俺たち全員はポカーンとしていた。

まさに、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていたのだろう。

「すまないね。しかし、こちらももう時間がないのだよ。お詫びと言っては何だが、ルマリアと継続して結衣もついて行く。後はこの二人と協力してやってくれ」

「皆さんすいません。けど、父の言うとおり時間がないんです。ですからどうか、今は何も言わずに私たちについて来てください」

そう言って神宮寺さんが頭を下げてくる。

「いや、そんなことを言われても・・・」

正直今も何がどうなっているのかさっぱり分からない。この状況で私たちについて来て下さい、とか言われても渋るのは仕方ないと思うんだが・・・。

「う~ん、どうする?甲」

隣にいたハルがそう聞いてくる。

「どうするって言ってもな」

どの道、ここでぼんやりしているのも時間の無駄だ。しかし、だからと言ってホイホイついて行くのは・・・。


こんなに、ほいほいついて来ていいのかい?俺はのn


「え?」

「? どうかしたか?」

「いや・・・」

何か今、幻聴とともに寒気がしたんだが。

気のせいか。

一応、背後に気を配っておこう。

「しかし、本当にどうしたものか」

「お願いします。今は何も言わずついて来て下さい。詳しい説明は後で必ずします」

俺たち男子四人は顔を見合わせる。男として女の子にここまでされて、背を向けるのはどうかと思うが怪しすぎるのだ。ここまで、怪しいものにいくら男といえどもプライドがどうのとか言ってる場合ではないのだ。

だが、

「ふ、私は行きますわよ!仲間が困っているんですから当然でしょう」

「ふむ、確かにそうだな」

「え~っと、うん私も行くよ。会長さんがいれば敵なしだろうし」

「穂香が行くなら私も行くぜ。楽しそうだしな」

・・・相変わらず女子連中は即断即決。

もうすでに全員が行くことを決めてしまっている。

しかも、こちらには目も向けない。おそらく、こっちが兼継さんに色々と文句を言っていた時からすでに決めていたんだろう。

そして、同時に俺たち男子の立場も決まってしまった。

なんでって?

そんなの当たり前じゃないか。こいつらが行くのに俺たちだけお留守番なんてつまらないことこの上ない。

だったら、多少の危険は覚悟の上で楽しい方をとる。

「それで、」

「貴方達は」

「いったい」

「どうするんだ?」

振り向いて、そう聞いてくるリズ達に俺たちは苦笑しながら、

『・・・行きますよ』

そう答えたのだった。


**************


「・・・話はまとまったようだね」

その成り行きを静観していた兼継さんは話が終ったとみて、こちらへ話しかけてくる。

「正直理解は全くできませんけどね・・・」

自嘲気味にそう言ってみると、

「まぁ、それもそうだろうが・・・。本当にゆっくりしている暇はないんだよ。・・・しかし、このまま行かせるのはさすがに心苦しい。という訳で、せめてもの餞別を贈らせてもらうよ」

そう言うならこんなわけのわからない状況にしないで欲しい。

兼継さんが合図をすると、今度はルマリアさんが出てきて、

「こちらです」

と言って隣の部屋に案内してくれた。

大人しくついて行くとそこにはなんだかよく分からないウェストポーチが置かれている。

不審に思って兼継さんの方を見るとにっこりと笑って、

向こう(・・・)で必要になりそうなものを多少だが入れておいた。役に立たないことはないと思う。使い方は、道中結衣とルマリアに聞いてくれ」

「・・・とりあえず、どこに行くか本気で気になってきましたよ」

着いてからのお楽しみってことにして置きたまえ、と笑いながら元の部屋に戻っていく。

俺たちは、全員がそれぞれそのポーチを身につけ、兼継さんの後を追う。

「さて、そろそろ君たちには出発してもらう訳だが・・・」

ここで改まって、少し言いづらそうに兼継さんが切り出す。

この場に及んでまだ何かあるというのか?

正直そんな心情だったが、別に害があったわけではないので邪険にするわけにもいかない。しごく平静を取り繕って、

「・・・・・・なんです?」

あ、失敗した。めちゃくちゃ不機嫌な声音だ。

「・・・うん、まぁそんな風になっちゃうのも仕方ないんだけどね。それは置いておいて、これから行くとこなんだが」

「ようやく言うつもりになったんですか?お父様」

「う゛っ・・・」

「え?」

今の感じから言って神宮寺すら何も聞いてない?

全員で目を点にして振り向くと、呆れたように首を振りながら、

「お察しの通りです。目的は聞かされましたけど、どこに行くかは聞いてないんです」

「・・・大丈夫なのか?」

ニノが不安そうに言う。

こいつはなんだかんだで一番用心深いからなぁ。

「ふむ、私の状況から言って問題なさそうだが?その目的とやらは、聞いているのだから、そのうえで我々に頭を下げたのだ。どこへ行くかはともかく、まともな理由であろうことが判断できるが?」

「そうなのか?」

「馬鹿はもうちょっと黙ってろ」

相変わらず頭の回転の悪い祐二を黙らせる。

その祐二も今は文句を言っている場合ではないと思ったのか、ちぇっと言いながらも引き下がる。

「はい。理由はまともです」

「う、うむ、私の可愛い娘を遣わすんだぞ?適当な訳があるまい」

どもるから怪しまれるんだと思うが。

「わかりましたから。結局どこに行かされるんです?僕ら」

話がそれていくと感じたのだろうハルが軌道修正を図る。

・・・俺たち四人がツッコム側に回っている時点で異常度がいつもの比でないことはお分かりいただけるだろう。

「うむ、ここをアースガルドとしたら今から行ってもらうところはエルガルドというところだ。まぁ、もっとも名前に深い意味はない。普通に人間界の並行世界のうちのひとつってだけなんだよね」

「え?ということは、俺たちのいた世界とはまた別なんですか?」

「あぁ、君らの世界では常識でもそこの世界では非常識なこともあるだろう。その時のためにルマリアと結衣を連れていくんだよ」

「そういうことです」

そう言ってルマリアさんがこちらを見ながら頷く。

???

何かを言いたげな視線を一瞬感じたけど、気のせいだったのかな?

周りをキョロキョロしているとリズが不審そうに

「何をキョロキョロしてますの、そんな風に首を振って・・・まさかいまさら怖気づいたとかでは・・・っ!」

「ちげぇよ!なんでそんな風に言われなきゃなんねぇのさ。ちょっと考え事してただけだろ!」

「そうなんですの?詰まりませんわね」

なんで、お前の面白いことを俺が提供せねばならんのかという。


*********


さてそろそろ出発しようかなと思い、

「よし、じゃあみんなそろそろ行こうか」

と言うと

「おっと、少し待ちたまえ」

そう言って兼継さんが引き止めてきた。

「向こうは、君らのいた世界とは何もかもが違う。何より・・・いや、これは実際自分たちで感じた方が早いだろう。とにかく、そんな所に行くにはぴったりなものを進呈しよう」

なんて訳のわからない事を言いながら、何やらがさごそとやったかと思うと、

「何より必要なのは身を守る武器だと思うんだよ」

そして出てきたのは刀、拳銃、両手剣、双剣、片手剣に盾、槍、ハンマー、斧、etc・・・書いていったらキリのないくらいの量をどこからともなく取り出してきた。

「ほう、準備がいいな」

相変わらず会長は行動が早い。とっとと拳銃を持っていってる。

「ちなみにそれに弾切れなんとことは起こり得ないようになってる」

何、そのチート。

「では私はこれで」

そしてリズはレイピア。

「私はこれかな」

高瀬は刀。

「私はこれだな」

間宮は両手剣。

・・・どうでもいいけど、なんで女子が両手剣を軽々持ってるんだろ。

「あぁ、いつぞやの焼きまわしだな」

隣でニノが、もうどうにでもなれといった感じでつぶやく。

「そだね・・・」

ハルもどうやらツッコム気は失せたらしい。

「・・・どうして、あんなに楽しそうなんだろうか」

あの祐二が茫然としている。まだ、よく事情が頭に回りきらないらしい。

その後俺たちはそれぞれ、順番にニノ、ハル、祐二、俺という順番に取って行った。ちなみに槍、手斧、短刀(脇差とか)、片手剣と盾という感じだ。

「・・・みんな、それぞれ持ったね」

『おうよ(えぇ、うむ)』

「じゃあ、ルマリア。案内してくれ」

「承知しました」

「じゃあ、僕はここで。もし何か用事がある場合はルマリアに言ってくれ。いつでも、連絡を取れるようにしておこう」

こうして兼継さんに別れを告げると、ルマリアさんと一緒にその並行世界とやらに行くための門をくぐるために地下に移動する。

すると、なにやら青白く光る門が出てきて、俺たちはそれに・・・。

「って、待て待て!!なんか吸い込まれてるよ!!」

「大丈夫です。害はありません」

無表情で、そう答えてくれるルマリアさん。もはや逆に怖いです。

「いや、害はないけどね・・・」

なんか色々恐怖心を煽るじゃん!向こう側なんか真っ赤だし、と言おとしたところで、

「では、気を失えば一瞬です」

「え?ちょ、ま・・・」

止めようとした時にはすでに時遅し。

手刀は見事に俺の首にクリティカルヒット。

一瞬で俺の意識を刈り取って行ったとさ。

あぁ、神様。僕が何かしましたか?



何処かでさっきの自称神がくしゃみをしているようなイメージを浮かべながら俺の意識は暗い所へ沈んで行った。

甲「お?なにやら更新が早いな」

うん頑張った。

甲「ふーん」

甲「まぁ、そんなことより。ここまで読んでくれてありがとうございます」

ございます

甲「とまぁ作者ともども、このような稚拙なものを見せてしまい汗顔の至りでございます」

会長「・・・何かの演説かねこれは」

そんなにあきれた風に言われなくても・・・

リズ「そんなことより、なんとかして読者増やさないと今に痛い目を見ますわよ」

そんなこ言われてもやっと本編に入れるんだよ?それなのにどうしろと

間宮「そろそろ、引き延しっぱなしのあれを書いたら?」

あれ?

甲「忘れたのか?事の顛末書くって言ってたじゃないか。神宮寺の屋敷での出来事のさ」

甲「う、って何だよそれ?書く気あるのか?」

あ、ありますよもちろん!もちろん、書かせていただきますとも

ただまぁ

会長「まぁ?」

もうちょっと後のほうがおもしろいと思うんだけどな

甲「とにかく、きちんと言ったんだからちゃんとやれよ!?」

『ばいばい~』

甲「今回は俺が疎外感を味わう羽目に~!!」

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