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異世界漂流記  作者: 明鏡 桜花
1/17

(1)[現代編]七月一日 前篇

俺こと鮎川 甲(あゆかわこう)は普通の高校生だ。

どこかの小説みたいに幼なじみが居たり、非日常ど真ん中だったりするわけでもないし、この世界も至って普通だ。

つまらない。

そう感じてしまうくらいに。

だけど、俺は多分、非日常だとかそんなものは断じて望んでない。

まぁ、幼かった頃はそういうのにも憧れはしたが、高校生にでもなるとこんな風に考えるようになる。

そういうことが起きても、ゲームではないのだからダメージ受けたら死ぬだろ、死ぬのはイヤだからゴメンだ。

こんな感じに。これは、俺の意見だから全人類に通用するとは思わないが、大多数の人の意見の根幹にはあると思う。



だから、まさか自分が本当に異世界に飛ばされるなんて思ってもみなかった。

今思えば、あの時から何かが動き出していたのかもしれない。




朝7時。

いつも通りに起床することに成功した俺は、朝御飯を食べていた。

「あんたねぇ・・・。いい加減に、朝からカレーパン食べるのやめなさいよ」と我が母。

「そんなこと言われても・・・。母さんも食ってみれば?」

「私が言いたいのは数の問題だよ。何で3個も食うかね・・・」

おいしいんだからしょうがない。

その後もぶつぶつと言ってくる母さんに応対しながら、学校へ行く準備をする。

そして、玄関にまでくると

「ほい、弁当」

「ああ、どうも。んじゃ、行ってきまーす」

「はいはい、いってらっしゃい」

さて今日もがんばりますか。



成城学園成城高等学校。

それが、俺の通う高校だ。進学校というほどでもないが、結構進学率は高い。比較的自由な校風のため、個性的な奴が多いのは否めない。

そして、今日は七月一日。

夏休みまで残すところ今日を入れて二週間。この学校は、なぜか学園行事、もしくは学園記念日みたいなのがやたらこの時期に多い。そのために、夏休みもほかの学校に比べるとだいぶ長い。


教室にはいると

「おはよ〜さん、甲」

「よっ、甲」

「・・・おはようだ、甲」

裕二、ハル、ニノが居た。

「おっす。また、裕二はこっちの教室にいるのか」

「だってよ〜・・・」

「・・・あまりにうるさいので必要最低限、教室にいないように義務づけられたらしい」

「だから、こっちに来るのか」

「ひどいと思わないか!」

「「「思わん。むしろ自業自得だ」」」

「ひどっ!!」

うわぁあああん、お前等なんか嫌いだ〜・・・。と叫びながら走り去っていく裕二と入れ違いにいぶかしげな顔をした高瀬が入ってくる。

「・・・ねぇ、あれ何」

「さぁ?気にしなくていいんじゃない」

ハルが答える。

藤巻 春雨(ふじまきはるさめ)二ノ宮 謙吾(にのみやけんご)は俺の友達だ。周りからは、なぜか三バカと言う不本意な評価を受けている。そして今、話しかけてきた眼鏡をかけた少女。高瀬 穂香(たかせほのか)は二年連続で同じクラスだ。比較的、静かな方でどこかのバカとは大違いだ。ちなみにあいつの名前は・・・確か、小野 裕二(おのゆうじ)だったはず。

「・・・ふ〜ん。まぁ、いいけど。・・・そういえば知ってる?Bクラスに転校生が来てるらしいよ」

「ふ〜ん・・・。そういえば担任がそんなようなことを言っていた気がする」

「・・・俺たちに関係はあるまい」

「そうだね」

うっわ、何この三人めちゃくちゃ冷めてるし、とか言いながら自分の席に向かう高瀬。こいつも十分に冷めてると思うんだが、誰か同じように感じた奴はおらんのか?

ふと、周りの会話に耳を傾けてみると

「・・・お嬢様・・・」

「神宮寺・・・・・・」

という声が聞こえてきた。

「神宮寺・・・どこかで聞いたことがあるような、ないような」

「・・・確か、どこかの財閥の名前の一つがそんなのだった気がするぞ」

「よく知ってたな、ニノ」

「・・・俺でも新聞くらいは読むさ」

そういう事じゃなくて、覚えていたことに感心したんだよ。こいつはさっきも言ったように、頭が悪い。ハルもそうなんだが、どうしてこのバカ二人と比較的普通な俺が比べられねばならんのだ。

「日本どころか世界でも五本の指にはいるくらいの財閥だからね。知っててもおかしくはないんじゃないかな」

鞄をおいてきたのか、高瀬がこちらに戻ってきてそういう。

「まぁ、それは置いといて何でこんな学園に?」

俺たちが通っている成城学園は至って、普通の学校だ。強いて言うなら、敷地面積が若干広いぐらい。

「・・・さぁ?」

「俺たちに聞くんじゃない」

ごもっともで。

「昼休みにどうせ間宮も生徒会室に来るんだろう?その時に何か知っていれば聞けばよかろう」

「だね〜」

「そうね」

・・・自分で調べにいかずに他人任せって・・・。まぁ良いけどさ、俺もそうだし。




その後、睡眠三時間、起床一時間というかなり不真面目に授業を受けた。一時限真面目に受けたのは、体育。この学園の体育教師はかなり有名で、もし寝ていようものなら居残りで、学園敷地内百周を課せられるらしい。やったことないから知らないが、先輩で過去にマジでやらせられたことがあるらしい。ちなみに、学園一周するのに二十分はかかる。

そして昼休み。

「うい〜、やっと終わったよ・・・」

「あぁ・・・体育のある日は苦痛だ」

「お前等、ほかの授業も真面目に受けろよ」

「しょうがないじゃない、三バカだもの」

「だから俺を入れるなと・・・」

「いよーす、裕二様が来てやったぞお前たち」

「ご機嫌よう、穂香」

言うんだ、と言おうとしたところで裕二とリズに遮られてしまった。

リーズリット・エル・ラバーニャ。

何か変な名前だが、これでも一応英国貴族のご令嬢。転校してきたのは一年の時なんだが・・・。あの時のは未だに衝撃的だ。・・・まぁ、考えるのはよそう。だって、今もなんかものすんごい睨んできてるもの。俺、何かしたかなぁ?

「・・・と三バカ」

「そんな、いやそうな顔して言われても・・・」

俺がそういうと

「ふんっ、別に嫌なんて一言も言ってませんわ」

ますます不機嫌そうな顔つきになりそういった。説得力ゼロだが、まぁぶつぶつ言ってもしょうがないし、無駄に時間を浪費するだけだ。

「まぁ、いいか。んじゃ、集まったようだし、生徒会室に行くか」

『おう(ええ、はいは〜い)』

俺、ニノ、ハル、裕二は最初教室で男四人寂しく飯を食っていたんだが、裕二がうるさいおかげでもの凄い白い目で見られるようになった。まぁ、セクハラ発言が多いからな。

そこで、どこか周りに迷惑にならないような場所はないかと探していた時、生徒会室ならどうか?という事になり、今に至る。裕二を切り捨ててもよかったが、もっとうるさいことになるのは目に見えていたからな。

とはいえ、初めから何人も居たわけではない。初めはさっきも言ったように四人、そこに生徒会会長である一ノ瀬 葵(いちのせあおい)が加わり、その次に間宮 冬子(まみやとうこ)と高瀬が担任から俺に伝言を頼まれたとき加わり、リズは暴漢というかチンピラに絡まれているところを俺が助けて、そのお礼を言いに来たときから加わった。

そんな感じで気づいたら八人という大所帯になっていた。

まぁ、楽しいからいいんだけどね。

「そういやさ、リズは転校生について何か知ってるの?」

そう高瀬が尋ねると

「よくは知りませんね。財閥の名前くらいなら知っていますけど、その他のことは皆さんと同じようなものです」

リズがそう答えたとき、ちょうど生徒会室に着いた。

ガラガラ、と扉を開けるとすでに会長が来ていていつもの如く、窓側の一番いい席を陣取っていた。

「ふむ、全員お揃いのようだな」

「まだですよ。間宮が来てませんって」

ん?そうだったか、と言いながら紅茶(?)を飲んでいる。

「・・・いい加減、ここに来る人間くらい覚えたらどうなんだ」

そういうニノに同調するかのようにハルが

「そうですよ、会長。いくら興味ないからって・・・」

酷すぎるでしょう、と言おうとしたが会長に手で制される。

「ちょっとしたジョークだろう。本気で忘れていたわけではないさ」

「ならいいですけど・・・」

「・・・相変わらずのドSっぷりですね」

「ふふふ、甲君。それは、僕をもっといじってくださいという君なりのアピー・・・」

「んなわけねぇでしょうが」

「どうでも良いが、甲。お前その話し方敬ってるのか敬ってないかどっちなんだ?」

マジでどうでも良いな、オイ。

そんな風にバカをやっていると、

「いや〜、すいません!遅れちゃった!」

もの凄い勢いで間宮が扉を開けた。そのせいで、扉の前にいた裕二が吹っ飛んで、ピクピクしてるけどまぁ、いっか。

「よくねぇよ!!!」

何だよ、心読めるのか?お前。

俺、何もいってないよ?

「雰囲気で何となくわかるんだよ!!」

「別に無傷なんだし・・・」

「・・・あぁ・・・って、納得できるか!!」

さて一通りコント(?)も終わったことだし、何事か聞いてみるか。

「んで?そんなに慌ててどうしたよ」

「あ、うん。実はさ・・・」

間宮の話をまとめるとこういう事らしい。

今日、間宮のクラスには転校生が来た。まぁ、それはみんなが知っているから良い。が、ここで問題が発生した。この転校生がお嬢様な上にかなりの美少女。当然、男子連中が黙っているはずがない。そして、その話は半日でおよそ全校に知れ渡ってしまう。誰が広めたか知らないが、これがいけなかった。その話を聞きつけた男子と言う男子が、昼食を一緒にとらないか、とお誘いして来るものでまともにご飯が食べられない。見かねた間宮がその子の手を引っ張って、ここまで連れてきたというわけらしい。

「ふ〜ん・・・それで?その子は?」

「あ、あの・・・。も、申し遅れました。この度、この高校に転校してきた神宮寺結衣(じんぐうじゆい)と申します。以後、よろしくお願いしまう」

あ、噛んだ。

『・・・・・・』

何ともいえない沈黙が降りる。

これはいけない。相手が必死なもんだから、笑い飛ばせないし、フォローするのにもタイミングがつかめない上に、最後で噛むんだものスルーもできない。

だが、さすがはバカ。この空気を見事にぶち壊してくれる。

「来たよ、俺の春!!!!!」

そういうと同時にその女の子へ突撃。

「え、え、えぇ??」

戸惑う彼女に、

「僕とお付きあ・・・うごほっ!?」

告白しようとして、間宮に鳩尾への痛烈なパンチを食らっていた。

「き、貴様・・・また人の恋路を・・・」

「・・・うるさい、人類の敵」

「!!!」

ドサッ、と心身共にぼろぼろになった裕二が床に崩れ落ちるが誰も手を貸そうとはせず、

「それで、この子も仲間に入れてあげれないかな?別に嫌って言うなら、他を当たるんだけど・・・」

「ふむ、まぁ確かにここの連中のそばにいれば、まずそんなことにはならんだろうな。我々相手につっこんでくる奴など学園には居るまい。・・・私は良いと思うが」

「ありがとうございます、先輩」

「しかし、他の連中は知らんぞ?」

「別にとくに断る理由はありませんよ」

「私もリズに同じく」

「高瀬達が良いならいいだろう」

「俺もニノと同意見〜」

「うん、ありがとう。みんな」

「ありがとうございます」

いくらか緊張がほどけたのか、今度は噛まずにそういう神宮寺さん。

そこで傍観していた俺に視線が集まる。

「・・・まだ、この場におけるリーダー格の承認を得てないんだけど・・・?」

「は?リーダー?俺が?」

みんなが頷く。

「会長じゃないのかよ」

「もともと、この集まり自体、君が始めたと言っても良いくらいだろう?なら君がリーダーに適任だ」

「はぁ・・・」

なんかそれっぽいこと言って、全責任を俺に押しつけた気がするんだが・・・。まぁいいか。

「・・・別に良いよ。今更、一人増えても構わんさ。ここに寝てるアホは無論のこと、俺たちは歓迎するぜ。ようこそ、神宮寺」

「いきなり呼び捨てですの・・・」

「うるせぇな、もう友達なんだからいいだろ?それとリズ、口調戻ってんぞ」

「う・・・」

何かいきなり突っかかってきたリズにそう返す。

「まぁ、ともかく全員一致で歓迎ってことでいいんだね?」

そう高瀬が尋ねてくる。

「おう」

「さすが、甲」

「ありがとうございます、・・・えぇっと」

「あぁ、自己紹介まだだったな。俺は鮎川 甲。呼び方は何でも良い。一応、生徒会の会計だ」

「俺は、二ノ宮 謙吾だ」

「藤巻 春雨だよ」

「・・・んで、転がってるのは小野 裕二」

「私は生徒会長の一ノ瀬 葵だ」

「私、高瀬 穂香っていうんだ。穂香って呼んでね」

「私は、リーズリット・エル・ラバーニャと言います。どうぞ気軽にリズと呼んでくださいね」

「あ、あぅ。ご、ご丁寧にどうも。よ、よろしくお願いします」

「一通り自己紹介が終わったところで、飯にしようぜ。腹減ったし、時間なくなっちまう」

とりあえず昼食をとることに。席の順番はいつも通り、会長席には会長、その左前に俺、そこから反時計回りにリズ、ハル、高瀬、間宮、祐二、ニノ、そして新しく来た神宮寺さん。

「にしても、すっかり大所帯になっちまったなぁ・・・」

「そだね〜。初めは男子四人だからね」

「・・・それもこれも、祐二のせいだがな」

「う、悪かったな。でも、女の子もいっぱい入ってきたんだし、文句無いだろ?」

お前のそういうナンパなところが、追われる原因なんだよ。いい加減気付け。まぁ、確かに本音としては美少女と呼べる奴らと一緒に居るんだから、嬉しいっちゃあ嬉しいが・・・。それとこれとは別だろうが。

「別に・・・」

とまぁ、本音は語らないがね。

「僕もあまり興味ないなぁ・・・」

「・・・お前だけだ、祐二」

他二人にも突っぱねられた祐二は

「・・・く、くっそ〜〜!!!お前等それでも男かよ!」

『・・・男だが?(だけど?)』

う、うわぁぁぁぁぁああん、ちきしょ〜。

とか言いながら、机に突っ伏して嘘泣きをしている。

「・・・いつもながら、一人だけ噛み合わないわね」

「半分くらい、嘘だと思うよ?」

「え?じゃあ、じゃあ、ちゃんと女の子に興味あるって事?」

「ふん、そうだろうな。特に甲君はそうだろうな」

『ふ、ふ〜ん。そ、そうなんだ・・・』

ん?何をこそこそと喋ってるんだ?

「しかし、残念ながら甲君はすでに私にメロメロさ。放課後残って甲斐甲斐しく働いてくれるからな」

「・・・ふ〜ん、そうですの」

「・・・あははっ」

「・・・へぇ〜・・・」

「あ、あの皆さん・・・?」

む!なんだ!この殺気は!?もの凄く嫌な予感がする。何かとてつもない勘違いをされている気がs・・・。

ガシッ!!

そこまで考えたところで、突然背後から肩をつかまれた。そして、恐る恐る後ろを振り向くと

「「「・・・(にこぉ)」」」

般若がいた。

やばい、これは閻魔もびっくり尻尾巻いて逃げ出すぜ。うむ、もしくは悪魔でも・・・。

「「「ちょっと、外で話、詳しく聞こうかしら・・・」」」

良いかも・・・・。

とか、そんなこと考えてる暇なんかありはしないっつーか

「か、会長!貴方何いったんですか!!」

思いっきりにやにやしながらこっちを見る会長に、三人に引きずられながら言うと

「何も?」

なわけねーでしょうよ!!

ガラガラガラ、ガラガラガラ、ピシャ。

「はぁ!?じゃあ!こいつらは、なんでこんな・・・ってちょ!まっ・・・ぐお!?え?いや、それは流石に洒落になんないよ?うわっ、ちょ・・・・・・アーーーーーーーッ!!」

扉の閉まる音とほぼ同時に、全校に可哀想な少年の断末魔が響いたとさ。

どうも、何とまさかの三作同時連載

甲「バカじゃないのか?」

自覚はしてるよ

甲「なおさらやばいだろ・・・」

うん、せめてどっちかのプロットが完璧ならね

甲「だめなのか?」

う~ん、何というか・・・つなげづらいからなぁ・・・

甲「想像するエンディングに?」

うん

だから、異世界放浪記では試験的にやってみようかと思ってる

甲「何を?」

うん、たまに外伝的なものを挟む

甲「まぁ、確かに今まではなかったけど」

その代わりに後書きみたいな感じだったしね

甲「それに、何か後書き書くと読む人増えてたしな」

・・・うん、後書きに定評?のある人だから

まぁ、そんな感じだね

甲「じゃあしばらくは、これ一本?」

うん完結はいつになるかまだ未定だけど

甲「エンディングは用意してあると?」

うむ

甲「そうか、んで?次回の後書きはキャラ紹介になるのか?」

察しがいいな

甲「どこかで言ってたじゃん」

うんまぁ、・・・いいか。じゃ、次回は・・・定期は金曜、突発的に上げる時もありますがよろしく

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