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元弓兵は帰れない。  作者: 田上 祐司
第一章 炎と灰の戦い
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第56話

「むがっ!?」


 背後から忍びよったズウォレス兵が口を塞ぎながら手にした長剣でベルトムント兵の首筋を切る。


 あとはぼたぼたと滴り落ちる真っ赤な鮮血とバタバタと暴れるのを暫く我慢すれば、立派な死体の出来上がりだ。


「よし、上にでるぞ。一気に橋の所まで走れ。橋を動かす装置があるからそれを破壊するんだ」


 フロリーナ曰く、この先が終着点らしい。


 橋の前で捕虜の殺害を行って気を引いているが、それでも敵の数は多いはず。


 これまで以上の注意が必要だ。






「ズウォレス兵だ!!」


「いつの間にこんな所まで!? 抜剣しろ!」


 階段を登り、城壁の上へと躍り出たフロリーナ率いるズウォレス兵。


 気付かれるのとほぼ同時、彼等は勢いに任せてベルトムント兵に斬りかかった。


 ベルトムント兵の殆どが弓で武装していた為か腰の長剣を抜く手間が彼等には必要だった。


 だがその手間が命取りになる。


「おのーー」


 体重をのせての刺突。


 先程までの隠密行動はどこへやら、剣戟ひびく戯曲のような状況へと変貌した。


 そして城壁の上の兵士達も、フロリーナ達が想定していたより数は少ない。


「数は同じくらいだ。やれ!」


 襲いかかってくる兵士達をさばきながら、前進するシセル達。


 目の前にようやく橋をつなぐ鎖を巻き上げる装置が見えてきた


 ーークソが、どうにも長剣は苦手だ。


 力任せに剣をふるいながら、シセルは心の中で毒づく。


 やはり弓以外の武器は苦手だった。


 そうして歯噛みしていると、あるものが目にはいる。


 死体と化したベルトムント兵に握られている短弓だ。


「……たまにはいいか」


 こんな短い弓を使うなどシセルからすれば屈辱でしかないが、使いなれない武器よりはましだ。


 そう思ってシセルは弓と……死体のそばにある血の付いた矢筒を拾い上げた。


「おいシセル! 手が足りんぞ! 早く剣をーー」


「どいてろ!」


 言うが早いか、シセルはベルトムント兵目掛けて矢を射かける。


 風切り音と共に飛来したその矢は、夜の闇の中でも過たず敵の脳天を撃ち抜いた。


「危ないだろうが!」


 憤慨するフロリーナをよそに、シセルは次の矢をつがえる。


「早く装置を壊せ! それか下げろ!」


「言われなくてもやるさ!」


 ズウォレス兵も5人のうち3人が負傷しているものの既に装置の前に敵は3人しか居ない。


 あとは残りを始末して橋をおろすだけだ。


「最後だ! やれ!」


「おおっ!!」


 最後の一人はズウォレス兵が斬り殺した。


 夜の闇の中であるため表情を見ることは叶わないが、きっと悔しがっていることだろう。


「よし! 早くおろせ!」


 フロリーナの作戦が上手くいったのを感じたのだろう。


 橋の前で捕虜を盾に待機するズウォレス兵達から歓声が上がった。



 





 

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