表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元弓兵は帰れない。  作者: 田上 祐司
第一章 炎と灰の戦い
26/201

第26話

「追撃の手を緩めるな! 沿岸に追い詰めて押し潰せ!!」


 木の上で矢を放ちながらブラームが大声でそう叫んだ。


 盾を構えたまま走るベルトムント軍ではあったが焦っている為に行きにかからなかった罠を踏んで負傷者を増やしていた。


「負傷兵は後ろに下がれ! 槍兵前に出るぞ!」


 矢筒の中身が空になったブラームはそう叫ぶと木の上から飛び降り槍を構えた。


 木の棒を削って穂先を焼いて固くしただけの槍だが、当てられれば十分殺傷力がある。


 ブラームは先頭に立ち他のズウォレス兵を鼓舞しながら槍を振るう。


 盾の隙間に見える足を突き刺し、逃げ遅れ地面に倒れたベルトムント兵を背中から突き刺して止めを刺す。


 立ち向かってくるベルトムント兵も勿論居たがそんな勇敢な兵士は複数人に囲まれ倒される。

 

 負傷するズウォレス兵もいたもののほぼ一方的にズウォレス軍が追撃していた。


「シセルは見えるか!?」


「いいえ見えません!」


「分かった!」


 ーー死ぬなよ、シセル。


 心の中で姿の見えないシセルに祈りを捧げた後、ブラームは再び槍を全力で振るいだした。






「無事な矢は……7本か」


 シセルのいる海岸は既に人気は無く彼は射殺した死体から矢を含め使えそうな物を物色していた。


 矢羽根が取れていたり途中で折れたり、または矢尻が消えていたりするものを除けば使える矢は少ない。


 そして物色しながら戦闘中であるにも関わらず、シセルは死体の持っている槍や剣を見て感心した。


 ーー全部鉄で出来てる。これだけの人数の槍や剣を全部鉄で作るなんてな。


 シセル達の国では槍の穂先や剣を作る際、主に青銅を使う。


 鉄を作れないわけではないが炭の消費が激しいからだ。


「……いかんいかん。つい集中してしまった」


 薬の効いているシセルは今のところ吐き気も何もないがそれもいつまで続くか分からない。


 早く戦闘に戻らなければ……


「一本貰っていくぞ」


 結局長剣一本だけ腰に差したシセル。


 髪にくっつけた海藻やカキ殻を取り、元の黒髪をさらけ出した。


 弓を握る手にも自然と力が入る。


 ーー待っていてくれよ。ブラーム。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ