第44話
猛然と突き進んでくるシェフィール軍がズウォレス軍の構える弓の射程圏内に入った時、攻撃は始まった。
後方から集まってきたシェフィール軍達だったが数で勝ってはいるものの何も考えず正面からの突撃を敢行したため犠牲者だけが増えていく。
「怯むな! ズウォレスの豚共を殺せ!」
旗を掲げながら遮二無二突っ込んでくる彼らに対し、シセル達ズウォレス軍は容赦なく頭上から矢を降らせ続ける。
次々と矢を受け倒れるシェフィール兵達、もはや集団自決ともとれる彼等の突撃に、シセルは無言で矢を放ち続けた。
そうしなければ摺りつぶされてこちらがやられるからと。
「シセル! 生きてたか!」
「ジジイ!」
手が足りないと思っていた時だった。
今までどこに居たのか、老人が弓を手にシセルの隣に現れたのである。
シセルが嫌悪してやまない短い弓を手に。
「もうちょっとしのげ、なにすぐに終わる」
老人は矢を放ちながらそう言った。
「そんな保証がどこにあるっていうんだ!?」
「奴らの右側面を見ろ!」
矢を放ちながら、シセルは老人の言った通りシェフィール軍の右側面へと目を向ける。
そこにいたのは……
「久しぶりの戦いだ。好きなだけ食らいつくせ!」
600程だろうか?
盾と槍を携えた集団がシェフィール軍の右側面より現れ、突撃していく。
彼らの先頭に立っているのは、指の欠けた白髪の女、トルデリーゼ。
ベルトムント人で構成された通称『人狩り隊』
彼らが突撃しているのだ、まっすぐに、シェフィール軍に向かって。
「あいつ……」
「一旦弓を止めろ。槍兵を突撃させるぞ」
槍をかかげブラームが叫ぶ、槍兵達ヨ突撃せよと。
向かい来るシェフィール軍へ向かって真正面からズウォレス軍は突撃を敢行した。
先に接触していたトルデリーゼ率いる人狩り隊のお陰で混乱状態にあったシェフィール軍。
そこに駄目押しとばかりにズウォレス軍の槍兵による突撃。
シェフィール軍は総崩れの様相を呈した。
「シセル! お前は指揮官狩りに行け!」
「言われなくても分かってる」
言いながらシセルと老人は走った。
弓を引き、逃げる兵士の中に混じった指揮官と思しき人間に向かって片っ端から矢を射かける。
──ああクソ……結局はこうなったのか。
己の無力さを噛みしめながら、次々と狩っていく。
間もなく戦いは終結へと向かっていった。




