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元弓兵は帰れない。  作者: 田上 祐司
第一章 炎と灰の戦い
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第18話

 夕暮れ時、メラント島の船着き場にて……


「我がズウォレス軍同志、並びにズウォレス国民諸君」


 神妙な面持ちでフロリーナは集まったズウォレス人達に向かって語りかける。


「ただ一つ、ただ一つの確固たる答えだけが必要だ。うわべだけの格好でもなければ抽象的な行動でもない。我らが渇望する恒久的な王国が! 諸君が私を信任し我が国民の代弁者として地位と権限を与えてくれるのならば私はこう宣言しよう。私の口から紡がれる言葉がズウォレス王国の民の言葉であると! 再び規律正しい国民となるのだ! 再び勤勉で活気あふれる国民となるのだ! 再び我が国だけで何事も成し遂げるようになるのだ! 我々は5年前、奴ら劣等民族にすべてを奪われた……仕事も、土地も、文化も、そして誇りすらもだ! この5年間で我々が舐めてきた辛酸は最早筆舌に尽くしがたいものだ! だがかつて諸君らはズウォレス国民が世界中のどの民族よりも恥ずべき点がないと証明して見せていた。我々の行動がいかに賞賛すべきものであるか、いかに崇高な計画に携わっていることか、最も素晴らしい肥沃な土地を作り、大規模な農場を開拓している。発明も多種多様でとてつもない数の建造物も開発している! 多くの分野で新たな物が作られていた!! ズウォレス国民よ!! 諸君の意見を聞かせてほしい。諸君は先のホルウェの戦いにおいて勝利を収めた、彼らの剣はもはや地に堕ちた! もう諸君らは敗者には属さない! 奴等は我々を裁くことなどできはしない! 奴等が再び我々を屈服させることは出来ない! 諸君のみに私は従属するのだ! もし諸君が、私の行いが正しいと思うならば、たゆまない努力で懸命に働いてきたと思うならば、諸君の為に立ち上がり時間を有効に使ってきたと思うならば……是非、再びズウォレス王国の旗を翻すことに今後も力を貸して欲しい! 私が諸君の為に立ち上がったように!」


 天まで届けと言わんばかりの彼女の言葉に、その場に居る誰もが熱狂し惜しみ無い拍手を彼女へと送った。


 失われて久しい誇りが、活力が、彼女の言葉で漲ってくる。


 彼女の言葉は、ズウォレス国民の闘志に火を付けるに十分な力を持っていた。


 


 


 

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― 新着の感想 ―
[良い点] フロリーナのアジ演説格好いい。 これはリーダーになれる器だ!!
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