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元弓兵は帰れない。  作者: 田上 祐司
第三章 薬から始まる侵攻
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第20話

 1週間後、フェーンにある建物の一室にて黒布隊が送ってきたシェフィールの情報を聞きブラームはズウォレス軍に指示を与え動き出していた。


「例のアレを片っ端からシェフィールに送り込め! まずは作戦の第一段階だ」


 同時刻、報告を受けたブラームの指示で大量の木箱を載せた荷車がホルウェの港へと向かった。


 中身は大量の大麻と芥子、シェフィールの力を削ぐために送りつけるのだ。


 またこれらの物に加えブラームが発注したものの中に大量の偽金もあった。


 シェフィールで出回っている銀貨に似せて作ったそれは、銀などほぼ含まれてはいない。


 これもシェフィールの力を削ぐため、ブラームが打ち出した策の一つだ。


「物資の量は当初の予定よりも少ないですが良いのですか?」


 そばに控えていたズウォレス兵がおずおずとブラームに聞いてきた。


「そうも言ってられんのでな。奴さんやけくそになってるんだよ」


「奴さん?」


「エルフィー様さ」


 ブラームはニヤニヤしながら呟く、今にも踊りだしかねないほど上機嫌だったが、その理由はなんとなくズウォレス兵にも理解できた。


「あの国はおかしなことに世襲制じゃなくて投票で国の代表が決まるんだがな……どうにもあいつはシェフィールの頂点を目指してるらしい。野心家の貴族様ってこった」


 皮肉たっぷりにブラームはそう言った。


「けど今回占領したステレンで天然痘が流行って、それに対して有効な策を行使できなかったことが国民からの人気を下げてる。自分の人気を上げるために情報を封鎖せず垂れ流しにしたのが仇になったな。このままいけば頂点になる道は遠のくだろう」


「となるとシェフィールはまだまだローガン・エイマースが現役ですか」


「いや、どうやらそうはいかんらしい」


 ブラームはそう言ってズウォレス兵に黒布隊の報告書を読ませた。


 そしてみるみるうちに顔色を変えていく、なぜなのか?


 理由は報告書に書いてある内容なのは言うまでもない。


「ローガン・エイマースが暗殺未遂!?」


「そうだ、おまけに使われたのはズウォレス兵が良く使う長弓。どう見てもズウォレス人じゃないし偽旗作戦をやろうとしてたから黒布隊が阻止したらしいが。殺されるのは時間の問題だ。戦争になるのもな」


 ローガン・エイマース、シェフィール公国の公爵で、国の代表。


 そんな人間を暗殺して、あまつさえ戦争の口実にしようとしている。


 その事実がズウォレス兵を驚かせる。


「俺達が次にやるのは情報の操作、そして不安定化工作、そんでもってそれが済んだら焦土作戦だ。フロリーナの為にも必ずこの国を元の姿にしてやるぞ」


 

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