第16話
「ええいクソ! 金の採掘もままならんとは! 収入よりも支出の方が勝っているではないか! このままでは……」
「落ち着いてくださいエルフィー様」
シェフィール公国、エルフィーの館にて。
エルフィーは机に並べられた地図と報告書を睨みつけながら怒鳴りに怒鳴る。
「いかがしましょう? 公爵様に報告された方が……」
「できるか! 恥もいいところだ。それに今は他の心配もある。私にとって大事な局面なのだ」
シェフィールは民による選挙で国の代表が決まる。
そして現在シェフィールは次の代表を選ぶ時期に近づいている。
現在の公爵であるローガンの人気は落ちており、もう少しでエルフィーにも手が届くという状態にある。
そんな中で天然痘やら金の問題が発覚しようものなら人気は当然落ちる。
エルフィーが玉座に座るという夢も潰えてしまう。
「やはりここは例の作戦を……」
「できるならやりたくはなかったが。致し方ない。役者は整っているのか?」
「手配はすんでいます。ご命令さえ頂ければ」
机に突っ伏しながら、エルフィーは考える。
「よし、だがやるのはいよいよ最後の時だ。今はそのままとどめておけ」
「承知しました」
同時刻、ホルウェ港にて……
「ん? なんだこりゃ大麻か? それもこんなに」
木箱の中を覗く商人が1人。
「ズウォレスの奴等から通常の半分以下で仕入れたのさ。これをちょい安値で売りさばけば良い金になる」
「おい、流石にズウォレス人と接触するのはまずいだろ」
「良いだろ別に。大丈夫バレやしないさ」
旧ズウォレス領であるホルウェ港では当たり前ではあるがズウォレス人の影はない。
居るのはシェフィールからの商人と、船乗り達だ。
そんな彼等だが現在はシェフィールに向かう商船に目一杯木箱を積んでいる。
中身はズウォレスから仕入れた大麻と芥子だ。
「今天然痘がどこでも流行ってるからな。需要は高いぞ」
「流石にバレるとまずいだろうが……いいねぇ、俺も小遣い稼ぎにいくらか仕入れて捌こうかな」
「やったらいいさ。今ならステレンの金もある、売れるぞ」
欲に目が眩んだ彼等シェフィールの商人達は次々とズウォレスがばら蒔いた薬に手を出し始めた。
それが自分の国を破滅させるとも知らずに。




