第47話
撤退を完了させたシセル含むズウォレス軍の弓兵達。
兵士達は半分以下の14名まで数を減らしていた。
「今はジジイが何かやろうとしてる。何をするのかは……分らんが」
全力疾走した後で息も絶え絶えになりながら吐き気を抑えながら水を飲むシセル。
逃げ帰ってきた兵士達も背中に刺さった矢を仲間に抜いてもらったり負傷した仲間を担いだりして既に疲労困憊、フロリーナも報告を聞いて残念そうにしていた。
現在はバリスタ、投石機の活躍もありなんとか北の森で押し止められているシェフィール軍だが……いったいどこまで持つかはだれにも分からない。
「正面からもいずれ来るぞ。向こうに時間を与えれば後ろからも完全に包囲されることだって十分にありえる」
「読まれたか……だったら次は……」
ぶつぶつと爪を噛みながらフロリーナは考え込む。
良い案が浮かぶような見た目ではない。
「おい、森を見ろなんか煙が出始めたぞ……」
「はっ?」
仲間の兵士に促されシセルの青い目が北の森に向けられる。
勢いよく煙を吐き出す森が見えた。
「放火か? だが今更その程度で……」
続きを言おうとしたところで、シセルは森の方角から漂ってくる鼻につく刺激臭に気が付いた。
「ッ!! おいフロリーナ! フェーンから全員撤退させろ!」
その場にいた全員がシセルに視線を向けた。
「馬鹿言うな、ここから逃げたら我々の拠点になるような場所がーー」
「毒だ! ジジイが森の中で撒き散らしやがった!」
風が徐々に北の森の中に変わっていく中、ズウォレス軍の投石機の攻撃から身を守るため森の中に隠れ潜んだシェフィール軍の兵士達は異変を感じていた。
「ごっほごっほ……クソが、煙でいぶすつもりだ」
「なんかおかしくねぇか? ただの煙じゃないだろ。鼻まで痛くなってきた。目も痛い」
「喉が痛ぇ、おいどうするよ。卵が腐ったような臭いがするぞ」
逃げるか、それとも突撃するか……
シェフィール兵は選択を迫られていた。
「ごっほ……ごっほごっほ」
咳が止まらない。
「今突撃しても岩の雨の中を突っ切らなきゃならん、このまま待つぞ」
「おいおい冗談だろ? こんな最悪な臭いを嗅ぎながら居ろってのか?」
だんだんイライラしてきた。
「安心しろよ、素敵な仲間達がここにいるじゃないか」
「素敵ねぇ……」




