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最後の1年なのだから  作者: くろは
6/10

5話

ゴールデンウィークも気がついたら終わり、学生にとって憂鬱な時間が近づいてきていた。

僕は今大雅と一緒に教室に残って教科書と睨めっこしている。


「なーんで受験生にもなって中間テストを受けなきゃならないのかね?大雅くん」


そう、中間テストである。


「別に受験対策してたら中間テストくらい問題ないだろ」

「いつまでも睨めっこしてねぇで、どっか教えて欲しいとこあるんだろ?」


実はこいつちゃっかり頭いいのである。


(運動バカみたいな見た目なのに・・・)


「おいなんか失礼なこと考えてるだろ」


「いや全く」


(・・・変に勘が鋭いやつだ)


大雅に教えてもらいつつ中間勉強を進めていると


よく聞く声と共に教室のドアが開いた。


「おーっす、なになに〜中間勉強?」


そこにいたのは大雅の幼馴染の小倉あおいだった。


「おぉあおいか、蓮に勉強教えててな」


「教わっております」

「小倉さんは大丈夫なの?」


「私にかかれば一夜で十分!」


ドヤ顔でピースサインまでされてしまった・・・


「だったら毎回夜中ウチに突撃してくるのをヤメロ」


「そんなことがあるんだ・・・」


視界の端で口笛を吹く仕草をしている小倉さんが見えた。


「いーじゃんいーじゃん!こんな可愛い子が家を訪ねてるんだよ!?」

「恵まれてるとは思わんかね大雅く〜ん!」


誤魔化すように大雅の脇腹を肘で小突きながら

バレないように大雅の反応を伺っているのがわかる。


「ハイハイソウデスネー」


大雅はぶっきらぼうにそう答える。

心なしか小倉さんの表情が暗くなった気がした。


「というかあおいは何しに来たんだよ」


「えっ…あぁちょっと忘れ物しちゃって」

「え~とノートどこに置いたんだっけな~」


そういって小倉さんは自分の机を探し始めた。


「あったあった、それじゃ諸君勉強頑張りたまえよ!」


「もう帰んのか?一緒に勉強していってもいいぜ?」


「ありがたい提案だけど春香またしてるからまた今度ね~」



中川さんの名前が出た瞬間顔に出そうになったのをグッと堪えて

ポーカーフェイスを貫く。


「そうか、じゃあまたな~」


「またね、小倉さん」


大雅に続いて僕も見送る。

小倉さんが教室から出て行ったあと大雅が絡んできた。


「おい、顔にでてんぞ」


バレてた。


「う、うるさい!そんな分かりやすかった!?」


「いや~あおいは気づいてねぇと思うぞ、次は中川もつれてきてもらえるといいな」


意地悪そうな笑いを浮かべながら大雅はいじってくる。


「そういう大雅こそ小倉さんと一緒に帰れなくて残念だったね!」


これまでの仕返しにこちらも負けじと言い返す。


「う、うるせぇいいんだよ俺のことは」


僕の反論は予想外だったのか大雅が早口になる。

そんな言い合いをしながら今日の勉強は終わった。


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「おまたせ~またせちゃってごめーん」


ノートを取りに戻っていたあおいが帰ってきた。


「大丈夫だよ~誰かいたの?」


「うん!大雅と小野寺君が勉強してたから少し話しちゃった…ゴメン!」


小野寺君の名前に反応しかけたが頑張って堪えた。


「あの二人仲いいよね~。今日は何してたの?」


「中間試験の勉強だってさ~、そだ!今度春香も教えに行ってあげたら~?」


ニヤニヤした表情でこっちを見つめてくる。


(小野寺君と連絡とってること話したの間違いだったかなぁ…)


言った時から度々煽ってくる親友に頭を抱える。

でもこれが本心からアタックしろと思っているから言ってるので少しうれしい。


「素直になればいいと思うけどなぁ、恋してるんだって春香は!」


まっすぐすぎるのも困るものだ…

恋というものがわからない私にとってまだ認めることはできない。


「まだそうとは言えないし私自身よくわかってないから…」


「もー!そんなこと言ってると誰かに取られちゃうよ!?」


「あはは…別に元々私のものってわけじゃないよ~」


そうは言いつつ胸に何か突っかかるような感触が生まれた。


(誰かに取られちゃう…か…)



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