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最後の1年なのだから  作者: くろは
5/10

4話

連絡を取り合うようになってから数日たって、4月も終わろうとしている。


「なあ大雅、相談があるんだけどさ…」


放課後、ファミレスでドリンクバーを注文した後真剣な顔で切り出した。


「どうしたんだよそんな真剣な顔して」


「あのな…どうやって中川さんを遊びに誘えばいいと思う?」


大雅はこんな内容だとは思ってなかったのか驚きで飲み物を詰まらせた。


「ゴホッゴホッ…無駄に真剣そうな雰囲気だしやがって!」


「僕にとっては真剣な問題なんだよ!どうすればいいのさ~…」


取ってきたメロンソーダを飲みながら大雅に愚痴る。


「んなこと俺が知るかよ。連絡先もってんならどうとでもなるだろ!」


と大雅はぶっきらぼうに言い放って残ったジュースを飲み始めた。


「なかなか勇気が出なくてさ~…背中を押してくれよ」


「知らん!頑張れ!」


ここまできっぱり言われてしまってはどうしようもない。


「うぅ~~…」


「しかたねぇなぁ、ドリンクバーは俺がおごってやるよ」


「え、まじ!?ありがと~大雅様ぁ~!」


大げさに拝むポーズをしながらペコペコする。


「現金な奴だな…その代わりがんばれよ!」


「はいぃ、ありがとうございますぅ」


わざとらしく下に出ながら二人で笑いあう。


会計が終わって大雅と別れた後、歩きながらどう誘おうか考える。


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(なんだか早く目が覚めちゃったな・・・)


昨日の夜どう誘うか色々考えてたらいつの間にか寝落ちしていたらしく普段より早く目が覚めてしまった。


「まぁ早起きは三文の徳って言うしたまには早く登校するか〜」


今日は大雅と一緒に行く予定もなかったので僕はいつもより早く家を出た。


いつもより早く学校について下駄箱で靴を履き替えていると、後ろから声をかけられた。


「おはよ〜、小野寺くん今日は早いんだね」


予想外の中川さんの登場にびっくりして声を上げそうになった。


「なっ、中川さん!?お、おはよう!」


「どうしたのそんなびっくりして〜、そんな驚かせちゃった?」


「いやごめん、会うなんて思ってなかったからさ」


会えた嬉しさを噛み締めつつ会話を続ける。

高校2年生までの僕からしたらすごい成長だと自分でも思う。


(早起きして本当に徳あったなぁ・・・)


靴を履き替えて一緒にクラスまで向かっていると


「そういえば小野寺くんは進路希望の紙書いた?」


「ん・・・?なんだっけそれ?」


「え!?今日までだよ、早く書かないと今度居残りだよ〜」


「やばい・・・何も書いてなかった・・・」

「中川さんはもう書いたの?」


「うん、私は看護系に行こうと思ってるの」


「すごいなぁもう決まってるなんて、僕も考えなくちゃなぁ」


「まだ人に言ってないから内緒だよ〜?」


と話していると教室についた。


「じゃあ私職員室に用があるから行ってくるね」

「ちゃんと進路希望書いとくんだよ〜」


「はーい、教えてくれてありがとね」


と言って中川さんは荷物を置いて職員室に向かって行った。

僕は進路希望の紙を取り出しどうしたいのかを考えることにした。


(当たり前だけど一緒にいられるのは高校までなんだよな・・・)


卒業まで一年もない。

この気持ちがどんな結末になるかわからないけれど精一杯勇気を出していこう。


そう考えていると始業のチャイムが鳴った。

どうやら時間を忘れるくらい考え込んでたようだ。

いつの間にか中川さんも帰ってきていた。


(あ、結局進路希望書けなかった・・・)

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