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わたしの職は未確定  作者: 間宮冬弥
1/9

始まりの神殿

みなさんこんにちは、そしてこんばんは。

作者の代弁者の紫乃宮綺羅々でぇ~す! かなりしばらくぶりだったけど元気だった!?


あ、言い忘れたけど、ここ前書きだからね。

本編を読みたいひとはさくっと読み飛ばしてね。


突然だけど間宮冬弥さくしゃが値上げえげつねぇ!って嘆いてました。

まぁ実際はかなり食費のやりくりが大変なことになってるけどね。


ちなみに、一番欲しかったPS5の値上げがかなり応えてるみたい。


ポイントをためて値上げ分をまかなうしかねぇっ言ってました。


これだと買えるのがいつになるかわからないね。あはは!

では、前書きはこの辺にして『わたしの職は未確定』をお楽しみください! それではっ!


あ、それと、このまえがきとあとがきだけどぉ、第1話と最終話のみとなるからね。ごめんね。

 ただ、コンビニを出ただけだった。コンビニで買い物をしただけだった。


 だけど、目の前に広がるコレはなんだろう? この景色? 風景はなんだろう?


 わたしの知らない風景が目の前に広がっている。


「うそ……なんで……」

 さっきまで入っていたコンビニがない……綺麗さっぱりと消えている。文字通りに消えている。まるでそこにコンビニなんてなかったかのように当たり前に木々が生えている。


「ここって……なんだろう……?」

 そんな疑問の言葉しか出てこない。それだけに意味が分からない。イミフ状態。


 空はいつも通りの青い空と白い雲。 

 太陽はいつも通りに空に浮いて、陽光を降り落とす。

 少し寒い気がするけど風は心地よく吹いている。

 

 穏やかな日常。


 でも、違う。穏やかな日常に近いけど……決定的に違う。それはわたしでもわかる。


 見慣れない大きな木々に覆われた舗装されていない地面。例えるなら森の中。


 ただ道を歩いているだけだった。学校に向かうために。歩いていただけだった。

 

 いつも通りに起きて、いつも通りに制服を来て髪を整えて、いつも通りに朝食を食べて。いつも通りにカバンを肩にかけて家を出た。

 強いていつもと違うと、言うならば途中にお菓子を買うために新しくできたコンビニに入ったくらいだ。


 そう、極めて『いつも通り』だった。いつも通りのはずだった。あのコンビニから出るまでは。


「知らない間に……木を植えた……なんて事はないよね……」

 などと、呟いてみる。そんな事はないってことはこの木の大きさを見ればわかるっての。当たり前だよね。もしそうだったら成長が早すぎし……町並みが変わりすぎているもん!


 って、いうかもう全然違うし!


「寒いしぃ……」

 風に揺られて、申し訳ない程度に『環境にやさいい』と印刷してあるコンビニ袋がカサカサと揺れる。七月のはずなのに寒い……なんで?


 アテもなくただまっずぐに森の中を歩く。


 歩いても歩いてもただ、ただ木があるだけ。この先にはなにもあるようには見えない。


「あっ……」


 まっすぐの道を歩いて辿り着いたのは意味も分からない。ギリシャとかにある『神殿』風の建物に辿り着いていた。


「なんで……いきなり海外に来ちゃった……?」


 そう、問わずにはいられない。でももちろんその質問には誰も答えてくれない。だってわたしひとりしかいないんだから。


 おもむろにカバンからスマホを取り見る。ディスプレイはアプリアイコンで埋まっていて、申し訳ない程度に時刻が時を刻んでいる。アンテナはひとつも立っていない。無情にも『圏外』と表示されている。Wi-Fiの扇マークもバツが表示されている。


 それはつまりスマホは電波を掴んでいない。イコール誰とも連絡が取れない事を意味している。まぁ……当然だよね。はぁ……


 一緒に登校していた友達はいない。……もう先に学校に行ってる。そしてわたしはここにひとりだけ。


「なんで……ううっ……」

 どうしよう……涙が出てきた。これからの事を思うと怖くてしょうがない。このまま訳の分からないところで過ごさないといけないかもしれない事実を受け止めることができない……


 脳内が状況を理解することができない。ただ、ただ、呆然と目の前の神殿を見て涙を流しているわたしがいる。もう帰れないかも知れないという事実がわたしをするどく刺してくる。恐怖に心が支配されていく……


『帰りたい……』と呟いても帰れない……ここがどこかもわかからないし家の方角すらわからない。


「……入ってみよう」

 流れた涙を制服の袖で拭いて目の前に神殿に入ってみる。泣いたってしょうがない。もしかしたらここなら戻れる手段があるかもしれないし。


 そうだ。『どうしよう』と悩むんじゃなくて『これからどうしよう』と前向きに悩むんだ……!


「前向きに……前向きに……」

 自分に言い聞かせて神殿とおもしき建物の中に……勇気をもって踏み込んだ。


 ◆


「広い……」


 神殿の大きな扉? を開けて中に入るとそこは広大な広間になっていた。


 中は暗くなく光が注がれている。


「不思議……あれって電球じゃないよね」


 柱を支えるエンボスの円柱には大きな水晶の球体。その中に光の玉……みたいなのが入っててそれが神殿全体を照らしている。その光景はまるで氷が光を反射してるみたいでとても綺麗だけど……なんとなく寒い気分にさせる……


「もったいないなぁ……」

 そんなつぶやきをこぼす。もっと見せ方を考えればすごく綺麗な感じの神殿になるのに。


 神殿内の通路の左右には大きな燭台って言うのかな? 火をつけるような装置が数個置かれている。


 ちなみに、火は灯っていない。


 通路を進む。


 そして、神殿内の最奥には神々しく装飾された扉がひとつ。


「誰ですか!?!」

「ひゃ!」


 その扉に手を触れた瞬間! 後ろからの声で振り向く!


「すいません! ごめんなさい!! その……道に迷って! その、あの!」

「あなた……ここに入れたのですか!?」

「はい?」

「入れたのですか!?」

「えっと……はい。普通に入れましたけど……?」

「じゃあ見えるのですね!? どれくらい!?」

「ど、どのくらい!?……まぁ、はっきりと……その見えますけど……」


 たぶんここって言ったから神殿の事かな……たぶんそうだよね……?


「なんと!」

 そのひと……っていうか、よく見るとなんか海外の映画に出てくる結婚式を取り仕切る神父さんみたいな格好だな……白い長いローブを着てるし胸には十字架のネックレス……それに縦に長い帽子には大きく十字架がかかれてるし……


「神殿が見えるのですね!」

「はい! 見えます! あと……近いです!」

「あ、これは失礼しました!」

 肩を捕まれて顔を寄せられ怒鳴られた……あうぅ……帰りたいよぉ……


「職業はなんです!」

「はい?」

「あなたの持つ職業です!」

「し、職業……?」

「そうです。今あなたが手にしている職業です!」

「えっと……」

 必死で聞いてる神父さん? の言葉を読みとるなら『今わたしが就いている職業は』と聞いてきてると思うんだけど……


「えっと……無職ですけど……」

「無職……そんなはずはない! あなたはここが見えいる! そんなはずはないんです!」

 必死で訴えかけてきている神父さん……アルバイトは夏休みしかしてないし……ホントに無職なんだけど……


「えっと……その……ホントにその無職……」

「いいえ! あなたは何かの職に就いているはずです!」

「ううっ……」

 そう言われてもなぁ……


「わたしの職業……」

 今わたしが就いている職業……職業……わたしが……就いている……?


 ふと、セーラースカーフが目に入る。


「わたしの職業は……『女子高生』かな?」

「ジョシコウセイ……? ジョシコウセイとはなんですか?」

「えっと……」

 なんて説明すればいいんだろう…… 改めて『女子高生』ってなにって聞かれると意外と説明に困るな……学生でいいのかな?


「たぶんその、先生から色々と教えてもらって勉強をするひとかな……」

「先生……勉強をするとは?!」

「えっと……」


 意外とグイグイとくるな。このひと。でもなんて説明していいかわんかんないよ……いい説明言葉を探しているけど……何にも思いつかないよ!? どうしよう!


「勉強するとは、いったい何なのですか!?」

 おふぅ……グイグイくるよぉ……迫ってくるよぉ……このひとぉ……


「えっと……その『師ともに知識と戦うもの』かな……?」

 みさきが聞いたら絶対『なにそれ! ウケるんだけどぉ!』ってツッコミが来そう……


「知識と……なるほど! 魔法使いのお弟子さんですか!」

「魔法使いとは……違うけど……う〜ん」

「では、なんなのですか!?」

「う〜ん……せ……」

 生徒とか学生っていったらまた、グイグイと説明を求められる気がする。いや絶対にくるよこのひとは!


「せ、正確には弟子じゃなくて……魔法使いを……えっと……目指す魔術師? みたいな?」

「なるほど!」

「わ、わかっていただけてよかったです!」

 ホントによかった! これ以上グイグイこられたら心が折れそうだったよ! ふぅ〜〜〜


「では、メモリを見せてもらえますか」

「メモリ?」

「はい!」

「えっと……」

 メモリ? えっ、メモリってなに? メモリなんてモノは持ってませんけど? わたし。


「もったいぶらずに。さあ!」

 どうしよう……すごく目をキラキラさせてこっちを見てるよぉ……なんかを期待させてる感じの目だよこれぇ……


「その……期待させておいてその……言いづらいんですけど……」

「はい?」

 なんか……勝手に期待して勝手に落ち込みそうだけど……この言葉を言わないと先に進めなそうだし……よ、よし!


「メモリって……なんですか?」

「えっ……」

 ううっ……すごく顔が凍り付いている……ポカンとしてるよぉ……絶対落胆してるよぉ、このひと……


 こーしてわたしは、どこかもわからない神殿でその神父みたいなひとにこれから色々と説明しないといけない事を思いつつ『すいまっせん!』と大声で謝ったのだった。



 ◆



「その、ウソついて……すいませんでした!」

「いえいえ、こちらも事情を聞かずに色々と問いつめるような事をして申し訳ございません」

 お互いに頭をあげて謝って、とりあえず事なき事を得た。


 『すいまっせん!』と大声で謝った後にわたしは、これまでのいきさつを説明した。コンビニから出たら知らない森だったこと。メモリなんてモノは知らないこと。


 そして、わたしがここで知ったこと。


 ここはやっぱり、わたしが知っている場所ではない。……ここは『セフィーリア』という名前の世界。そしてこの神殿は『ハロウワイズ』という名前に神殿ってこと。


 つまり、異世界って所に来てしまったって事。


 最後に知ったのは……わたしが元の世界に戻る方法はないって事だ。


 これが一番響いたな……心にグサっと刺さるほど響いたし……痛いほど効いた。ショックだった。それで……色々な想いがこみ上げてきて……


「ど、どうされたのですか……!?」


 わたしは……目から大粒の滴を垂らして……大声で泣いちゃった。


 ◆


「ここに……その『こんびに』という建物があったのですか?」

「はい……たぶん……」


 神父さんの話だとわたしは数十分ぐらい泣いていたらしい……なんとか泣きやんだわたしは放心状態でなにを言っても返事すらしなかったそう。それほど……戻れない事がショックだったって事か……


 で、神父さんの提案でわたしがこの世界で一番最初にいた場所に行ってみようって事になった。


 来てみてもそこは相変わらず、ただ、草が生えただけの平地。コンビニがあった形跡は微塵もない。


「転移魔法の魔力も感じませんし……土にも魔術的細工は施されていませんね」

 地面を触って、座って土をひとつかみ持って何かのまりょくってのを確かめている。魔力って……あの魔力? ゲームとかに出てくる? あの魔力なのかな……?


「やっぱり……戻れないんですね……」

「期待させて……申し訳ございません」

「いえ……神父さんは悪くありません。わたしが勝手に期待しただけですから……」

「戻りましょうか……」

「そうですね……」

 お互い……沈痛な想いで神殿へと踵を返すのだった……


 ◆


「あ、あの……」

「はい?」


 徒歩で神殿へと戻る最中。神父さんが申し訳ない表情で話しかけてきた。


「改めての確認なんですけど……」

「なんですか?」


 神父さんの改めて確認したいことは『神殿が見えていますか?』ということだった。


 わたしのこう返す。


 『目に見えているんですから、はっきりと見えていますよ』と。


「では、あなたの職業は……その『じょしこうせい』という職なのですね」

「まぁ、就いている職として認められているなら……そうですね」

「わかりました」


 その後、神殿へと戻るまで沈黙が続いた。


 ◆


「はぁ……」


 日が沈んだ夜。

 セーラー服では少し肌寒い神殿の外。

 わたしは草が覆い茂っている地面に膝を抱え座って空を見上げる。


 下着が見えないようにスカートを直をそうとしたけど……やめた。

 だって、誰もいないのになおしてもしょうがないじゃん。


 だから、抱かえていた膝を崩して、あぐらをかく。この状態では下着が丸見えになっちゃうけど、いいよね。


「星が……くっきり……綺麗だな」


 月明かりが照らす空には、まばらな雲が点々と浮いている。雲の間から見える星はとても綺麗で……こんなはっきりと見える星々生まれて初めてかも。


「おふぅ。寒くなってきた。コート……あるかな?」


 無いモノをねだるわたし。数時間前までは耐えられるくらいの寒さだったのに……今は寒い気温になってる。


「空はどこまでも続くか……私の居た世界(ばしょ)にも続いているのかな……」


 この月明かりが照らす空をどこまでで飛んでいければわたしは、帰れるのかな?


 空に浮かぶ双子月に手を伸ばす。届きはしない。届いたら届いたで、それはそれで大問題だ。


「太陽はひとつだけど……月はふたつ。不思議だな」


 最初は驚いたけど10分くらいじっと見ていると見慣れてきた。


 この世界には『月がふたつある』


 紅と蒼の月が寄り添うように浮かんでいることからこの月は神父さん曰く『双子月』と言うらしい。確かにもっともらしい名前だね。


「はぁ……」


 これからの事を考えてみる。


 ○戻れる方法を探す

 ○この世界で暮らす


 この二択しかないだろう。


 そしてすでに『○戻れる方法を探す』は無理そうだ。自力でなんとか探すっていう事も考えられるけど……それは厳しそうだし……


「はぁ……となると……ここで暮らすしかないのかなぁ……」


 せめてメールでも送れないかといつものクセでスマホ持ってきていた画面を見る。結果は分かっていた。アンテナが立っている所には『圏外』Wi-Fiはバツの表示。もはやスマホはただの精密機器や部品の集合体になってしまっている。


 ダメもとでコネクトを立ち上げて、みさきにメッセージを送ってみても『送信できません』と出てきてメッセージは送れなかった。そして受信も朝にみさきからのメッセージで受信は止まっている。


「帰ろう……」

 スマホをポケットにしまって立ち上がる。


「帰る……違うよね。『戻る』だね」

 ひとりで言葉訂正をして神殿へと戻った。


 ◆


 神殿を出る前に、神父さんのご厚意で部屋を貸してもらえた。2階にある小さい小部屋。小さいけどテーブルとイスがひとつ。それに簡易ながらもベッドも備え付けられていた。


 この小さい部屋が今のわたしの生活空間。テレビもエアコンもない……質素な部屋。


 そんなわたしの部屋に戻る途中。


「……」

 気になる部屋があった。


 神々しく装飾された大きな扉。

 わたしが入ろうとしたときに神父さんに呼び止められて入れなかった部屋。


「なんだろうこの部屋って……」

 気になったので扉に手を触れる。


「ドアノブが無いから……押して開けるのかな……?」

 手を触れてスライドさせてみる。色々とでこぼこがあるけど扉にはドアノブはない。だから扉自体を押して開ける方式だと思う。あくまで思うだけだけど……


「よっ、と!」

 ドアに青い玉みたいな丸いでっぱりがあるのでそこを押して開けようと手に触れた。


「ふぇっ! な、なに!? 勝手に……開いた……よ?」

 手に触れた青く丸いでっぱりに触れた瞬間。青白い強烈な光を放って大きな扉が勝手に開いた。音も無く。


「……勝手に開いたんだから……はいっちゃってもいいよね……」

 誰に断ることなく部屋へ足を踏み込んだ。


 始まりの神殿 完

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