6/15
ルーカス(街で②)
その日の夜
つい、物思いに耽ってしまった。
街での噂が頭から離れない。
ミアにはとても良くしてもらっている。
トカゲの俺に優しく、食事やベッド
足りない物は用意をしてくれた。
きっと、俺だったら助けない。
訳がわからないトカゲなんて。
追い出されない事が不思議だ。
俺にとってミアと過ごす時間は
居心地が良かった。
もちろん最初は距離があった。
けれど、人間の様に歩く事や食事の内容
スプーン等を使える事
入浴も驚かれはしたが受け入れてくれた。
今では何が美味しいとか
魚がいっぱい釣れた事を喜んだり
一緒に掃除をしたり
他わいの無い事が楽しい。
なにより、笑顔が可愛い。
「…だけど」
お人好しの優しいミアに
いつか…突き放されないか…
その笑顔が見られなくなるんじゃないか…
「…怖い…な」
ミアの寝顔を見ながら呟いた。