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令和の細女  作者: 吉野貴博
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上中下の上

投稿サイト note が初出です。

もともとは朗読用で、YouTube にもアップしました。

なので書き言葉ではなく読み言葉が本来となっております。

 この話を持って来たのはA君で、大学生の頃の話だっていうんです。

 当時A君は、B君C君D君の四人で廃墟や心霊スポット巡りをしていたんですって。

 ある日、ちょっと顔を見せなかったD君がたまり場にやって来て

「久しぶり-」と。

 三人も

「おう、どうした」と返しましたらD君

「うん、また廃墟を見つけたんだ。今晩行かないか」と。

「今晩?そりゃまた急だな」

「こういうのは鮮度が命だからな。鍵もあるんだよ」

「ずいぶん準備がいいな」

「鍵なんてどうやって手に入れたんだよ」

「企業秘密だけど、俺ならできるんだよ」

 なんてやりとりがありまして、三人で話し合って、誰も今晩用事もないので行こうってことになりまして、D君に詳しい話を聞きますと、

 各駅停車しか止まらない私鉄の駅から徒歩二十分のところに簡素な住宅地があって、その中の一軒だと。そこでみんな

「なんだよ、周囲に住んでる人いるのかよ。通報されるじゃないか」

「それがな、深夜一時過ぎになると終電も終わってるし、みんな寝てるし、車が通らない脇道があるから、そこを通れば人目につかないんだよ」

「詳しいんだな」

「そりゃ調べたもん」

 あぁ、D君がここ数日顔を見せなかったのは、鍵を手に入れたり実地検分したりしてたからかと三人が納得しまして、D君に話の続きをうながしました。

「そこには女性が一人で住んでたんだ、両親はその人が小さい頃そこに家を買って住み始めたんだけど、その人が大学生になってから二人とも事故で亡くなって、女性が一人で住んでいたんだよ。で最近付き合ってた男に振られちゃって自殺したってんだよ」

「なに?その家に入るの?不法侵入じゃん」

「でもまぁ誰にも見つからず、家に入ってなんにも持ち出さなかったらセーフにならん?」

「両親はもういないのか。おじいさんおばあさんはいるとしても遠くにいるのか?」

「その家の管理は親戚の人?」

 と三人が指摘し合ってD君に聞くと

「遠い親戚の人がいるらしいんだけど、だから今夜がヤマだと。早く行けば大丈夫だよ」

「ちなみにその女性が亡くなったのは?」

「それが三日前なんだよ」

 三人相談して、D君の準備の早さに呆れて、終電に乗って駅で集合しようと決まりました。


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