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惜陰
脊梁にそう黄昏を生真面目にはじく
あしもとに何故か古釘が散ってい
わたくしは服を着替えずにいる
傷はアンテナに成るのだそう
では果てた細胞もそうかと
詰まらぬ意識を鞘に収む
それは刀にも似ている
けれど錆びた刀だと
惜陰すべき今日に
思うああ時を唯
駱駝のごとく
ひざを折り
螺旋を唯
くだる
夕闇
夜
月暈
のぼる
唯の螺旋
ひざを上げ
夜風をまとう
名もない感情に
名もない刻印をし
ノスフェラトゥ宜く
陰々とすべる水銀の様
牙をたずさえて架線を唯
影を追う影それこそ刀の様
ああそうだ着替えぬ服を脱ぎ
うつくしい夜気にしずみたいよ
君とは同質の宇宙を持つようだね
それは同室と誤読可能だろうきっと