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芽
にんにくの芽がお皿の上できらりと
美しく光るのでわたくしは醤油の
香りのむこうがわに女神を視る
たぶん一般化できぬ純粋感覚
まるだしの目玉を蛍光灯へ
ぶるりと振り上げたらば
それは拳の様に勇しく
発光するから咲らう
鼻に愛がつづまる
それは醤油の愛
褐色のまりあ
うまれたて
いなづま
無彩色
硝子
光
音楽
弥勒像
ああ陶酔
してたよね
きにしないで
たまにこうなる
にんにくの芽の話
隠し扉のような物さ
にんげん一人一人にさ
第六感や第三のひとみが
皮膚のあいだにはさまった
秘鑰のように存在していると
これはだれかからきいた事だが
あるいはきみではなかったかなあ
まあ良いのさ服をぬいで肌をみして
なぜって肌は美しいからさ裸の肌はね