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二十五秒間
二十五秒間で4リットルの血液を失い
にんげんはしぬそれから二十五秒間
まえに放ったわたくしの声はもう
二十五秒間あとにはわたくしの
耳にはとどかない仕組みだし
痛覚で描いた地図をひとと
よぶ行為にはもはや光を
感じえないわたくしが
いるよ地図を裏返し
目隠しをかけた儘
暁暗のなかを唯
くゆりゆく儘
ゆきかう唯
影と己の
舞踏を
みゆ
幻
その
舞踏の
己と影を
とかした先
くゆりゆく後
二十五秒間の先
二十五秒間だけ後
わたくしは生きてい
影がふらふらとついて
あるいてくるのを朦朧と
また雀躍のかんかくのなか
まなこにとらえるのだろうし
そのまなこを生かしている血は
心臓からながれてくるブランクを
さしはさんで過去の血としてとどく
では流転なることばさえ意味なし芳一