5.マンニエルのギルド
僕ちゃんって自称するからって悪者扱いするのは偏見に過ぎない
「食料を恵んで欲しい…?だったら僕ちゃんのギルドに入って奴隷になりなよ。僕ちゃんこと『マンニエル』様の奴隷にね…」
「いかにもな小物だな…」
「何い?僕ちゃんは山田財閥の御曹司だよ!ちゃんと地下シェルターに蓄えてた食糧で20人×3〜4年分はたっぷりさ。今僕ちゃんのギルドには僕ちゃんをトップに四天王とその部下12魔神の16人がいる。チミ達が奴隷になれば18人だな」
「アレト…背に腹は変えられないよ。大人しく奴隷になろうよ」
「いや…やだよ。なるわけねーだろ。」
「ふっふっふ…僕ちゃんのギルドでは、奴隷には朝晩の5キロのランニングとみんなのうんことしっこの処理が義務付けられている。美味しい食糧にありつけることを考えれば安いものだろう?」
「それはちょっと…」
ミトリが尻込みしている。当たり前だ。だからいくら美味そうな匂いがするとは言え、こんな金持ちが趣味で作ったようなシェルターには近づきたくなかったんだ。
アレトも食料があれば有り難くいただくが、得るために無理をしようとは思わない。増してやこんな気持ち悪い僕ちゃんの奴隷になるなんて真っ平ごめんだった。
「言ったろ。行くだけ無駄だって。マンニエルとやら。時間をとって悪かったな。俺たちはもう行く」
「待ってよアレト…アレトなら、アレトの魔法なら、こんな奴ら全員簡単に倒せるでしょ?」
「…前にも言ったろうミトリ。それは魔道士の条件に反する。俺はそんなことしない」
魔法、という言葉を聞いて、マンニエルばピクリと眉をひそめた。
「うん、そこの色白のお前、能力者か…?」
「だったらどうした?」
「くっくっく…能力者は目障りなんでね。僕ちゃんだけで、充分だよ」
ガクッと、全身に重みが走った。体が動かない。ミトリに至っては、完全に地面に伏せてしまっている。
「これは…」
「くっくっく…僕ちゃんの重力魔法、蟻地獄さ。能力者は僕ちゃん以外いらないのさ。脅威だからね…ぶっ殺してやる」
「魔法って呼ぶ当たり…センスいいな。マンニエル、意外と気があうかもな。お前。どうせスクールカースト低そうだし…陰キャ同士、仲良くなれると思ったのにな」
重力魔法が強い作品はない