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〜二人は私。〜
私は魅力的だ。今までそれを疑ったことすらない。
私は世間一般的に美人の部類に入るし、それこそ街中でモデルに誘われたこともあった。
昔、友達に言われたことがある。
「あんたって本当自分のこと好きよね。」と。
もちろんその時はそんなことないと言ったが、そんなのは完全な嘘だ。
まあそれが嘘だっていうのは友達もわかっているだろうけど。
そんな時ある人が自分を二人に分ける薬を開発したとかで知人からその薬をもらった。
信用の置ける知り合いだったし、私は自分が大好きだからその薬を飲んだの。
そしたら次の日、起きたら私が二人になってて驚いた。いや、それよりも嬉しかった。
だって私は昔からもう一人の自分が欲しかったから。自分が二人いればより私の姿を堪能できるし、普段見えないところにも気を使えるようになるから。
それに二人になった人の話を聞いたりしたことがあって、大概自分同士で不仲になっていたけれど、私は自分が大好きだからそんなことは起こりようがないもの。
だから私、いいえ、私たちは自分が大好きなの。愛してる。