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オリキャラのキャキャキャ2  作者: 御餅屋ハコ
オリキャラのキャキャキャ2 第二章
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第二章 02 馬車


02


 朝の貸馬屋は、馬の出発の準備でにぎやかだった。この時間帯は馬を借りに来る人が多いようだ。貸馬屋の人々が、奥の建物から鞍や馬車を付けた馬を街道に連れていくのが見える。

 手前の事務作業用の建物には昨日と同じ男性がいて、三人が入っていくと笑顔で出迎えた。

「いらっしゃい。屋根なしの馬車だったね」

 三人は屋根なしの馬車でセカンタまで行くことを頼み、一人2,000テニエルを支払った。しばらく待つと、馬車が用意される。

 木製で屋根のない、三、四人が座れそうな車。馬が二頭と、若い男性の御者が一人。

 ユージナ、リユル、ヴァルルシャが座席に乗り込むと、馬車はセカンタに向けて動き出した。

 舗装されたファスタンの大通りから、土がむき出しの街道へと馬車は進んでいく。

「わ、結構揺れるね」

 馬車の振動を肌で感じ、リユルが声を上げる。車輪は木製で、空気の入ったゴムのタイヤではなかった。道も舗装されていないため、衝撃が響きやすいのだろう。

「馬車のスピードは歩くのの倍ぐらいって、お店の人が昨日言っとったっけ。確かにそのぐらいだね。あんまり早いともっとガタガタするだろうし」

 馬車の速度は徒歩より早く、自転車より遅いぐらいだった。街道には歩いて道を行く人もおり、馬車は何人かを追い越したが、一瞬で歩行者を抜き去るほどのスピード差はなかった。

 馬車は時々、車ではなく鞍を付けた馬に追い越されていく。馬に乗れる人間が馬車以上に急ぐ場合は、そのように移動するのだろう。

「でも、今日はいい天気ですし、屋根が無くても風が気持ちいいですね。眺めもいいですし」

 ヴァルルシャが自分の長い髪をかき上げる。

 ファスタンは少しずつ遠ざかり、街道の左右は見晴らしのいい平野になっていた。

 まずは畑があり、さまざまな農作物が並んでいるのが見える。街道沿いではないが、離れた場所に民家があるのも見える。時々、遠くに大き目な、といっても民家数軒分ぐらいのサイズの建物がある。あれは『残水の魔法』をかけた水筒を作ったり、『光池』を作ったりする工場だろうか。

「リスタトゥーの宿屋から街道を歩いた時より、見えるものが賑やかじゃない? あっちにもそこそこ土地が広がってたのに」

 リユルがその時のことを思い出す。街道の東側はあまり遠くないところにキヨゥラ川が流れており、畑などは無かった。だが西側は、少し先にはヤームヤーム山脈という山々が連なっているが、街道と山までは少し距離がある。

「確かに、農地は土の状態が作物に適しているか、などの理由があるかもしれませんが、工場ならばあちら側に作ってもよさそうですよねえ」

 ヴァルルシャもユージナもその風景を思い出す。街道の東側は荒野という感じではなく、草や木も生えていた。

「あっでも、近くにヤームヤーム山脈があるでじゃない? 人がおると山から魔物がやってくるのかもしれんよ。キヨゥラ川だってさ、川のほとりに民家って無かったことない? ファスタンの町は人が多く集まっとるで魔物は出てこんけど、川沿いの宿ってちょっと安かったし、川や山の近くって魔物が出るかもしれんで、その辺に住もうって人が少ないのかもよ」

「そっか。それに魔法で水が得られるんだもんね。農地が絶対に川沿いになきゃいけないってことはないから、川から離れたところに人が集まって村とか作るのかも。だったら川沿いはひと気が少ないから、工場だけぽつんと建てるのは魔物に狙われやすいのかもね」

「確かに。それに川は氾濫する危険もありますものね。川は栄養のある土を運ぶとも聞きますけど……。ああ、だから周辺の土が肥えるので、真横ではないけれど川の近くに農地ができ、それで人々が集まるのでそこに工場もできるのかもしれませんね」

 三人の頭には、小学校か中学校の社会科で作者が習った言葉が浮かんでいた。『エジプトはナイルのたまもの』『扇状地』『三角州』などだ。それを口にしなかったのは、内容を詳しく説明できるほど身に付いた知識ではなかったのと、御者の耳に入ったら何の話かと不審に思われるかもしれない、と自重したからだ。

 三人は馬車に揺られながら、風景を眺めて雑談を続けた。昼近くになるころ、馬車は休憩所に着いた。

 休憩所にある建物は三種類。宿屋、食堂、厩舎だった。御者は馬を連れて厩舎に行く。水や餌を与えるそうだ。乗客はその間に食事をとのことなので、三人は荷物を持って食堂へ向かう。

 食堂は何軒かあった。休憩で立ち寄る者と宿泊客、両方が食事を求めるのでそれなりの数が必要なようだ。三人が入ったのは二十人ほどの座席がある店で、客席は六割ほど埋まっていた。

「朝が早いでおなかすいたよね」

 ユージナが言い、二人もうなずく。

 壁にある時計を見ると、針は真上近くを指していた。昼の一刻の手前、現実世界の時計で十一時半といったところだろうか。

「朝の七刻過ぎに出発したはずですから……一時限と半時限ぐらいで着いたということですね」

 ヴァルルシャが、90分と45分をこの世界の言い方で言う。

「休憩所は等間隔に二つって言ってたっけ。この調子なら、あいたち夕方までにセカンタに着けるよね。ご飯食べて次に備えようか」

 三人は日本語訳されたメニューを見て、食事を注文した。肉野菜炒めや具沢山のスープ、パンに砂糖漬けの果物など、ファスタンの町ほど豊富なメニューではないが、おいしい食事が出てきた。そもそもファスタンの町に届く食料はこの辺りの農作物だから、材料は入手しやすいのだろう。

 食休みやトイレを済ませ、三人はまた馬車に乗る。同じぐらいの時間を揺られ、次の休憩所に着く。

 二つ目の休憩所も一つ目と同じような作りで、壁の時計は三時の方向、昼の三刻あたりを指していた。この時間は、現実世界もこちらの世界も時計の数字が「3」なのでわかりやすい。

 三人は甘めのパンやビスケットのような物とお茶を飲み、体を休める。その後また馬車に揺られ、夕方近くなるころ、セカンタが見えてきた。

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