歌の少女と冷たい君

ぼくは、もう要らない？

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「おにいさん、そこで何してるの？」

「怪我してるの？大丈夫？」

「どうしてこんな所にいるの？危ないよ」

「行く場所が無いの？」

「うーん…それじゃ、わたしのおうちに来る？」

「綺麗になったね。怪我もこれで大丈夫かな」

「…やっぱりちょっと痛む？我慢してね」

「元気出して。わたしはここにいるから」

「…ねぇ、わたしね」

「おうたが大好きなの」

「うたってみてもいい？」

「…らららー、らーららー♪」

「…どう？」

「ねー、何か言ってよー」

「…もー」

「でも、聞いてくれてありがとう」

「また、おうたをうたいたくなったら聞いてくれる？」

「らー、ららららー♪」

「えへ、いつも歌を聞いてくれてうれしいな」

「やっぱり何も反応してくれないけど」

「ひどいなぁ。ちょっとくらい反応くれてもいいのに」

「…ねぇ、わたしね」

「歌手になりたいの」

「こうやってね、いつもおうたを聞いてくれて」

「そこでおうたをうたうの、たのしいなーって」

「だから、もっといろんな人に聞いて欲しいなって」

「どうかな？」

「…わたし、頑張るね。もっとおうた練習して、絶対歌手になるよ」

「うーん、ダメかなぁ」

「今日もね、オーディションに行ってきたの」

「でも、上手くいかないね」

「あなたがいつもここにいてくれて」

「いつもその無表情で私の歌を聞いてくれて」

「ど…してだろうね。あなたはいつも無反応なのに」

「あなたがちゃんと私の歌を聞いてくれてるって確信できる」

「だから、今までずっと、歌…続けられた」

「あなたのおかげで、上手に歌えるようになった」

「でも、あなたは変わらないね」

「ずっと出会った時と同じ無表情」

「…私は、いつかあなたの笑顔を見れるのかな」

「プロデビューが決まったよ！」

「やっとだよ…やっとたくさ…の人に私の歌を聞…てもらえるようになるよ！」

「いままで上手くいか…こともたくさんあった」

「やめたくなる…もあった」

「でも、いつも…なたは私のそばにいて、静かに私の歌を聞…くれたね」

「いつでも私の歌をちゃんと聞いてくれたから」

「私はここまで頑張れて来れた」

「でも、…たはまだ私の歌を聞けてくれてるのかな？」

「あの日、あなたは捨てられていた」

「ちょっと薄汚れた、ありふれたあなた」

「でも、あなたに出会わなければ」

「今こうしてプロデビューを成し遂げることはでき…と思う」

「今まで大切に思ってきた。大事にして…」

「でも、もうあなたには私の…を聞いてもらえてないかもしれない」

「これからも大変なことはた…あると思う」

「それでも、私は頑張っていきたい」

「たくさんの人に、私の歌を聞いてもらうために」

「あなたが私の歌を聞いてくれたから」

「ありがとう、私の大事な、大好きなマイ…」

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大切に使ってくれて、ありがとう。