補助システム
お久しぶりです。
最近一気読みしてくれた方がいらっしゃいましたので更新開始です
17話 補助システム
緑色の人達が鉄砲を僕に向けて横に広がりながらゆっくり近付いてくる。どうしよう、あの人達絶対僕を狙ってる。僕一人なら逃げれるけど今は他の人が居る。
その人達の中には不思議な光る壁を使える人も居るけど皆鉄砲にビックリして何も出来なかったから…ジェシカさんみたいにこ、殺されちゃうかもしれない。
…逃げたら皆が死んじゃう、僕が何とかしなきゃ。
でもどうしよ?僕人を殺したくないし…
爆弾と鉄砲の弾が無くなるまでウネウネさんの盾で防いで、それでも逃げてくれなかったら…嫌だけど逃げるまでウネウネさんで叩いて…
あっ!そうだ!鉄砲の弾が無くなったら最初僕が捕まえて後ろの人達に縛って貰えば良いんだ!
よし!
『お願い!ウネウネさん!』
僕は全部のウネウネさんを小さい盾の形にして緑色の人達に向ける。
よし頑張るぞ!
「ざぁあげやがっっでぇぇえええ!!」
『え?』
後ろを振り返るよりも早く僕の上を何かが跳んでいった。
僕が見たのは頭も背中も血だらけにして大きなハンマーを両手に持って緑色の人達に走って向かう女の人だった。
『ジェシカさん!?』
鉄砲の弾が頭に当たって死んでたと思ってたジェシカさんだった。
ジェシカさんはハンマーを走りながら構えるとゴルフみたいに振り回して瓦礫を緑色の人達に向かって吹き飛ばした。
緑色の人達は飛んでくる沢山の瓦礫を鉄砲で撃ち落としたり、体を捻って避けてる。
「ぐっ!総員散開!ジェシカ氏を起点に動け!仲間を見捨てるな!」
「シャドーフォレストはどうする!?」
「放っておけ!」
後ろからパトリックさんや色んな人の声がする。
「オアァアアア!」
ジェシカさんはハンマーをブンブン振り回して緑色の人達に攻撃してる。
すごい
本当にそう思った、ジェシカさんの動きは凄く早くて緑色の人達は鉄砲を持ってるのに上手く当てる事が出来てなくてずっとジェシカさんから逃げてる。
このままならジェシカさんが勝つかもしれない。
でも…ジェシカさんは顔も背中も胸も血で真っ赤に塗れてて血の足跡もでき始めてる。
『ダメだよ!死んじゃう!』
僕は立ち上がってジェシカさんを止めようと後ろから走って追い掛けたけど緑色の人が横から飛び出してきて鉄砲を撃ってきた。
ボボボボボンって音を立てて何とか盾で防いぐけど小さい盾じゃ足まで届かなくて少し擦って僕は慌てて両手をついて伏せた。
『もう!邪魔しないでよ!』
僕はつい緑色の二人に向かってウネウネさんをつい叩き付けた。
ドコォン!って音を立てて瓦礫が散らばる。
『あっ…』
盾の間から緑色の人がどうなったか見てみる。
すると鉄砲を向けたままこっちに走ってくるのが見えた。
良かった…怪我は無いみたい…もしも当たってたら死んでたよね…本当に良かった
…って良くないよ!
右側の人が鉄砲を撃って僕が盾で防ぐ。
ドパパパパパパパン!
ボボボボボボボボン!
その間に左側の人は鉄砲も撃たないで真っ直ぐ走ってきた。
僕はその人を捕まえようとウネウネさんを思いっきり伸ばす。
けど、巻き付けようとしたらその間を跳んだり、しゃがんだり、ジグザグに走って中々捕まえられない。
ウネウネさんを二本使おうとしたらお腹の下でガランって音がした。
『ん?うわあ!』
お腹の下には爆弾があった。
僕はとっさに手と足に思いっきり力を入れて上に飛んだ、けど少し遅かった。
爆弾は僕の手が届く所で爆発した。
『いっ!ぎぃ!』
熱い風に吹き飛ばされて二回、三回転しながら仰向けにたおれた。
体中が痛い。
鉄の破片や瓦礫の欠片が体のあちこちに突き刺さってて動く度に傷が捩れる。
でも特に酷いのはお腹、起き上がろうと顔を上げたら沢山の破片と手が入りそうな位の穴が空いてたのが見えた。
『ひっ!…いぎぃ!うぅ…!』
一瞬遅れて物凄くお腹が熱くなった。
まるで何かに焼かれてるみたいで溶けたチーズみたいな白い血がお腹の穴から押さえてる手に伝ってドロドロと流れてる。
すると誰かの足音がとても短い感覚で近付いてくるのが聞こえた。
『あっ』
ドカッ
見たものが信じられなくて頭に向かってきたその人の蹴りを避ける事が出来なかった。
顔はガスマスクみたいなのとゴーグルにヘルメットを被ってて見えなかったけど手足は短くて頭が大きくてまるで重りが上に乗ってるみたいな見た目は明らかに小さな子供だった。
その子は僕の首を跨ぐみたいに立つと変わった大きな鋏を振り上げたて持ってた。
刃の所は太くて短くて、持つ所はその子と同じぐらいの長さだった。
鋏を刃の部分を開けたまま僕の顔にめがけて突き落とした。
『ひっ!』
僕はその子を掴まえようとしたけど小さくて、柔らかくて、細いこの子を僕が握ったら潰れてしまいそうで、それが恐くて出来なかった。。
そして鋏の刃が僕のほっぺを挟んだ。
ゴリッ―ブチンッ
頭の中が一瞬真っ白になって頬っぺから燃えるみたいな痛みが走る。
『うわぁぁぁ!』
痛みよりも恐いのが強かったんだと思う。僕は痛いのも気にせず取り上げようと鋏を掴んだ。
でも僕が掴む前にその子は鋏を離してて変わりにピストルを僕の顔に向ける。
パンパンパンパンパンパン
僕は何も出来ないまま顔中に鉄砲の玉を受け止めた。
目の前が真っ暗になって死んだと思った。
でも体のあちこちから伝わる痛みで直ぐに目が覚めた。
目が覚めなければ良いと思った。
僕が見たのは鋏を突き立てた緑色の大人達。
ブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチンブチン
『◎▼▲!%◎*●★!●◇◆!!!』
僕は自分で何を叫んだのか分からない、どれだけ叫んでいたのかも分からない、
でも熱く感じていた痛みが冷たく感じる頃に緑色の大人達は僕から離れて行った。
…もう嫌だ…森に帰りたい…熊のお兄さんと弟の熊さんと一緒に…また暮らしたい
また皆と…
「パトリック!増援だ!」
「味方か!?」
「違う敵だ!数は5人!」
「待てギルからだ…最悪だ街も襲撃されている!」
「何だと!?一般住民は!」
「衛兵が頑張ってくれているが既に犠牲者も出てるらしい!」
「クソ見境なしかよ!!女や子供までいるんだぞ!」
『……女、子供?』
殺されてるの?子供達も?
女の人や子供達が鉄砲で撃たれてるの?
大人が?子供達を?
殺してるの?
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バイタル低下を確認
精神負荷過許容
周囲状況から被験者の行動指標の合致を予測
有機分躯内液増血開始
有機文躯内液充血開始
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お腹の底からお湯みたいに熱いのが込み上げてくる。
何これ?僕は怒ってるの?何で?どうして?
…でも怖くはなくなった、緑色の人達が許せなくなった。
何でも出来る気がした。
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被験者戦意向上を確認
戦闘許可申請
error…マザーコンピュータとの通信途絶
マニュアル操作へ移行
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ジェシカさんは血を流しながら戦ってるけど最初みたいな速さが無くなって弱ってるのが分かる。
トレットさんやパールさん達も戦ってるけどやっぱり鉄砲や爆弾を持ってる緑色の人達にはまだ勝てないみたい。
今、街の人達を助けられるのは僕だけだ。
殺すことはいけないこと、それは分かってる。
…じゃあ殺さなければ良いよね?
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当システムの独立思考開始
被験番号:077への補助行動を開始
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ここまで読んでいただきありがとうございます
因みにちょっとテイストを変えて『僕の名前は〇〇〇』なる小説を投稿しています
暇潰しにどうですか?